夜だけでなく、日中もだいぶ涼しくなってきたが、皆さまはいかがお過ごしだろうか。
僕はと言うと、連休が続くこの時期、さぁポルシェでどこへ出掛けようかと、心が躍りがちな日々を過ごしている。
さて、先日の3連休最終日には、9月8日のBMWのオフ会に続いて再び、大黒へとクルマを走らせた。
目的は、みん友のヒデきちさんとBMW&ポルシェ談義に花を咲かせるため。
ヒデきちさんは、前回UU^^さんにお誘いいただいて参加したBMWのオフ会で知り合った、心優しい4シリーズのオーナーだ。
さて、今回は都築から第三京浜経由で大黒へ。こちらの方が、保土ヶ谷バイパスを通るより早いかも知れない。
30分ほどして、大黒PAに到着。
到着後、ヒデきちさん、ヒデきちさんのお友達のZellさんと対面。
いろいろ話しながら、ポルシェを見てみたいということになり、車内、ボンネット(フロントトランク)、エンジンルームなどを開けたり閉めたり。お二方とも、とても興味深そうにご覧になっていた。
普段の僕からしたら、どこも見慣れている、いわば当たり前の部位ではあるし、いろいろなところを開閉するなど何てことのない光景だが、なるほど「あまりポルシェをまじまじと見ることがない」お二方からすると、やはり開け閉めひとつとっても、また近くでポルシェを見ることも「とても新鮮に映る」のだそうだ。

(大黒で、1枚)
ほどなくして、_j_さんとまぐまぐさんも合流。このお二方も、ヒデきちさんのお友達だ。
_j_さんは、女性でありながらBMWを操るという、普通の女性からしたら少し珍しいタイプの方だと推察した。

(左から、_j_さんのBMW←代車、ヒデきちさんのBMW、僕のポルシェ。偶然にも、3台とも白)
辺りは次第に暗くなってきたが、相変わらずああだこうだと話が尽きない(Zellさん、スープラーのトラブル、無事解決したら良いですね。。)。
そして更に辺りが暗く、ほぼ真っ暗になってきた頃だった。
2台の車が連れだって、パーキングに滑り込んできた。
1台はシルエットから、メルセデスのゲレンデヴァーゲン(いわゆるGクラス)とすぐに判別できた。
だがもう1台、美しい流線形を纏ったそのスマートなボディに、一瞬何の車か分からなかった。
するとその2台は、僕らの駐車マスと背中合わせに駐車し始めるではないか。
ようやく、そのもう1台が何の車か分かった。
そう、ジャガーXKのクーペだった。
3週間程前のブログでも言及した、僕が東名で一目で心奪われた、あの美しいクーペだ。よもやもう一度見てみたいと思っていたジャガーXKクーペに、こんなに間近で、こんなすぐにお目に掛かれるとは。
またあのクルマを見てみたい。その思いが通じた格好だ。

(ジャガーXKクーペ、イメージ)

(別アングル、ジャガーXKクーペ、イメージ)
その後ほどなくして、ゲレンデでいらした方々はまた車に乗り込み、帰っていかれた。
そしてジャガーのオーナーの方が、僕の方へと近寄ってきて下さった。
みんなの輪からはやや離れ、僕が余りにもこの流麗なクーペに魅了されていたので、それに気付いて声を掛けて下さったのだろう。
僕は開口一番、
「ホントにステキな車ですね」
と発したのを、覚えている。
その一言がオーナーの彼には嬉しかったようで、いろいろとお話下さった。
みんな「この車、なあに?」と興味は持ってくれること。
でも、ステキとまでは言われないこと(とても意外だった)。
マニア向けな車で、一般ウケはしにくいこと。
10数年、新車のときからずっと乗っていること。
クルマはデザインありきで選んでいること。
ジャガーを乗り継いで3台目であること。
などなど、興味深いお話が沢山聞けたし、何となく僕の価値観と近いところがあるのかな、という思いを抱いた。
ジャガーのお写真を撮ることも勿論、快諾してくださった。

(夕闇にも映える、何とも美しいシルエット)
僕はこのXKクーペを含め、ジャガーはとても渋みと深みのあるクルマだな、と感じている。
酸いも甘いも含め、味わい深く豊かな人生を経験した人に似合うクルマ。
そこに、誕生から今に至るまで、多くの人を魅了しながらも、その時どきの時代の波や国策などに翻弄されてきたジャガーの歴史が、僕の脳裏でオーバーラップする。
この日のXKクーペのオーナーのヒロさんという方は(残念ながらみんカラはやっていないそうだ)、話を聞いている限りは僕と大して歳は違わなかったが(先ほどまでご一緒されていたご友人ともども)、事業をご自身で営むような、かなりアッパークラスの方のようだった。
恐らく、会社勤めしかしていない僕とは比較にならないほど遥かに場数を踏み、いろいろな経験をされてきているのだろうと思う。
きっと、長さではない。たとえ生きている時間が短くても濃い経験をした方からは、言葉からも仕草からも、深みが感じられる。
そんなことが佇まいから伝わってくるヒロさんに、このジャガーXKクーペはまさにぴったりのクルマだ。そう思った。
現に、彼はこんなことを僕に話してくれた。
「人って最初は(モノなり想いなりに)憧れていても、それを手にするとそれが当たり前になっちゃって、ありがたみを感じなくなっちゃうじゃないですか。でも(僕と話をしたことで)それじゃあいけないんだっていうことに気付きましたし、改めてそう噛み締めて生きていかなきゃな、と思いました」
こんな含蓄のある言葉は恐らく、そうそう聞けるものではない。
彼は、僕の997のこともべた褒めしてくださった。
曰く、
「GT3だとかターボだとか、そういう車種を選んで乗るのは良いと思いますが、そこにかこつけてマウンティングしているような人って、恐らく山ほどいますよね(彼は決してGT3やターボが悪いと言っているわけではない)。」
と。続けて、
「そうじゃなくて、素のカレラに誇りを持ち、愛して、納得して乗っている人の方が余程ステキだと思うし、さっきの(Gクラスの)友人ともここ(大黒)に入ってきてすぐ、そんな話をしていたんですよ。しかもダ・ヴィンチさんのカレラ、サンルーフ付でしょう。そこだけでもちょっと他と違って珍しいし、素晴らしいじゃないですか」
とおっしゃっていた。
僕自身、気分転換に、或いはこの空間が好きで度々ここ、大黒を訪れるのだが、おっしゃっていたように、ここにはランボルギーニだのフェラーリだのBMWだのポルシェのGT3だのと、気後れするほど素晴らしいクルマがたくさん集う。
すると、決して比較したりしたいわけではないのだが、ついつい自分のクルマと比較していろいろ及び腰になってしまったりしていることに、ふと気が付くことがある。
そんな僕に対して彼の言葉は「そうだよな」と思わせてくれたのだった。
彼とは立ち話をしたに過ぎず、その時間もせいぜい20分といったところだったが、僕にとってはとても貴重なものだった。
ヒロさんの方から、近いうちまた是非会いたいとの非常にありがたいお申し出をいただき、こちらこそ是非と再会を約束、LINEで連絡先を交換後、彼は大黒を後にした。
残った僕たちは、施設内のカフェレストランに移動し、楽しい夕食を共にしたあと雨のなか解散したのだが、ヒロさんから聞いた
「当たり前にあるもの・事を当たり前だと思わず、ありがたいこと、恵まれていると思うこと」
という言葉が、食事のときも、帰り道で997のステアリングを握っているときも、僕の脳裏から離れることは、片時もなかった。