IBI仙人のブログ一覧

　いつもより少し遅れて、今年も栗の季節になった。同じ木に実った栗でも、ひと粒ひと粒、味が違うことをご存知だろうか。ゆで栗にしたとき、この違いはよりはっきりと分かる。
　甘みが強くホクホクしたもの、甘みは強いがごりごりしたもの、水っぽくて味が薄いもの、硬くて初めは味があまりしないが良く噛むと甘みを感じるもの等々。それらが組み合わされて、ひとつとして同じ味のものはない。
　経験的には、身が黄色味を帯びているものは大概甘さが強い。２つに分かれる身の断面の中心部分が薄いこげ茶色をしているものは、水っぽいことが多い。
　秋の夜長、よく切れるナイフでひと粒ずつ皮を剥きながら味わってみようと思う。ひと粒ひと粒、味が違うのには、きっとわけがあるのだろう。そして、違うことはとても大切なことだと思っている。

　暑く長い夏がようやく終わろうとしている。今宵、メシエ７を双眼鏡で眺めてきた。今年の夏は、夜になると曇る日がほとんどで、星をろくに観望することができなかった。
　今さそり座は、南西の空に横たわり、今にも地平に没しようとしている。さそりの尾の毒針の先に煌いている星団が、メシエ７。じっくり眺められたのは、今年初めてかもしれない。また、来年観られるように…。｢さようなら。｣

　４年ぶりに蛍を見に行った。ひとりで。見に行けるまでに、これだけの歳月が必要だった。でも、あの時のことは、忘れることはできないだろう…

夏に向けて脱毛処理をした。これで、我がバイクの「バリバリ伝説」は終焉とあいなった。

　十数年ぶりにバイクでツーリングをした。一応、目的地は決めたが観光するわけでもなく、ひたすら走るというツーリングである。新車の慣らし運転をしながら、125ccで走れる1日の航続距離を体感的に知りたいというのが主目的である。
　当然ながら高速道路は走れないので、信号の少ない下道ばかりを選んで、往復300kmのコースを決めた。体力的な限界を感じたら、ショートカットして帰ればいいやぐらいの気持ちでスタートした。
　結果は、予想以上に走れた。全行程で330キロメートル余り。バイクも老体もよく健闘した。燃費は、約42km/ℓであった。途中、車に何度もあおられることがあり、予定していた回転数以上にエンジンを回すことになったのが心残りである。
　ツーリング日和ということもあり、多くのバイクと出会った。中には、左手を高く上げて振ってくれる方も何人かあった。そういえば、昔々ツーリングが盛んであったころ、対向するバイクに、アクセルと前輪のブレーキを操作する右手はそのままに、左手で指を閉じたピースサインをつくり、胸の前で指先を右肩に当てるようなしぐさで挨拶をしていたことを思い出した。相手が原付であろうと小型であろうと敬意をこめて挨拶をしていた。バイクに乗り始めて、原付でツーリングに行き、ハーレー乗りの方から挨拶サインをしてもらえたときの嬉しさは今でも忘れられない。自分もバイク乗りの仲間に入れてもらえた気持ちがして有頂天になったものである。
　そんなことを考えながら走っていた。あんなサインがまた広まるといいな、あのサインを覚えている方がいるかもしれないと思って、帰路は何度もサインを出してみた。反応は、芳しくなかったが、次回のツーリングでもやってみようと思う。