
昨年7月にZOOM F3が我が家においでになってから早9ヶ月···。
何かと忙しさにかまけている間に、随分と月日が経ってしまいました。
私もいろいろとあるんですよ(T_T)
···などという言い訳を言ってみたものの、新しいことを始める際は取り扱いを覚えたりと、手をつけるまでなにかと時間がかかりますが、今回は流石に時間がかかり過ぎていますので反省しております。
なので、本腰を入れて今後を過ごすためにも、まずはタブレットのWindowsPCで音楽を再生し、ZOOM F3へ音楽を落とし込むところから始めるとしましょう。
そもそもZOOM F3はアウトドアでの使用を前提としたフィールドレコーダーであって、厳密にいえば音楽を録音する機材ではないのですが、安価でありながらそのスペックに惚れて購入するに至りました。
ZOOM F3は乾電池での駆動も可能で、アウトドアでの使用を前提としている本機ですが、私はあえて音楽録音器として採用しました。
理想としては、ハイレゾ音源信号をそのままデジタル保存したかったのですが、勿論それは叶わず、ハイレゾ→アナログ変換→デジタル録音という流れです。
そのアナログ変換した音源を、できるだけ高音質で保存するという構想が、今回構築したシステムになります。
当然私もご多分に漏れず一般小市民ですので、ハイエンド機器は高額過ぎますし、オーディオルームなどあるはずもありませんので、できる限り、できる範囲内で高音質を目指すということです。
まぁ、兎にも角にもやっとZOOM F3の試し録りに漕ぎ着けました。
まず、タブレットWindowsPCで音楽を再生し、ZOOM F3で録音するまでの一連の流れを構成するシステム紹介から始めましょう。
ちなみに、ZOOM F3のコーデックはリニアPCMで、拡張子は.wavのWAV(Waveform Audio File Format)で録音されます。
使用パソコン
タブレットPC FUJITSU STYLISTIC Q Q702/G FMVNQ8P1
USB DAC
TOPPING D10s
プリアンプ
TOPPING A50s
録音機材
ZOOM F3
あと、上記以外で必要な物は、OTGケーブル、XLRケーブル、microSDカード、ZOOM無線アダプタBTA-1、ZOOM F3 Controlアプリ、不要なAndroidスマホ(iPhoneは使用したことがないので悪しからず)です。
ここまでが、あくまでも音楽を再生・録音するだけのシステムです。
それと、録音した音楽ファイルを編集・加工できるソフトが必要ですが、こちらは、上記のシステムとは別の、独立したWindowsPCで行っております。
1台のPCでハイレゾ音源を再生しながら、容量の大きなファイルを編集・加工するにはPCへの負荷が大き過ぎると考えたので、2台体制で作業します。
これにより、音楽を録音しながら、別のPCで作業することにより、編集・加工作業が格段にスムーズになります。
私はAmazon Music一択で音楽を再生していますが、Amazon Musicを再生しているタブレットWindowsPCは、あくまでもAmazon Musicを再生するだけのPCで、それ以外の用途では使用しません。
こちらのタブレットWindowsPCは、ヤフオクで15,000円程でしたので即買いでした。
それで、実際の編集・加工作業ですが、私の場合、音楽編集ソフトはAudacityというフリーソフトを、タグ編集にはMP3tagというフリーソフトを使用しています。
どちらのフリーソフトも、ネット上に情報が豊富にありますので、インストールから運用まで問題なく使用できますのでご安心ください。
そして、音楽を再生する前提条件として、Amazon MusicやSpotifyを始めとする音楽のストリーミングサービスが必須で、ハイレゾを視聴可能な環境が必要です。
Audacityですが、フリーソフトだからと侮ることはできず、非常に高性能・高機能であり、よほどの事がない限り不満は生じない程です。
基本的な、カット&ペースト、クリックノイズ・ホワイトノイズ除去、ノーマライズ、フェードイン・フェードアウト、トラック作成などは当然可能で、その他使用しきれていない機能が多数あります。
難点は、慣れれば問題はないのですが、使用感が複雑なことと、高機能過ぎて使いこなしが難しいといったところでしょうか。
AudacityはWAV(WAVE)形式の取り込みは勿論で、様々な音声ファイル形式に対応していますが、MP3の書き出しには別にプラグインする必要があります。
また、タグ編集にはMP3tagを使用しておりますが、MP3tagも非常に高機能で、スマホ等に音楽を落とし込み、表示される際の文字化けを防ぐのに必須で、読み込み、書き込み、削除を正確に且つ一度に処理してくれます。
MP3tagでは、アルバムアートの埋め込みも可能で、アルバムアート画像は様々な形式の中でもあまり大きくないサイズ、500✕500サイズ位の ipeg形式の画像を埋め込んであげればスマホでも表示可能です。
tagの問題は非常に悩ましい問題で、完璧に管理できる音声ファイル形式は、MP3(MPEG-1 Audio Layer3)とFLAC(Free Lossless Audio Codec)の二択だと思います。
tagの管理=音楽の管理ですので、数万曲ともなると非常にシビアな問題です。
ファイル名、パス、タイトル、アーティスト、アルバムアーティスト、トラック、ディスクナンバー、作製年、ジャンル、コーデック、ビットレート、周波数、曲長、更新日時が一目で確認でき、編集できますので、重宝しております。
昔は、CDから直接WindowsPCにアルバムをリッピングして管理?していましたが、この場合特段の指示をしなければ、WMA(Windows Media Audio)というファイル形式で保存されます。
CDのビットレートが44.1KHz 16bitだと考えれば、これ以上でのビットレートで保存しても容量ばかりが増え、意味をなさないことになります。
CD1枚の容量が約700MBですから、WMAの320kbpsで録音されているならば、そこそこの高音質が望めます。
ですが、WMAのtagは酷いの一言で、まったく編集できず、大量の音楽管理には不向きという言葉では生ぬるく、とどのつまり、管理できません。
WMAのtagが酷いのには原因があり、tag情報が決まった場所に正確に書き込まれず、またtag編集出来ない情報が多くあるためです。
こうなると大量の音楽管理には致命的で、音楽を収めたフォルダ内は散らかった状態になってしまいます。
これを避けるためには、CDからWindowsPCへのリッピングの指示をMP3にすることでWMAでの録音回避が可能になります。
WMAもMP3も圧縮音源であり、320kbpsが最高ビットレートになります。
様々な音声のファイル形式がある中で、一番古く汎用性に長けており、良くも悪くも世界中にその名前が知られている圧縮音源形式がMP3です。
MP3はなんの理由もなく有名になった訳ではなく、圧縮音源の中でも非常扱いやすく、且つ高音質であり、ファイルサイズが小さい事で人気を集めました。
現在でも、その市場占有率は非常に高く、メリットとデメリットの比較衡量の結果、圧縮音源のシェアにおいて圧倒的な普及率を誇ります。
汎用的なMP3と、Appelユーザーが多く使用するAAC(Advanced Audio Coding)では、双方同一のビットレートでほぼ同程度の音質ですが、原音の約1/20程度まで圧縮できる圧縮音源であった時、収録された音源が一般的に128Kbpsを超える場合、MP3の方が音質が良いとされています。
人間の可聴域を鑑みると、CDの44.1KHz 16bit、WMA・MP3・AACの320kbpsでもまったく問題ないと思いますが、WMA・MP3・AACはどれも圧縮音源で非可逆圧縮なのです。
音源には、非圧縮、可逆圧縮、非可逆圧縮とありますが、CDは高音と低音の収録周波数に限度(ハイローパス、高音は20,000Hz以上、低音は20Hz以下は収録されていない)がありますし、WMAをはじめ、MP3やAACなどは、非可逆圧縮なので、一度圧縮してしまうと元には戻せません。
MP3はファイルサイズの関係上、世間一般的に非常に重宝され、私も愛用していますが、音質を突き詰める場合は、いささか不満な部分がない訳ではありません。
そこで、私は幸にいもハイレゾ音源を視聴できる環境にあるので、音楽蒐集家の私としては、録音ファイル形式をFLAC Lv5での録音・管理を目指したわけです。
FLACは可逆圧縮で、加工が容易であり、そこそこ圧縮できる上、高音質音源の保存と管理に向いていますが、当然MP3などの圧縮音源形式で保存するより、ファイルサイズが大きくなってしまうというデメリットがあります。
私が録音ファイルを作成する基本的概念として、高音質・可逆圧縮・できるだけ小さなファイルサイズでの保存が理想なのですが、そんな旨い話しはないので、妥協点としての着地点が、FLAC Lv5での録音でした。
代表的な音楽録音形式にMP3やAAC等がありますが、この世の中には数多のコーデックが存在します。
先に述べたWAVをはじめ、MP3やAAC、WMA以外にも、非可逆圧縮のVorbis(Ogg Vorbis)、AC3、MP2、可逆圧縮のALAC、後述するFLAC、TAK、WMA lossless、Monkey's Audioなどがあり、知識としてはありますが、中には出会ったことのない形式もあります。
FLACの良い事取りのTAK、WMA lossless、圧縮率だけが取り柄のMonkey's Audioは、ほとんど対応機種がないのでご注意ください。
様々なコーデックについて詳しく知りたい方は、各々で調べてくださいね(笑)。
さて、録音環境ですが、先に述べた機材を使用して行います。
私はAmazon Music Unlimited(Ultra HD)を愛用していますが、最高ビットレートは192KHz 24bitとのことなので、タブレットWindowsPCにインストールしてあるTOPPING D10sのサウンドコントロールパネルの設定を192KHz 24bitに合わせ、サウンドテストしておきます。
余談でTOPPING D10sの概要ですが、PCM384kHz / 32bit、DSD256(ネイティブ)までのデコードが可能で、日常使用なら十分な性能であって、あえて言うならこれ以上の音源がどこで手に入るのか?っちゅう話です。
ZOOM F3の設定は、せっかく32bit Float(32ビット浮動小数点)録音が可能なので、最高の192KHz 32bit Floatに設定しておきます。
ZOOM F3の設定を32bit Floatに設定しておく理由は、ファイルをAudacityに取り込み加工する際、音量を気にすることなく調整が可能となるためです。
いわゆるレベルオーバーフローを起こさせないために32bit Floatに設定しておく訳です。
レベルオーバーフローとは、音割れのことで、32bit Floatでの録音は音割れとは無縁なのです。
Audacityも32bit Floatに対応しているため、加工の観点からその設定にします。
ちなみに、32bit Floatの解説は少し難解なので簡単な説明にとどめますが、ざっくりいうと16bit音源は65,536、24bitは16,700,000、32bitは136,234,000通りのオーディオの振幅レベルを表現できます。
また、ダイナミックレンジに関しても差は歴然で、16bitでは最大96.3dB、24bitでは最大144.5dB、これに対して32bit Floatでは、最大1,528dBという途方もない範囲で収録できます。
32bit Float、これは地球上で“音”として捉えられるものの規模すら超えていて、あらゆる音を収録できることを意味します。
地球上の大気の中で出すことのできる音の限界は194㏈で、それ以上は衝撃波となってしまいます。
アポロの月面ロケットが発射される時に220dBを計測したという説もあるようですが、これはもう“音”ではなく、もはや“衝撃波”です。
ですので、32bit Floatがいかに収録範囲が広いかが少しは理解できると思います。
ZOOM F3のコントロールですが、無線アダプタBTA-1を介して、使用していない古いスマホを用いて行います
スマホには予め、グーグルPlayストアから『ZOOM F3 Control』というアプリをインストールしておきます。
本体の物理ボタンを使用しても問題ないのでしょうが、あえてこの無線アダプタBTA-1を使用する理由は、ノイズ対策です。
本体の物理ボタンを使用しての録音は、ノイズの原因になるので、リモートコントロールを使用します。
ZOOM F3 Controlは設定は勿論、操作全般を行うことができ、本体に立体的に配置されている物理ボタンに触れることなく、ZOOM F3をコントロールできるということが最大の特徴でありメリットです。
リモートコントロールしている間は、ZOOM F3本体に触れても操作が出来ないようになっていますので安心です。
また、スマホのアプリ画面での操作のみになり、ミスタッチを防ぐスマホの画面ロックが可能です。
ZOOM F3に使用する録音用microSDですが、256GBを使用しています。
実は、microSDのスペックも非常に重要で、書き込みや読み出しの速度をはじめ、あまり安価な低スペックのmicroSDは避けました。
使用するmicroSDは、Kingston microSD 256GB 読み込み最大170MB/s 書き出し最大90MB/s UHS-I U3 V30 A2 Canvas Go! Plus SDCG3/256GBです。
こんな大容量のmicroSDは必要ないのですが、現在のネット市場で32GB程度のmicroSDを買うより、性能もコストパフォーマンスも良いので256GBにしました。
今更ですが、microSDにも非常に重要な規格と容量があり、これを知らずしては、せっかくの音楽の収録は道半ばになってしまいます。
2000年にSDSCの規格で、FAT16フォーマット、記憶容量2MBのSDカードが登場し、その後2006年にSDHC FAT32 32GB、2009年にSDXC exFAT 2TB、2018年にSDUC exFAT 128TBと変遷してきました。
SDカードやmicroSDカードは目覚ましい進化を遂げ、もはや1つのファイルに収録できるデータ制限は無いように思われます。
ところで、先にも述べましたが、ZOOM F3は録音がリニアPCM方式なので、作成されるファイルはWAVになります。
こちらのWAVですが、非圧縮で原音そのものになるのですが、その情報量の大きさたるや、恐ろしいほどのファイルサイズです!
『2Gの壁』という言葉を聞いた事があるでしょうか?
microSD等にファイルを作成する際、2G未満でファイルが作成されることです。
私のイチオシのアーティストの最新アルバムを録音した際のことですが、この2Gの壁の制約により、53:30のアルバムは3分割されており、3ファイル合わせた容量は、なんと!アルバム1枚で4.6GBにもなっていました。
この非圧縮WAVのままでは、500GBのハードディスクでも、約100タイトル程しか保存できないことになります。
これでは、圧縮音源に変換せざるを得ない状況で、他に選択肢はありません。
3ファイルをAudacityに取り込み、すべて結合し、トラックなどの必要情報を入力してFLAC Lv5で書き出します。
ちなみに、Audacityで分割されたファイルを結合しても、音は切れ目なく結合できますのでご安心を。
一応比較対象として、MP3 256Kbpsでの書き出しもしてみました。
下記がアルバム1枚53:30の加工後のファイルサイズです。
※元ファイル
WAV 4.6GB
※加工後
FLAC Lv5 1.82GB
MP3 256Kbps 87.2MB
以上の結果となりました。
WAVは非圧縮、FLAC Lv5は可逆圧縮、MP3 256Kbpsは非可逆圧縮です。
当然、それぞれに一長一短あるので、これは悩みますね。
音質と携帯性を考えれば考えるほどに悩ましい結果です。
そして···実際に視聴して、それぞれを聴き比べてみたところ、WAVとFLAC Lv5ではまったく違いは感じ取れませんでしたが、WAVとFLAC Lv5を基準に、MP3 256Kbpsと聴き比べたところ、やはり違いますね。
臨場感や奥行きに違いがあり、これが音質の差なのでしょうか?
もはや音質というより、雰囲気の差とも感じ取れるのですが、明らかな差という表現ではありませんが、音の解像度は別物ですね。
外出時でスマホに音楽を携帯し、オフラインで再生して適度なイヤホン、また、車の中でBluetoothで飛ばして聴く分には、MP3 256Kbpsで十二分な音質です。
上記のような外因ノイズがある状況では、MP3 256Kbpsでも不満は出ないと考えます。
ところで、その音源の保存なのですが···。
500GBのハードディスクに音楽を保存することを考えると、WAVでは約100タイトル、FLAC Lv5では約270タイトル、MP3 256Kbpsでは約5,890タイトルになります。
流石に非圧縮のWAVの保存は現実的ではないので、加工の容易さからFLAC Lv5での保存をしておけば、可逆圧縮なのでいつでも非圧縮に戻せます。
現在のコレクションはすべて、MP3 256Kbpsでストックしてあります。
ですので、今までの音楽はそのままに、今後の保存用(バックアップ用)はFLAC Lv5、携帯用にMP3 256Kbpsを使用する方向で行こうと思います。
実際問題、ハイエンド機器を使用している訳でもないですし、高価なヘッドホンで聴いている訳でもないので、何もそこまで拘らなくても···って声も聞こえてきそうですが、それを言ったら元も子もありません。
現実的に考えれば、CDより遥かに音質が良いとされるハイレゾ音源をMP3 256Kbpsにダウンエンコードしたからといって、聴くに絶えないかというとそんなことはなく、ブラインドリスニングで違いがわかる方は少数だと思います。
また、MP3の256Kbpsと320Kbpsの違いを100%わかる方もまた、多分いないでしょう···人の可聴域を超えていますからね。
ですが、あえて声高に叫びましょう!これは趣味なのだと!理不尽な現実や不条理などは関係のない趣味なのだ!
大変申し訳ありませんでした···乱心しました。
さしあたり、実験はできましたが、いろいろと悩む結果でしたね。
総合的には満足で、比較的安価で高音質の音楽収集と視聴、編集と加工が可能になり、ますます楽しくなってきております。
これで、やっとこだわりの本格的な音楽ライフを送れそうです。
これからは、現状に満足し、あまり上を見過ぎないよう心掛けて過ごしたいと思います。