
夜勤週で珍しく頂いた二連休、前後日に余裕のある平日休みは滅多にないので
この休みを楽しまない手はないと、以前購入していた、瀬戸内サイクリング本を読みながら
早速プチ遠征の予定を立てることにしました。
呉西部のかきしま海道も捨てがたかったのですが、
以前走って楽しかったとびしま海道を再び走ることに。
夜勤明けにチャリやウェアをプレマシーに積載し、深夜に出発。

途中、寄り道してたらヤバ気な橋を渡ることになったりと、なかなかスリリングな移動となりました。
何とか通勤渋滞が始まる前に広島市内を抜け、国道31号線を南下、呉市を通過し

とびしま海道の起点である下蒲刈島に到着。
以前ここに来たときは奥にそびえる安芸灘大橋のたもとにある
料金所の駐車場にクルマを置かせて貰えたのですが、
今年の4月からできなくなったそうで通行料を払い、島の無料駐車場にクルマを停めました。
そしてチャリを組み立て、ウェアを着込んで出発準備完了。
自分は海岸線を走るときは景色が良く、陸側の交差点が少ない
時計回りルートで走ることが多いです。
なので今回も北側のルートで出発。
通学中の学生さんと共に石畳の路地を走ると早速立派な建物がお出迎え。

蘭島閣美術館、木造建築の珍しい美術館です。
この島は江戸時代、朝鮮通信使の交通路だったこともあり史跡あちらこちらに散見されます。

昔の人は灯篭の明かりを頼りに船を出したりしていたのだろうかと、
はるか昔に想いを馳せつつペダルを漕ぎます。
さて、この下蒲刈島、北ルートだと2km足らずで次の橋に差し掛かります。

上蒲刈島へ続く、蒲刈大橋です。
高い橋を渡る為、坂道を駆け上がります。
この辺りはしまなみ海道とよく似ています。

初夏とはいえ時刻はまだ7時台、朝の涼しさが清々しい気持ちにさせてくれます。
そして上蒲刈島へ上陸。
通学中の小学生に気を付け、漁港を抜けて島の北側へ。

この海岸線からみる安芸灘大橋と野呂山の景色は綺麗でペダルにも力が入ります。
とはいえ最近の長雨の影響かいたる所で崖崩れが起きており、
この道も通行止めになっていましたので、引き返して南ルートで走ることに。
南は風が強かったり、坂やトンネルがあるので苦手ではあるのですが

こちらから見る瀬戸内海も侮れないものがあります。
碧海、碧空とはこういう景色を指すのでしょうね。
この先に掛かる豊島大橋は大型船も通過できる様、高い所に架けられており、
必然的に坂が長くなっています。しかもトンネル付き。
薄暗く、避難帯があるトンネルをビクビクしながら走っていると、

暗闇の中から姿を現す全長903mの豊島大橋。

小さな荷島と海を眺めているとさっきまでの疲労も消し飛びます。
橋を渡り切り長くて急な坂を下り、豊島に上陸。
小さいですが、のどかな海岸線と、こじんまりとしながらも活気のある漁港がある島です。
この島も北ルートで走行。
数キロ走ると左手に大きくカーブを描きながら高台に続くスロープが海岸線に突き出ています。
前回走った時にこの道が気になってみたのでブルーラインから外れて進路を左へ。
キツい坂道でした。
農道も兼ねているので道が山肌のみかん畑に沿うように走っていて、かなりのヒルクライム
丁度このくらいの時間になると、日差しも強くなり、落ちたペースと相まって
ジリジリと焼かれている気分です。
それでもペダルを漕ぎ続けて登り切った高台から、

次の豊浜大橋が見えてきました。
気が付けば橋より高い所まで来ていたのですね。
坂を下り橋を渡ります。
そうして到達、大崎下島。
とびしま海道でも屈指の大きな島で、文化財やフェリー等の公共機関も随一。
左手に三角島の造船所を見やりながら北海岸線を一路東へ。

この海岸線には整備された休憩所があるので、ここで本格的に一休み。
背中のポケットからゼリータイプの補給食を取り出して栄養補給。
ツーリング中にハンガーノック起こすと帰りがキツいのでまめに間食を入れます。
普段は半ば事務的に摂るエイドも、綺麗な景色を見ながら食べると美味しいものです。
これでまだまだ頑張れそう。
休憩所を少し過ぎると学校や、郵便局等住宅地に出てきました。
海岸線を走ればあっという間に過ぎてしまうほど小さい町ですが、
今回ちょっと山側の方にお邪魔してみました。

元気な園児たちの歌声や、農作業の準備をする農家さん、お寺の修復を見守る人たちと
普段の日常がそこにあり、それが無性に尊く感じられる平日サイクリングはやっぱりいいものです。

しばし走って次の橋が見えてきました。
今までと打って変わってコンクリート製の低くチョコンとした佇まいの平羅橋。
ここから岡村島までは平羅島、中ノ島と小さな小さな無人島をトントンと渡って向かいます。
橋は短く、あっと言う間に渡り終るのですが、

ターコイズブルーの水面に見惚れて、渡るのに随分と時間が掛かりました。
橋が低く、浅瀬なので島の輪郭がくっきりと見えて眺めてて飽きません。

中の瀬戸大橋を越え、中ノ島を周り、最後の橋である、岡村大橋へ。

この岡村大橋、他の橋と唯一無二、決定的に異なる特徴があります。

そう、愛媛県との県境上に架かっているのです!
愛媛への陸路はしまなみ海道だけと思われがちですが、ここにも隠れた陸路が存在するのです。
自転車で県をまたぐというのはクルマや電車では得難い達成感があります。
広島と愛媛で
白線に差があることについては深く考えないことにします。
そうして、島々を飛んで渡るように最後の島、岡村島に入島です。
この岡村島の道も所々崖崩れで交通規制が敷かれており、地元の方の交通を妨げない様、
注意を払いながら中心地の関前岡村を目指します。

道路からブルーラインが無くなると同時に、岡村港に到着。
同時に愛媛・今治市からのフェリーが接岸したところでした。
下船する人やクルマを見やりながらひとまず休憩。
この岡村港にはサイクリストにも有名な蒼い壁のカフェがあるのですが今は開店時間前。
それでもお腹は空くものです。
さてどうするか?と、港周辺を見渡すと、

気になる立て看板が。

店内でおばちゃんと世間話で盛り上がりつつ、ミネラルウォーターと豆大福を購入。
餡の甘さと適度に効いた塩味、豆の触感と、今まで食べてきた大福の中でも別格の味。
ひとしきり海を眺めながら休憩をとり、今度は今来た道をUターン。

島の日常を片目に再びブルーラインにタイヤを乗せます。
岡村島はとびしま海道の最も東に位置するだけあり遠くには、

悠然とそびえる来島海峡大橋が見えます。
数か月前に強風で苦しめられた橋ですが、悔しいくらいに見事で美しいのです。
彼方の橋も再び走りに行きたいものです。
向きが変われば景色も変わる、

THE・瀬戸内といった景色が眼前に広がり、復路のモチベショーンもばっちり。
さて、岡村大橋を渡った際、橋のたもとに気になる物を発見していたので今度は寄ってみました。

その名も縁結び人待ち瀬戸。
前来たときこんなのあったかな?
絵馬(?)に願いを書いて鐘を鳴らせば良縁に巡り合える、らしいです。
そんな眉唾に乗せられたりなんてしない…ッ!
絵馬奉納してきました。
鐘が思ってたよりも大音量でビビりました。
出会いに思いを馳せつつ、ぼっちライドは続きます。

大崎下島に戻り、今度は南下。
数キロ先の御手洗地区を目指します。
が、
前回寄り損ねて後悔していた山清青果さんに寄り道。

濃厚なみかんジュースを頂くことに。
びっくりする位濃厚で、甘いのに、お値段もびっくりの100円!
こんなに美味しいのにこんなに安くていいんですかね?
なんだか申し訳ない気持ちになりつつ、今度はいよかんジュース飲もう、と
次のツーリングプランが頭の中で既に組み上がりつつあります。
そうして到着、

御手洗地区。
かつて菅原道真公が京都から大宰府に左遷される際に立ち寄り、手を洗ったという故事から
この地名が付いたと云われ、江戸時代には風待ち、汐待の船の停泊所として賑わった地域です。

当時の名残を伝える灯台を眺めながら自転車を降り徒歩で町内を散策します。

軒先には地元自治会の方々によって花が活けられており、見目麗しいですね。

こういう地元住民のもてなしを受けるのは嬉しく、ありがたいです。

今日は閉まっていましたが、縁側から海を眺めて食べるアナゴ飯はさぞ美味しそうです。

そうして迷い込むノスタルジィ。
古い町並みが出迎えます。

まるで大正か昭和の世界に迷い込んでしまったのかと錯覚する位、懐かしい感触に襲われます。

所々に混ざる西洋文化が列強諸国を見習い、追いつけ追い越せと、
遮二無二駆け抜けた激動の時代の残滓となって残っているような、不思議な感覚。

今では珍しい劇場もしっかり残り当時を伝えてきます。
多くの人がここに来るのを楽しみにし、きっと笑顔で来ていたんだろうなぁ、と
勝手に当時を思い浮かべて静かな劇場を眺めます。

その後もいろいろと路地を散策し、地元の人と今日は暑いですねーと世間話をしながら見て回ります。

気が付けば平成ももうじき30年経とうとしています。

この懐かしい風景がまだまだあることに感謝し、来た道を戻ることにしました。

御手洗地区をちょっと北に戻るとフェリー港に併設された「ゆたか海の駅」という施設があります。
”道”は聞きますが”海”は初めて。
さもありなん、ここは日本初の海の駅。
今日はここでお昼にします。
狙いは今呉観光協会が行っているイベント、「呉海自カレー」を食べること!
海上自衛隊の艦船で実際に食べられているカレーを各店舗が再現し、それを食べ歩き、
ステッカーを集めると景品が貰えるという、カレー好きには堪らんイベントなのです。
このとびしま海道でもこの海の駅で提供されていて、ここに来るのも目的の一つでした。
そんな訳で早速カレーを注文。

待つこと十数分、「しまゆき」のカレーがでてきました!
隠し味に豆板醤が使われ、辛さの中にもコクがあるスパイシーな一皿。
エアコンの効いた店内にもかかわらず汗が止まりません。
辛い、でも美味い!
そうして、完食。
ゆっくりとしたいところですが、もう一つ目的があるのですぐさま再出発。

いつもの自分なら今度は南側を走るのですが、時間優先で行きと同様北ルートで走ります。
今度はちょっとペースを上げて走ります。

坂道を避けるため豊浜大橋は正規のルートで走りましたが、こちらだと橋を見上げるアングルになります。
丁度この近くに文字通り隠れたラーメンの名店があるらしいのですが、
散策も寄り道も時間が厳しく、今回はスルー。
これはまた今後のお楽しみに取っておきましょう。
とはいえ、坂を完全に無くすルートは存在せず、

高い所に架かる豊島大橋は斜度7パーセントの坂を絶対に上らないといけません。
キツくはありますがそこまで長くないし、景色がいいので頑張れます。
でも来るときには気付かなかった土砂滑りを発見しびっくり。
今年の梅雨は何かがおかしい…。
豊島大橋を渡り、大浦トンネルを抜けると再びの下り坂。

どこまでも道が続くような爽快感を味わいながら坂を下ります。
この先が再び上り坂になっているという事実には
気付かないフリをします。
以前足が攣った上り坂も今回は問題なくクリアし、
スタート地点の下蒲刈島の駐車場に無事戻ってきました。
本来ならゆっくりと余韻に浸りながら帰るところですが、とある時間が迫っているので
テキパキと撤収準備をし、今度はプレマシーを走らせます。
間に合うも八卦、間に合わないも八卦、さてはて、結果の程は如何なるものか。

間に合いました。14時までの呉市役所の海自「うんりゅう」カレー、無事食べることができました。
市役所は土日閉まっていますので、ここのカレーは平日限定、まさに今日がチャンスだったのです。
ゴロゴロと大きなジャガイモがたっぷり入ったカレーはどことなく懐かしい家庭の味でした。
そしてもれなく牛乳が付いてくるので神。
サイクリングで消費したカロリーを補った後は

大和ミュージアムへ。
新しい企画展が始まったのでそちらを是非とも見ておきたいと思い入館。
招待券を出し、企画展へ。
今回の内容は写真によって呉市と海軍工廠を振り返るというもの。
当時の写真やカメラがこれでもかと展示され、カメラ技術と生活がどう向上して来たかが、
つぶさに知ることができました。
機関銃型カメラとか胸熱過ぎんだろ。

当時の資料やエピソードを知るにつれ、当時の人は凄いなと畏敬の念を感じずにはいられません。
これだけの巨大戦艦を造り上げたのにはただただ脱帽あるのみです。
通常展示も見て回ると所々展示物が入れ替わっていて、
零式艦上戦闘機六二型の横にはチョコンと精巧に作られたミニチュアのカットモデルが。

うむ、スケスケエロイ。
他にも三菱重工製の本物の火星二一型発動機がシレっと据えられてたりと、
何度来ても飽きないですねここは。

ここまで状態のいい星形発動機初めて見ましたけど、空冷フィンのピッチ狭さに驚きました。
よくこの精度で鋳込めたな、とまたもや感嘆、いやもう畏怖の領域です。
14気筒の1850馬力とかってロマンやん?
館内を見て回り、渋滞が始まる前に呉を出発。
最後の目的地、

広島市にやってきました。
時刻は18時前の夕方にも関わらず市内にはまだ蒸し暑さが残っています。
汗を流しながら市内で買い物。薄い本とか雑貨とか薄い本を買って帰りました。

家族にお土産も用意。
これで放蕩を咎められることもないでしょう。

今回のルート。
通行止めで引き返したり、山に登ってみたりしても70km程度の行程でした。
なので最短なら60km程度でしょうか。
その日の気分、体調、時間等でルートを柔軟に選べるのも瀬戸内サイクリングの醍醐味ですね。
次はかきしま海道を目指します!