
8100シリーズの中で、かなり分かっている人向けのオイル
MOTUL 8100 Powerは、かなり評価できるオイルである。
特に、BRZ ZD8やGR86 ZN8のFA24に使うなら、かなり現実的な選択肢に入る。
私はこのオイルを、単なる「高い輸入オイル」とは見ていない。
MOTULの中でも、8100 Powerは立ち位置が分かりやすい。
300Vほど競技寄りではない。
8100 X-clean系ほど欧州車規格寄りでもない。
ECO-liteやECO-cleanほど燃費・環境規格寄りでもない。
その中間にある、現代車向け高性能ストリートオイルという位置づけである。
公式スペック上の評価
MOTUL公式では、8100 Power 5W-30はAPI PERFORMANCE SP対応とされている。
また、5W-30は「High Performance - ESTER engine oil inspired by motorsport」と表現されており、エステル系の高性能オイルであることを前面に出している。
0W-20についても、MOTUL公式ではHigh Performance 100% Synthetic - ESTER、API PERFORMANCE SP対応とされている。
ここは重要である。
MOTUL 8100 Powerは、単に「全合成油です」とだけ言っているオイルではない。
エステルを明確に訴求している。
もちろん、エステルが何%入っているのか。
PAO主体なのか。
グループ3主体にエステルを配合しているのか。
そこまでは公式ページだけでは完全には見えない。
しかし、少なくともMOTULは8100 Powerを、通常の省燃費オイルではなく、モータースポーツ由来の高性能ESTERオイルとして売っている。
この姿勢は評価できる。
8100 Powerの良いところ
8100 Powerの良いところは、現代エンジンに必要な要素を外していない点である。
API SP対応。
LSPI対策。
後処理装置への配慮。
E85などのバイオ燃料への互換性。
高性能ストリート向けの油膜性能。
このあたりをバランスさせている。
特にFA24のような直噴+ポート噴射の水平対向エンジンでは、古い考え方のレーシングオイルを入れればよい、という話ではない。
現代の直噴エンジンでは、LSPI対策は無視できない。
低速高負荷で異常燃焼が起きれば、エンジンに対するダメージは大きい。
その意味で、API SP対応の8100 Powerは使いやすい。
300Vのように「性能は高いが、使い方を選ぶ」オイルよりも、街乗り・通勤・高速巡航・ワインディングを含む一般ユーザーには現実的である。
5W-30はZD8/GR86にかなり合う
BRZ ZD8、GR86 ZN8で考えるなら、私は8100 Powerの中では5W-30を評価する。
理由は単純である。
FA24は油温が上がりやすい。
特に夏場、吸気系、サブコン、マフラー、エキマニ、ECUセッティングまで進めるなら、0W-20だけで押し切るのは気持ち悪い。
純正指定が0W-20だからといって、すべての使い方で0W-20が最適とは限らない。
街乗りだけ。
短距離だけ。
冬場だけ。
燃費優先。
完全ノーマル。
この条件なら0W-20でもよい。
しかし、油温を見ているユーザーなら話は変わる。
高速巡航。
高回転まで引っ張る。
ブリッピングやヒールアンドトゥを多用する。
夏場に油温が上がる。
吸排気やECUで熱量が増える。
この条件なら、5W-30の方が心理的にも機械的にも納得しやすい。
8100 Power 5W-30は、その用途にちょうどよい。
300Vほど過剰ではない。
安物のSP/GF-6Aオイルよりは高性能寄り。
RAVENOL DXGほど基油開示は明確ではないが、国内入手性は高い。
かなり現実的な選択である。
0W-20は冬・燃費・純正寄りならあり
8100 Power 0W-20も悪くない。
むしろ、0W-20指定車に使う高性能オイルとしてはかなり魅力がある。
API SP対応で、エステル系を訴求している0W-20というだけで、量販店のよく分からない0W-20よりは明らかに趣味性が高い。
ただし、FA24で夏場も踏むなら、私は0W-20を常用の第一候補にはしない。
0W-20は悪ではない。
ただし、使い方を選ぶ。
冬場。
純正状態。
街乗り中心。
燃費重視。
油温が安定している。
高回転を多用しない。
この条件なら8100 Power 0W-20は良い。
しかし、夏場に油温が上がる。
高速で4速まで引っ張る。
油圧を常に見ている。
今後マフラー、エキマニ、ECUまで考えている。
この条件なら、0W-20より5W-30を選びたくなる。
300Vとの違い
MOTULといえば300Vという人も多い。
確かに300Vは強い。
MOTULの看板であり、エステル系高性能オイルとしての存在感も大きい。
しかし、日常使用のBRZ/GR86なら、必ずしも300Vが正解とは限らない。
300Vは競技寄りである。
サーキット、短い交換サイクル、高負荷、高回転、高油温。
そういう環境でこそ意味が出る。
一方で8100 Powerは、300Vほど尖っていない。
その代わり、日常使用とのバランスが良い。
通勤で使う。
高速も走る。
たまに踏む。
油温も油圧も気にする。
でも毎回サーキットを走るわけではない。
この使い方なら、8100 Power 5W-30の方が合理的である。
300Vは「攻めたオイル」。
8100 Powerは「ちゃんと高性能なストリートオイル」。
この違いで見ればよい。
RAVENOL DXGとの比較
RAVENOL DXG 5W-30と比較すると、評価は少し難しい。
RAVENOL DXGは、PAOやGTLなど基油情報の見え方がかなり良い。
基油の透明性という意味では、私はRAVENOL DXGを高く評価する。
一方で、MOTUL 8100 Powerは国内入手性が強い。
楽天、Amazon、Yahoo!ショッピングなどで買いやすい。
5L缶も流通している。
FA24のオイル交換量にも合いやすい。
この「買いやすさ」は非常に大きい。
エンジンオイルは、いくら理想的でも入手が面倒だと続かない。
毎回個人輸入。
送料が高い。
納期が読めない。
欠品する。
これでは維持管理として弱い。
その点、MOTUL 8100 Power 5W-30は現実的である。
基油開示のRAVENOL。
入手性と実用性のMOTUL。
こういう比較になる。
欠点は価格と基油の見えにくさ
8100 Powerにも不満はある。
まず価格である。
国内通販では、5Lで1万円台前半から中盤になることが多い。
安いオイルではない。
MOTULというブランド代も含まれている。
次に、基油の詳細が完全には見えない。
エステルを訴求しているのは良い。
しかし、エステル主体なのか、PAOも多いのか、グループ3が主体なのか、公式情報だけでは判断しにくい。
ここは、RAVENOLのように基油の種類をかなり明確に出すメーカーと比べると弱い。
私は「100%化学合成油」という表記だけでは評価しない。
VHVIでも販売上は全合成扱いされる時代だからである。
MOTUL 8100 Powerは良いオイルだと思う。
だが、基油の中身まで見たい人間からすると、あと一歩情報が欲しい。
交換サイクル
BRZ ZD8、GR86 ZN8でMOTUL 8100 Power 5W-30を使うなら、私なら交換サイクルは次のように考える。
街乗り・通勤中心なら、5,000kmから7,500km。
油温が高め、夏場、高速巡航多めなら5,000km。
峠や高回転を多用するなら3,000kmから5,000km。
サーキットを走ったら、走行後の状態を見て早めに交換。
FA24はオイル量が約5L入るので、軽自動車や小排気量ターボよりは油量面で余裕がある。
しかし、水平対向で油温管理を考えるなら、無駄に引っ張る必要はない。
高いオイルを長く使うより、良いオイルを適正距離で替えた方がいい。
8100 Powerは、そういう使い方に合う。
私の評価
MOTUL 8100 Power 5W-30は、かなりバランスが良い。
API SP対応。
エステル系訴求。
MOTULブランド。
国内入手性。
5L缶の使いやすさ。
300Vほど過剰ではない。
FA24の街乗りから軽いスポーツ走行まで対応しやすい。
一方で、基油の中身が完全に見えるわけではない。
価格も安くはない。
RAVENOL DXGのような基油開示型オイルと比べると、理詰めで選ぶ時に少し弱い。
それでも、国内で普通に買えて、FA24に安心して入れられる高性能オイルとしてはかなり優秀である。
結論
MOTUL 8100 Powerは、BRZ ZD8 / GR86 ZN8のFA24にかなり合う。
特に5W-30は、夏場、吸排気変更、高速巡航、油温上昇を考えるユーザーには現実的な選択肢である。
0W-20は冬場や純正寄りの使い方ならあり。
5W-30は通年・保護重視なら本命。
300Vはサーキットや短期交換前提なら上位候補。
私の評価はこうである。
MOTUL 8100 Power 5W-30は、国内で買いやすい高性能ストリートオイルの中ではかなり上位。
RAVENOL DXGほど基油開示は強くないが、入手性と実用性ではMOTULが勝つ。
つまり、理想を追うならRAVENOL DXG。
現実的に買って使い続けるならMOTUL 8100 Power 5W-30。
この評価でよい。採点するなら、MOTUL 8100 Power 5W-30は85点。
ZD8/GR86用としてはかなり強いです。減点は、基油の詳細開示がRAVENOLほど明確ではないことと、価格がやや高いことです。