普段から仲良くさせて頂いているみん友さんで、ロミチューンユーザーの一人でもある御仁から
「厚木(オートコンセプトジャパン)に300SRTの黒(2015)が入庫しているよ!」との情報が入りました。
待ちに待ったチャンス到来です。
実は、オートコンセプトジャパンのブログに載っているチューニング履歴のひとつ、300SRT(2015)+ロミチューンStage#1が凄まじい加速を魅せつける、との話が以前から耳に入っており、とても気になっておりました。是非一度、300SRT 8速のロミチューンの実力を味わってみたいと願っていたところでした。
ちなみに「ロミチューン」というのはROMチューンの訛りではなく、オートコンセプトジャパン社長兼チューナーであるロミオさんオリジナルのコンピューターチューニングのことです。最近知り合いの方々から、ロミチューンって何?と聞かれることが何度かありましたので、念のため。
早速、オートコンセプトジャパンのロミオさんに電話です。
「300SRTの黒(2015)ロミチューンの最終確認はいつですか?」
「丁度良かった。今日作業が終わるのでテストドライブやりましょう。データ確認も済ませたいので。」
なんということでしょう。テストドライブをお任せ頂けることとなりました。
300SRTのオーナー様からテストドライブ実施について、事前のご了承も頂けたとのことです。
ということで、平日ですが仕事をさっさと切り上げ、厚木へGo!です。
道すがら、300SRT(2015)は392HEMI 8速で自分のクルマと同じエンジンとトランスミッション型式、違いは、
2WDであること、
500kgくらい軽いこと、
ギア比が違うこと、
くらいか、と考えている間にオートコンセプトジャパンに到着。
テストドライブ前にチューニング内容についてロミオ社長からレクチャーを受け、いよいよテストドライブ開始です。
運転席に乗りこんだ瞬間、「うわっ!」と気付き、続いてエンジンスタートした瞬間、「おぉ~!」と思い知りました。
自分のクルマとの「違い」が自分が考えていたどころではない!という間違いに。
何しろChrysler 300 SRTですもんね~。あまり一般人の選択肢には上がらない高級スポーツセダンです。
自分のトラックタイプのJEEP SRTと比べると、内外装の作りがすべて高級です。
マフラーも全く違います。これがノーマルマフラーか?というくらいの低音の響き、しかも重々しい感じではなく性能重視のマフラーでいかにも抜けがよさそうに感じる音です。やんちゃな大人の男心を刺激するのは間違いありません。
チューニング前後の差を明確に把握しチューニング効果を確実に理解するため、まずはチューニングなしの状態でテストドライブを開始します。
走り始め、、、
ロミチューン経験が無いドライバーなら、
街乗りで十分満足のいく低速トルクと加速感,、と感じるはずです。
2,000rpmを少し超えるくらいまでのエンジン回転数でほとんどの状況はカバーできます。
続いて高速道路の合流加速、追い越し加速、どちらも満足できる機敏さです。
巡航からの加速で一気に速度を上げて行き、さらに回転数を引っ張ってからののシフトアップ時、排気音の「ブォォー!!」という咆哮にわくわくさせられます。
そうこうしているうちに速度もスグにやばい領域に突入していきます。
この同じ状況をロミチューン経験のあるドライバー目線で表現すると、以下のような感じになります。
発進や低速走行時、アクセルをもうちょっと踏み足したくなるなぁ、
加速でワンテンポ遅れる感じがする、
高速道路の合流加速では吹け上がりのダルさが気になるなぁ、
追い越し加速ではもっと豪快にぶっ飛んで行くはずだけど、ちょっと勿体無い、
音ももっとアメ車っぽく、心地良くなるはず、
あと、ギアのつながりに若干ギクシャク感が。。。
ノーマルが悪いとは思いません。素の状態でもエンジンはもちろんパワフルですし、他社のV8車と信号で「用意ドン」しても抜け出して行く実力があるでしょう。もちろん6.4L SRTですからノーマルの5.7Lクラスはあっさり置きざりにするはずです。超高速ステージにおいても公道(高速道路)の制限速度の2倍を超えてなお、加速し続けるパワーがあります。
ただ、ロミチューン経験者は、このノーマル状態のクルマは本来の実力を出し切れていない、ということをヒシヒシと感じてしまうことも事実です。
次に、いよいよロミチューンのテストドライブです。
ロミチューンデータをOBD IIコネクタからダウンロードします。
なにしろ30分前までロミチューン済みの自分のクルマ(グランドチェロキー)を運転していましたし、自分のクルマのほうがギア比が低い分、出だしの部分でビックリはしないはず、そのような心持でロミチューン車となった300SRTの運転を開始しました。
アクセルを少し踏み、走り始めます。
やはりロミチューンの特徴の一つ、走り始めの押し出しの強さは予想通りです。チューニング前と比べて明らかに軽やかにしかも素早く前に進んでいきます。ここは想定通り。
が、しかし、走り始めたその少し後(40km/hくらいから)の速度の上がり方とシフトアップの早さには、「おっ、速っ!このクルマ!」となりました。
以前より別ブログでも述べていますが、ロミチューンの低中回転域のトルク感は特筆もので、クルマがドンドン前に出て行ってしまうのはこちらも織り込み済みなのですが、このクルマは特に軽いんです。
正確に言うと軽く感じてしまうんです。この軽さがロミチューンの特性をさらに際立たせています。
普通に考えれば2t越えですから軽いはずはないのですが、あきらかに392HEMI+ロミチューンの実力に対してこのクルマは軽いです。
簡単過ぎるくらいに加速しますし、サクサクと高いギアに移っていきます。え、もう?というくらいの短時間の加速で8速まで入ります。60km/h手前で。
しかもシフトショックをほとんど感じることも無く。
ロミチューンに軽さが加わると凄いことになるんだ!と、驚かされました。
街中の走行では、チューニング前と比較して300rpmくらい低回転で同じ速度域の走行となります。
ギアも従来より1つ2つは高めが選ばれています。
街中での低速走行は本当に楽になります。
ちょっとした上り坂での加速でもキックダウンせずに粘りますし、高いギアのまま加速もしますので、車自体の動きがスムーズで乗り心地は快適です。
シフトチェンジのショックが少ないため、ミッション表示を見ないと今何速に入っているのか気付かない程です。
チューニング前後で排気音も若干変化し、アメ車のドロドロ感が増しました。
街中ももちろんイイのですが、でもやはり、ロミチューンの真骨頂は高速域での豪快な加速と息継ぎのない伸びやかさでしょう。
高速道路の合流では、先ほどの半分ほどの時間で流れに乗る速度まで達します。
高速道路の登り坂で踏込みます。素早くショックも少なくキックダウンしたかと思うと猛烈な勢いで速度が上がって行き、あっと言う間に「ふわわ」な速度に達します。そこまでに達する時間が異常です。短か過ぎます。
しかも回転を引っ張った後のシフトアップ時の排気音変化、「ガォォー!!」という音が気分をいっそう盛り上げます。
元々いい音をさせているノーマルマフラーですが、シフトアップ時のワイルドな咆哮はたまりません!
このクルマは高速走行時の安定感が高いため、かなり速度を出しても緊張感が無いのですが、メーターを見てみると「うわっ!」と、なり、別な不安を感じるようになります。
パワーだけではなく、免許がなくなる可能性まで上がってしまった!と (笑)
高速道路の平坦部分、登り坂部分を利用して、回転上昇の繋がりの良さ、加速の凄さ、シフトチェンジの滑らかさを確かめていましたが、楽しすぎたので高速道路の出口を2つもパスしてしまいました。
チューニングとは無関係なことですが、この300SRTというクルマ本来の特徴がいくつか判ってきました。
まず、高速時の安定性が素晴らしく不安感がない、ということが挙げられます。
その高速走行にしっかり対応するためのブレーキも、さすがブレンボです。すご~い速度からのきつめのブレーキングでも、ググっ!とくるまを路面に押し付けながら停まります。
新しい300になってからのトラクションコントロールも進化しているらしく、雑なアクセルの踏み方をして、ズルっと横ズレするかな?というシチュエーションでも、働いているかどうか気付かないくらいの素早さと自然な制御でクルマを安定させます。
その他にもいろいろとありますが、それはまた別の機会に。
引き続き、高速道路と一般道を走りながら、色々な速度域と回転数で、上り坂、平坦、下り坂、それぞれで動きを確認しましたが、どこからでも瞬発力を発揮しますし、通常速度の運転でも常時スムーズさが際だっていました。
また、条件考慮の足りていないチューニングでは、下り坂での加速やシフト動作にギクシャク感を感じたり、中途半端な上り坂では不自然なシフトアップ・ダウンなど発生しがちですが、このロミチューンではそのような不具合は皆無です。ギアのつながりが静かで、回転数が上がり過ぎたり不足したりすることもなく、スムーズでありながら必要に応じて瞬時に怒涛の加速を見せ付けます。
この300SRTの安定感が高いため余計に感じることなのかもしれませんが、今回このクルマに乗ってみて改めて感じるのは、チューニングが行き着くところまで達してくると、チューニングしたこと自体が判りづらくなるのではないか、ということです。
例えば、チューニングと言って短絡的に思いつくのは燃調マップや点火時期マップの変更だと思います。
最高速と数値上のピークパワーだけを求めるのであれば、燃調マップで高回転側とアクセル開度大側の燃料噴射量を変更(増加)し、点火時期を進角させる。。。これくらいで済ますチューナーもいるのかも知れません。
ただ、低速側の運転のし易さ、パワー&トルクカーブのリニア性、下から上まで全域での繋がりの良さまでを考慮するとなると、途端にチューニングは複雑極まりないものになるそうです。
上に述べた二つの調整をすることだけを例にとっても、単純な2次元だったマップは、様々な条件を考慮するためにマップ数が増加=3次元化し、動作状況に応じて選択される数値が一つのマップ上を平面移動するのではなく、立体的(3D)空間を移動することになるので、そのときどきの変化がいつもスムーズな繋がりとなるようにするためには、莫大な組み合わせを考慮した数値設定が必要になるのだと。
加えて、実際にクルマを動かすトランスミッション制御のマップも条件ごとに用意され3Dマップ化しているわけですから、エンジン制御の3Dマップとトランスミッション制御の3Dマップの連動性を考慮、となると、もはや頭の中だけで整理できる情報量ではないはずです。
どのような方法とアルゴリズムでプログラミングやマップの最適数値化を行っているかは、それぞれのチューナのKnow Howで秘中の秘だと思いますが、ロミチューンでは各センサーから送られてくる莫大なパラメータ情報の管理と複数の3次元マップの相互連携をみごとに作り上げていると思います。
スムーズさの反対、判り易い挙動(違和感という意味で)というのは、加速度変化が急激であったり、動作の連続性にギャップが生じることよって生まれると思います。
パワーやトルクを圧倒的に向上させても、その出力カーブがアイドルからRedゾーン手前までリニアで連続性が保たれ、加えて、出力をクルマの動きとして伝えるトランスミッションにおけるシフト制御が素早くシームレスであれば、大きな加速度変化やギャップを感じなくなり、変化が判りづらい=違和感が生じない、ということになるのではないでしょうか。
ロミチューンはこういう意味で本当に判りづらいチューニングだと思います。
でも、スムーズ過ぎるとチューニングの実力を感じられないのでは?と不安になるかもしれませんが、そうではありません。
ロミチューン車を走らせれば、実際に目に飛び込んでくる風景速度の変化や体に加わる猛烈なGは隠しようもありませんし、ましてや、他の車がついて来れませんから。
それでもチューニング結果の確証を得たい!という場合は何かしらのタイム計測(0-100、0-400、レーストラックなど)をすることをお進めします。間違いなく証拠は得られます。経験済みです。
話がだいぶ反れてしまいましたが、今回のテストドライブで、この300 SRTがロミチューンによって凄いクルマになっていることを体感いたしました。本当に速くなりましたし、運転し易くなっています。テストドライブはあくまで公道での確認作業ですので、試すことは出来ませんでしたが、最高速も凄いことになっている!はずです。
また、今回のテストドライブで300 SRT自体がとても素性の良いクルマだということも知ることができました。
オーナー様、ロミオ社長、テストドライブの機会を与えてくださり、有難うございました。
ところで、
前から薄々気付いてはいたのですが、ロミチューンした後、そのクルマをどうやって楽しむか。
クルマ談義をするときは、ロミチューンオーナー同士の話はとても面白いです。着目点が似通っていて笑えます。
クルマを走らせるとき、他のチューナーが手がけたクルマと渡り合うのも楽しいと思いますが、一番楽しめるのはロミチューン同士のバトルなのではないかと。。。