
さて、春分も過ぎ桜の蕾が膨らみ始めた今日この頃、読者諸氏の皆様は如何お過ごしであろうか。
本日は前回の投稿に続き、小生まさあべの審美眼に適った素晴らしきデザインを纏ったお気に入りのクルマたちをご紹介したいと存ずる。
第17位からカ〜ウントダウン!
第17位
ホンダ ビガー 3th
ホンダの高級セダン、出てこいや!
そんな声に応えて直列5気筒SOHCという衝撃のエンジンを引っ提げて登場したホンダのミドル高級セダンである。
TypeXには専用の本木目パネル、樹齢200〜300年の北米産マドローナを使用した玉杢光沢仕上げを設定。
う〜ん、贅沢である。
レジェンドは天童木工の最高級本木目パネル使用であったが、こちらはもう少しスポーティな性格付けを意識したのだろうか。
アコードインスパイアとの姉妹車でもあるこの車は、レジェンドとアコードとの間に位置するセダンとして世に生まれ落とされた。
V6エンジンのコンパクトメリットによる広い室内空間を求めるならレジェンドを買いやがれ!
直列6気筒エンジンの完全バランスと静粛性を求めるなら他社へどうぞ!
そんな潔さすら感じる敢えての直列5気筒エンジン搭載である。
昔のアウディー以外にはちょっと思いつかない程にレアなエンジンを縦置きで搭載しており、当然5気筒という気筒数であるためゆえに振動問題が付きまとうが、バランスシャフトを入れる事により振動を殆ど感じないレベルにまで抑えてある。
このエンジンを縦置きとした事により、ドラシャがオイルパンを貫くという独特な構造となっており、また、カムシャフト最後端に位置するデスビ直下に排気管がある。
このデスビのオイルシールが漏れやすく、このために排気管に落ちたオイルが焦げ臭い匂いを発するという弱点もあった。
そこまでして6気筒ではなく5気筒にしたかったのか。
4気筒ではスポーティさは演出できるが、振動や回転を含め少し安っぽい。6気筒はジェントルで滑らかであるが、スポーティさを演出するには少し大人しい。
5気筒で行くしかないだろう。
安直である。
しかし、この変態的な構造を持つクルマを至って真剣に高次元で作り上げたホンダという企業は賞賛の極みに値する。
はっきり言おう。
最悪の整備性である。
ただし、それらを引き替えにしてまで得たかったモノ、それは、ドライバビリティの優先だったのだろうと小生まさあべは感じる。
車体全長4695mmに対するホイールベース長は2805mm。
全長に対するホイールベースの絶対値がかなり大きいことが分かる。
このデザインにより、比類無き直進性を有するという点は特筆モノであろう。
また、回頭性においても全く曲がらないクルマという訳では無く、通常なら左右前端いずれか、もしくはトランク内へ配置するのが定石、いわばセオリーであるバッテリーの搭載位置を助手席前のバルクヘッド付近に寄せて配置することで、意外と曲がるクルマに仕上がっているのだ。
ロングホイールベースを確保して直安性を確保しつつもアンダーを極力出さないように、という開発陣の努力の跡が伺えよう。
勿論、低速を強いられるコーナーなどでは舵角を大きく取る必要があり、雨天時では前輪から流れる事もあるが、総じて感覚的には曲がりやすいと感じる。
ホイールベースが長い=直進安定性に優れる、このメリットと、副次的に生ずるアンダーステアを重量物であるバッテリーを極力後ろへ下げて前後重量バランス配分を最適化することで極力抑える、という矛盾を両立すべくデザインした結果、こういった構造となったのであろう。
こういった変態的なこだわりは当時のホンダだからこそ成し得たチャレンジスピリットの体現であったと思う。
特異なキャラクターを有するこのようなクルマは、もう今後なかなか出てこないだろうと断言しよう。
第16位
三菱 レグナム
8代目ギャランをベースとして誕生したレグナム。
三菱の最高傑作と評したい程にまで完璧なデザインとユーティリティを持つ。
非常に優雅でいてスポーティなレグナムのボディデザインは、ともすればセダンのオマケとなりがちなワゴンのデザインといったレベルとは一線を画し、むしろセダンモデルであるギャランを越えるほどにまで完成されたデザインであると言えよう。
無論、リベロやアベニールなどワゴンのデザインにありがちな営業車の影という物は一切感じられず、パーソナルステーションワゴンとして確固たるデザインアイデンティティを確立しているそのボディラインには一寸の破綻も見られず、完璧と表現する他無い。
その心臓部には、4G93型GDI直4・1.8L、6A13型V6・2.0L、2.5L、2.5Lターボと実に4種類もの選択肢が用意され、後に4G94型GDI直4・2Lと4G64型GDI直4・2.4Lへと変更。
トランスミッションは4速AT、5速AT、5速MTが設定された。
中でも、6A13型V6・2.5Lエンジンをツインカムヘッド化した上、ツインターボチャージャー化したフラッグシップモデルであるVR-4は、後期型ATで最大馬力280ps/5,500rpm、最大トルク37.0kgfm/4000rpmを発生、4輪駆動化した足回りにも前後5リンク・ダブルウィッシュボーンサスペンション採用と、目を見張る性能でデビュー、実にスカイラインGT-R並みのパワーを発揮するモンスターワゴンであった。
確かに馬鹿売れしたレガシィワゴンやレガシィワゴン対抗馬のカルディナなど、ハイパワーをウリにしたワゴンは当時から数多く存在したが、車重1,550kgに加え、最大馬力280ps、最大トルク37.0kgfmという総合戦闘力で右に出る物は国産スポーツワゴンでは皆無、レグナムこそが当時のスポーツワゴンの最高峰に君臨していたわけである。
オーテックの手によりステージアにBCNR33型スカイラインGT-Rのエンジンを移植、ドライブトレーンやリアサスも33Rから移植、更にはトランスミッションを5速MT化という魔改造を施された正真正銘のGT-Rワゴンであるオーテック260RS。(こんなクルマがディーラーでフツーに買えたのだからもはや凄いと言うしか無い。。)
有力な対抗馬と目されがちであるが、実はこちらのステージアオーテック260RS、レグナムの1,550kgに対し、車重は実に1,720kg。
少し重すぎる車重がアダとなり、総合力でコレと言った欠点も見当たらないレグナムには適わなかった。
2002年8月、ランサーセディアワゴンに統合されるかたちで生産が終了されたが、今なおこのレグナムを愛用する生粋のワゴニストは数多い。
勿論、その後エボワゴンも登場したりしたが、あれはランエボというスポーツカーのワゴンバージョンであり、スポーツワゴンとして独立した車名と存在感を与えられた独り立ちしたクルマとなると、やはりレグナムこそがキングオブスポーツワゴンなのである。
代替候補となる車が存在しない唯一無二のクルマ、それがレグナムだ。
アベニールも素晴らしいクルマであるが、まさあべニールはカスタムチューニングを重ねてのモンスターワゴン化であるのに対し、このレグナムVR-4は何もせずともこの馬力とトルク。当然のように四輪駆動、そして適度な車重。
速くない訳が無い。
事実、サーキットにも余裕で持ち込めるスポーツワゴンなのである。
スポーツワゴン最高峰のお墨付きを与えたい。
さて、今回は第17位から第16位までをご紹介させて頂いた次第。
名車ランキング、スバル車は果たしてどこに入ってくるのか!?
次回もお楽しみに。