
お盆も終わり、日中はともかく、朝晩はずいぶん過ごしやすくなってきました。先日ご紹介した「精霊流し」も無事終わったとの便りをもらい、気持ちだけでも一緒に送ることができた、そんな気がします。
さて、みなさんはジブリ作品の「おもいでぽろぽろ」をご存知でしょうか。もうずいぶん前の作品になりますが夏が来るといつも思い出してしまします。舞台はまだ昭和の香りが残る50年代後半。私も子供ながらに、時代が変わっていくのを感じていた頃です。映画は主人公が夜行列車で山形へ旅立つところから始まります。ジョイント音を聞きながら、寝台車のベットに横になりもの思いにふける...。 過去へ連れていってくれるには最高のシチュエーションです。
そして、まだ夜が明けきらぬ、朝の山形駅。人影まばらなホームへ峠越えを終えた赤い機関車が、青い客車を従えて滑り込むシーン。かつて貧乏旅行の途上、寝ぼけ眼でよく目にした情景です。
力強いブロアー音と共に、軽やかなジョイント音が構内に響き渡ります。
私はこの時点で、この雰囲気にもうすっかりやられてしまっています。(笑)
タエ子(主人公)はこのあと何度も小学生の頃の自分に出会うのですが、この回想シーンはさすがに懐かしいとまではいきません。現代と過去を行き来するのですが、その現代(昭和)でさえ既に30年以上前の事なのですから...。
数多くのジブリ作品がありますが、私はストーリーよりも背景の美しさ、そして緻密さにひかれてしまうようです。朝露に濡れる紅花や、突然訪れるにわか雨。先にも書いた寝台車の静けさや、ラストに出てくる急行型電車やキハまで。全ての物がこの映画になくてはならないわき役たちです。
そして、この作品に出てくる名わき役といえばトシオの愛車‘R2‘。車に詳しくない私は名前さえ知りませんでしたが、車を操る姿、窓を開ける描写、ひとつひとつが子供の頃に乗った、昔懐かしい軽を思い起こさせてくれました。その中でも、山道を登らず、後続車に道を譲るシーンは象徴的です。
私が初めて自分の車を手に入れたのはこの映画の翌年。当時は車のこともそれほど知らず何気に決めた11マーチでしたが、乗れば乗るほどお気に入りに。残念ながら一台目は事故で廃車にしてしまいましたが、あきらめきれず購入した二台目が現在の車です。
トシオのR2と比べたらずいぶん車も頑丈になりましたが、ここまで乗ってこられたのもこの映画のおかげ。なんとなくその姿を重ね合わせているのは、私だけではないでしょう。
Posted at 2016/08/24 13:20:41 | |
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