
福岡市のJR博多駅前で起きた大規模な道路陥没事故で、通行が再開された現場の「はかた駅前通り」では15日朝、真新しいアスファルトの上を通勤客らが行き交う姿がみられた。「やっと通れる」「朝のリズムが戻った」。周辺ビルの避難勧告が全面解除され、休業していた店舗も次々とオープンし、事故から1週間で日常が戻った。
「この時期は歩道のイルミネーションが光ってきれい。大好きな道をまたこうして歩けてうれしいです」。博多駅から職場まで歩いて通勤する福岡県春日市のアパレル店員、赤木優里恵さん(26)はほっとした表情を浮かべた。
現場近くに勤める会社員、江藤孝昭さん(51)も「これまでビルの裏口から入っていたが通い慣れた道が復旧すると助かります」と安堵(あんど)した。
道路の開通とともに現場周辺のビル3棟の避難勧告も解除され、入居するテナントなどは1週間ぶりの営業再開の準備に追われた。
車約110台が残ったままだった駐車場「紙与パーキング駅三」では、午前8時ごろ、営業を再開。休業中の時間貸し客は無料、月決め客は休業分の差額を返金する措置を取ったという。運営会社の吉留浩一さん(55)は「作業員が夜を徹して作業をしてくれていた。安心して営業できそうだ」と胸をなで下ろす。
避難勧告の出されたビル1階の「カフェ・ベローチェ博多駅前店」では通常よりスタッフを増やして店内を清掃し、消費期限のある食品類の破棄などにも追われた。
通勤途中に毎朝同店に通う福岡県宗像市の会社員、山下與志雄(よしお)さん(66)は「休業の間は別の店に行ったがここでないと落ち着かない。やっと朝のリズムが戻った」と話す。
「復旧が長くかかるようなら引っ越しも考えた」と語るのは、避難勧告の出されたビルでカイロプラクティック店を営む溝口正城さん(40)。これから客におわびのはがきを送るといい、「ここで8年間やっていて愛着もある。1週間で復旧してよかった」と笑顔を見せた。
ただ、休業による損失の影響も重くのしかかる。避難勧告が出されたビルで歯科医院を営む長友周一院長(50)は「冷蔵庫に入れていた薬剤などは破棄せざるを得ない。別の歯医者に行った患者が戻ってくるかも分からない。被害額は数百万円になりそうだ」と不安を口にしていた。
Posted at 2016/11/15 16:48:40 | |
トラックバック(0) | 日記