
境港へ、ぼっちドライブしてきました。
米子のパン屋さんに友人がいるのですが金勢大明神のブログを見せたところ、「らしいっちゃらしいけど、やり過ぎ(笑)ブラカス君改めエロカス君にしたら?」って言われたので、今回の境港編は淡々と貼らずにSS風に…
では、境港に行って来ましたSS風で(*^^*)
父親を早くに亡くし、女手一つで育ててくれた母親に心配をかけたくないと幼少時に無理矢理に笑顔を作り、感情を表に出さないのが癖になった人生の半分が過ぎた男の話です。
「手」前編
男は車の運転が好きなことからトラックドライバーを職業としており、今日も1日の仕事が深夜に終わりトラックの洗車や片付けをして…
「今日も無事、終了~」
ホッと一息ついて、自分の手を何気無く見たら…
嫁さんに子供二人を置いて逃げられ、仕事に家事育児としてきた不器用な男のゴツゴツでボロボロな手が、そこに…
「昔は細くて綺麗な手だったけどな…ま、いっか」
帰宅し、疲れからか、いつの間にか眠りに…
『おい!元気か!?』
男は小学生の頃に聞いた覚えのある声で目覚め、一言…
「太郎?」
男は声の主の名前をすぐさま思い出しました。
「あの頃は楽しかったな」
「もう一度、戻ってみたい」
男は無性に声の主に会いたくなって冷水で顔を洗い意識をハッキリさせると、声の主が住むはずの場所へと車を走らせる…
「気温は5℃か…この辺りは、まだまだ冷えるな…」
「おーい!太郎?」
呼んでみたけど返事がない…
「そういや、あいつは住む場所が汚くなったから、ここに来たって言ってたな…」
「もしかすると、前に住んでた所が綺麗になって帰ってるのかも!」
男は声の主から聞いたことのある前に住んでた場所へと…
車を止めて、辺りを探してみると…

「あっ!あの後ろ姿は!」
「加茂坊と太郎の弟!?」
「おい!!」
男が叫ぶと振り向き…

『よく来たな!あっちに太郎もいるぞ!』
30年以上も会っていないのに覚えていてくれた…
「行ってみる!」
男が駆け出し、着いた先には…
『よっ!』って手を挙げる太郎と母親と母親にしがみつく妹の花子達3人の姿が…
「よく覚えていてくれたな!?30年以上も会ってないのに」と、男が言うと
『俺達、カッパからすると人間の30年なんて、アッという間さ!なんせ父ちゃんは500歳を越えてるし、俺も400歳を越えてるんだから』
「なるほど!」だから母ちゃんは巨乳なのか…と男は妙に納得して
「じゃあ、他の一緒に遊んだみんなは?」と聞くと…
『境港の方へ行ってみなよ!』と、太郎が言うので
「また、来るよ!」って男は言い残して境港へ…
境港の駐車場に車を止めて、歩いて向かう男に後ろから声が…
『やあ、よく来たね!こっちだよ!!こっち』と声を掛けてきたのは…

ポストの上にいる鬼太郎と目玉オヤジでした。
男は、ここでも覚えてくれてた!と嬉しくて大きな声で…
「久しぶり!来たよ!!」
早朝とはいえ、何人かの通行人がおり、振り向かれたり、怪訝な顔をされたりして、男は恥ずかしくなり、小さな声で…
「他のみんなは?」と男が問いかけると…
鬼太郎と目玉オヤジはニヤニヤと笑いながら『後ろを見てごらんよ。』と、一言…
男が後ろを振り向くと、一緒に竹馬をして遊んだ友達が…
『また、遊ぼうぜ!』と、言われ嬉しかったが、「流石にいい歳をこいたオッサンが人前で出来ないよ。」と男は笑顔で答えた。
そう、父親を幼少に亡くし、母親には忙しくて構ってもらえなかった男の友達は妖怪達だったのだ。
『へっへ~』頭上から声がするので見上げると…

ここにもいた!
「よう!」
『みんな、待ってたから会っていけよ!』と言われ、「もちろん会うさ。またな!!」と、男は疲れているはずの身体が軽くなるのを感じながら歩いた。

水泳が苦手だった男に泳ぎ方を教えてくれたガラッパに会い…

小さな頃に1人で寂しく食べてた晩飯をいつの間にか一緒に食べてくれてた、ぬらりひょんに会い…

小学生の時に、傘を忘れて濡れて帰ってたら、『入れよ!』って言ってくれた傘化けにも会えた…
「あの時は、ありがとな!」
『風邪をひいたら、お前の母ちゃんが困っただろ、気にすんな。』
そうだよな…
「とにかく、ありがとな!」

貧乏でオヤツも無くてお腹が減ってる時に何故か豆腐をオヤツに持って来てくれた豆腐小僧…
『豆腐、食ってるか?』
「お陰様で好物さ!」

足元にまとわりついて寂しさを紛れさせてくれた、すねこすり達…

夜中にトイレに行く時に何べんも、ぶち当たったぬりかべ…ぬぼ~っと立ってんじゃねえよ…
(´ω`)マニアワズニモラシタロ…

小豆洗いに会い…

子泣きじじいに会い…
『よう!』
「うわ!!」
「びっくりしたなぁ、もう!いきなり後ろから肩を叩くなよ…ねずみ男。」
『あっちに猫娘も、いんぞ!』
「そっか、行ってみるよ。サンキュー!」

何を柱の陰から様子を伺ってるんだか…

『久しぶり~』
「久しぶりだね」
『座って話そうよ』
「久しぶりに、みんなに会えて嬉しいよ。」
「あの頃は、楽しかったな…」
『あんたは人間だけど友達だから、いいこと教えてあげる。妖怪列車に乗ったら過去に戻れるんだよ。』
「マジで?」
「妖怪神社に御参りしたら乗ってみるよ、ありがとな。」
猫娘にバイバイして妖怪神社へ…

「みんな温かく迎えてくれて嬉しかったです。みんな元気で楽しく暮らせますように…」
「御参りも済んだし、妖怪列車に乗ってみるか…」
男は猫娘に教えてもらった過去に戻れるって言い伝えを半信半疑に思いながら、駅へと…
後編に続く
Posted at 2016/04/13 04:26:29 | |
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