IBI仙人のブログ一覧

　斉藤道三、弘治二年(1556)長良川の戦いで戦死。それから26年後、織田信長、天正十年(1582)本能寺で自害。そして433年後、平成27年12月20日の今日、彼の人たちが居城とした稲葉山より日が昇る。

　近年、ディーラーにてサービスの方と話をするとき、違和感を覚えることがあります。当方が椅子に座っている横で、フロアーに直接跪いて説明をされる所作です。接客マニュアルとなっているのかもしれませんが、どうもいただけません。そんなときは、まず椅子に座ってもらってから話をするようにしています。（写真は一乗谷）

　最近、心に引っ掛かったニュースが２つ。１つは、大学の文系学部改変に関わる指針内容。生産性のない学部をなくしていこうという旨のものだった。２つ目は、白熱灯や蛍光灯を近い将来、製造・販売禁止にするというもの。この２つに共通する考えは、生産性や効率の悪いものは切り捨てるということである。
　その趣旨は理解できるが、決して賛同はできない。たとえば、歴史学は製品を生み出すことに直結はしないが、人間の来し方行く末を深く考えさせてくれる材料を与えてくれる。白熱灯の照明は、電気消費量は多いが、ＬＥＤにはない暖かい光で照らしてくれる。ともに、人生を豊かにする何物かをもっていると思うがどうであろうか。
　高校生の時に荘子の思想を習った。「樗(ちょ)」と呼ばれる木は、葉は悪臭を放ち、その材は曲がりくねって何の役にも立たないため、無用の代名詞になっていた。しかし、荘子は言う、「何の役にも立たないから、誰からも伐られることなくこんな巨木になったのではないか」と。
　少し考えてみれば、恐ろしい話になりはしまいか。効率化を追求すればするほと、有用性の低いと見られがちな社会的弱者から切り捨てられてしまう。社会は、いろいろな人間がいてこそ弾力性に富み、危機的な状況を乗り越える力をもつと信じている。無用であると自己都合の一面的な判断をしてしまうことの危険性に対して荘子は警鐘を鳴らし続けたのだろう。あらためて荘子を読み直してみたいと考えている。