
今回のブログは自身の車を仕様変更したという単純な話になります。
が、そこに至るまでの私なりのストーリーと車に情熱をかけた人々の想いがあり...備忘録的要素を含めて記録したいと考え、関係各社のご理解を得て記載しております。
興味のない方はスルーしてください。
では、本題へ!
今回の仕様変更ですが、埼玉県草加市の中古車屋さんとの出会いがすべての始まりだったように思います。
そう、こちらのデルタで有名な畑野自動車さんです!あ、某マンガでも有名ですかね(笑)
3年前、A110の購入に迷っているとき、飛び込みで来た私の背中を躊躇なく押してくれた中古屋さん。こうして大好きなALPINEオーナーになれたのもこちらのおかげです。あの時の納車時の喜びは忘れられません。
晴れてALPINEオーナーになり、それまでスマホだった写真も本格的に一眼で撮り始めました。
私なりにしっかり撮った写真をInstagramに投稿することで沢山の国内外のALPINEオーナー達と繋がることができました。時にはフランス本国のALPINE公式アカウントから紹介されたり(笑)
そんな中で見つけた【RAVAGE】というALPINEからの派生?ブランド。チューナーといった方がよいのか...。なんと表現したら良いのか未だに良くわかっていません(笑)ただ本気度が違うことは伝わってきます。
でも「本場ヨーロッパではやはりスゴいことやる人達がいるなぁ」と遠くから見ておりました。
さて、それから1年くらいが経過したときでしょうか、「ラーメン屋でフランス人と話してたら意気投合し、その【RAVAGE】の日本仕様をうちがやることになりました」と畑野自動車さんから聞きまして...「え、なんで!?真面目な話か!?」とビックリしました。
でも、
ということは、
その製作過程を間近で見られるなぁ、とイチALPINEファンとして喜び、ちょこちょこ見学に行っておりました。
さらに完成した【RAVAGE JP】をオートサロンに出すことになったと。いやはや、夢のある話だなぁと、これまた近くで見ていられる喜びを感じておりました。
ただ、その時に今回の仕様変更はやるとなるとどれだけ大変で、どれくらい本職の人が関わって(楽しいって理由だけで笑)、時間・費用がどれくらいで...聞いてるだけで途方もなく、夢とロマンだけでやれるものではないことであると実感させられたのも事実。
さて、そんなこんなでオートサロンに向けて着々と製作を続けていたところ、とある事件が起こります。
なんと...製作過程だった車がとある工場ごと燃えてしまったと。
え、そんなマンガみたいなことってあるの!?衝撃が走りました。
その車をなんとか持ち帰られたようで、その写真がこちらです。
これを見てお判りの通り、当初はアルピーヌブルーで製作していたのです。つまり幻の【RAVAGE JP00】です。
こちらは取り出した心臓
見ていると何とも言えず切ない気分になります。この時、オートサロンまであと数ヶ月だったかと思います。
そんなことが起こったにも関わらず、じゃあ気を取り直して今度は白で!って...すぐに前を向き、かなりの急ピッチで製作され、オートサロン前日!?当日!?に完成した【RAVAGE JP01】
過程をすべて見てきた私ごときでも感慨深いものがありました。
結果は
TOKYO AUTO SALON 2023
インポートカー部門優秀賞受賞🎉
いやー、素晴らしい結果です👏
そんな素晴らしいシーンを、オートサロン当日には見に行けないという。(仕事がバタバタしておりました)フランス本国から来日していたRAVAGE創業者にも会えず...とても悔しい想いをしました。
しかし、直後のプロモーション撮影にお呼び頂き、撮影した写真がこちら
いやー、素晴らしいプロポーション、フロント、リアのボリュームは並べて撮った私のA110が品粗に見えてしまうほどでした。
その後、マレーシア版オートサロンに出展するためにお色直しをした姿がこちら
さらに洗練さを増したように思います。
さてさて、このお祭り的なオートサロンとその後の撮影会が終わり2ヶ月位が経過したある日...畑野自動車さんからお声掛けを頂きました。
「02」やりませんか?
え!?
ま、撮影会の時から冷やかしで「次はkyuudanさんのだな」みたいな話は出ていましたが、苦笑いして流しておりました。
聞くと、工業製品ではなく一つ一つが職人のハンドメイドのであることを理解してくれる方に提案したいと。
大変な作業だが、今まで自主制作のみだったものを製品として供給してみたい、その第一号として【RAVAGE JP 02】を世に送り出したい。そうお誘いを受けたのです。
とはいえ、当初は冷やかしだと思っていました。ずっと憧れの眼差しで01製作を見てきたものですから。でも「なんかどうも本気だぞ...」そんな空気を感じ始め、ここから自身の葛藤が始まります。が、この類いの葛藤って...過去の経験からだいたい結論って出ていますのでね。
最終的にはやらない後悔よりやって後悔しよう。一度の人生、大好きな車でオートクチュールってのも悪くないなと。何より今後このALPINE A110以上に思い入れのある車に出会う気がしない、そう思い決断しました。
「では、是非ともお願いいたします。製作過程を含め、人生の思い出にさせてください!」
さて、そこからはどんどん話が加速していきます。
まずはカーボン(一部違う箇所あり)のボディーパーツ作成。焼きあがりましたよ❗っと送られてきた写真がこちら
この時点でグッときてます。もう心は鷲掴みにされておりました。
この頃からは入庫したらもうこの素の「A110」には乗ることができなくなりるなぁ、と。さらに「今ならボディーが傷ついても何も気にする必要がありません。だってもう、ほぼ全て使いませんから(笑)」なんて言われる始末。笑うしかない、走るしかない...そんな流れになってました。
素のA110を惜しみつつ、6月、7月とサーキット走行を楽しみ、最後の走行会の帰りにその足で入庫となりました。
届いたボディーパーツと記念撮影したのがこちら
いよいよだなぁ...という気分でした。
ちなみにここに写っているパーツはすべて日本製です。クオリティーが半端でないです。
ただ、パーツの一つ一つがとても複雑で、さらにそれを1つの型で焼くため相当な難易度だったようです。
ちなみに、当たり前ですがめちゃくちゃ軽いです(笑)
こちらは数日後の入刀式の日の写真です。軽量アルミボディーに自らカッターを入れる...こんな背徳感のある作業はオーナーにしかできません!と呼ばれて記念に撮って頂いたものです。
ウィーン、ウィーンって愛車のボディーにメスを入れました。アルミだから硬い!あの時の感触は今でも覚えています(笑)
この頃から総監修してくれている某自動車メーカーのデザイナーさんと打ち合わせの日々。なにせ大きな部分を除いた細かなパーツの色や質感などすべて自分好みにすることが可能でしたので...この過程も私の人生の宝物となりました。
ここから少しずつ元のボディーがバラされていきます。
そして、フィッティング確認
元のボディーに合わせながらラインを作り上げていきます。

こちらは中のアルピーヌブルーを黒く塗ったところ。最終的にこの部分は熱対策で網目に、そうなると見た目には透けてしまうので目立たないように塗られています。
そろそろリアは終わりかと思っていたところ、再度盛って、磨いての繰り返しです。
この時点で2ヶ月くらい経過していました(笑)
剥がされたフロント周り
やっとリアはメドがついたということで、久々にエンジンをかけられ向きを変えるところ
純正タイヤだとこんなに引っ込んでます(笑)これはこれで可愛い!
このボディーパーツ達、実はフロントフェンダー部分のみがフランス製なんです。そのパーツの到着が遅くて遅くて...まいりました。日本は今弱いですね、各国を回る船便の一番最後に回されてたみたいです。
さて、しっかりと向きを変えてここからフロント作業に入ります。
フロントの工程はかなり急ピッチで進んだため、写真があまりなく...
こちらが合わせてだいぶ修正が終わったところです。
今回、つくづく感じたのは鉄やアルミなどの金属と違って、カーボンなどの焼き物はかなり修正が必要だということ。もちろん、型の制度によりますが...。
カーボンのフルボディって簡単には作れないってことがよくわかります。ホント、職人さんらに頭が下がりますm(_ _)m
そんな作業中に続々とフランスからのブツが到着!そう、このホイールです。
実は私、大のOZフリークでして...しかもこのデザイン、やばいです。もちろん鍛造です。
開封時のテンションはMAXでした。
元々RAVAGEのホイールは違うものでした。が、とあるタイミングでイタリア本国のOZホイールの社長がうちでやる!と言い出したみたいです。このニュースを聞いたとき、なーんか運命のようなものを感じました(笑)
さて、他のパーツも続々と出来上がってきます。こちらのマフラーフィニッシャー、アルミを叩いて作ってもらいました。何十枚試作したかわからない、そう言われました。曲線が繊細過ぎてかなりの難易度だったようです。
こちらはリアの排熱用パンチングメタル。この穴にグラデーションつけるため、デザイナーさんに計算してもらい、今度はその通りに型を14個も使い、穴を開けてもらいました。
で、通常塗装ではムラが出るため、カチオン電着(櫓の中に500v流して融着させ、最後に170度で焼きつける)にて塗装。
「穴の大きさが全部違うから、相当繊細な部品だと思って緊張した」らしいです。素晴らしいクオリティ!
そうして、パーツも仕上がってくる間にフロントもこのような状態に!
サフェーサー吹いた後です。ここからさらに光の流れを見て形成していくとのこと。終わりが見えない、デザイナーさんと職人さんの作業(笑)
さてさて、こうしてボディーはほぼ完成。最終仕上げと塗装のため、搬送されます。
この引っ込み具合(笑)
最終工程の現場到着!
このツートンカラーの状態が見られなくなるのも少し寂しかったり...
そうこうしてるうちにこちらも出来上がってきました。そう、コーションプレートです。
さて、ここまでは一部始終過程を見てきました。が、「ここからは納車までのお楽しみってことでお見せしません」って言われちゃいまして...ラストの10日間くらいは何も見せてもらえませんでした(笑)
なので、塗装過程の写真はすべて私が撮ったものではなく、納車後に送られてきたものになります。
こちらはロゴが入ったところですね。クリア一回吹いたあとくらいかな
フロント周り
きれいに塗り分けられています。
リア周り
この造形で一個体なので、素人目に見ても大変なことがわかります。
リアのロゴ
カーボンを出すところと出さないところの塗り分け
写真はありませんが、これだけ拡幅すると地味に大変なのがインナーフェンダー。その調整にもかなりの時間を要したみたいです。
乾燥中
最終的には色味を合わせるため、ほぼオールペン状態だったみたいです。おかげで素晴らしい仕上がりです。
そして、いよいよ納車日当日!
フランス🇫🇷からRAVAGE創業者とプロのカメラマンも来日🇯🇵してくれました。
畑野自動車に到着するとこの状態
カバーを外してくれたのはRAVAGE創業者(左)と総監修のデザイナーさんです。
感動の初対面(T_T)
こちらは納車2日後に駐車場で簡単に撮ってみたやつです。
フロント
リア
一番好きな膨らんだリア周り
そしてこちらがコーションプレート完成品
リアのパンチングメタル
マフラーエンド
リア全体の造形
納車されてまだ数日間。ずっと作業工程を見ながら、ほとんど自分の車という感覚は薄れ、いちRAVAGEファンとして02の製作過程を見ている感覚になっていました。
納車後数日間は時間の許す限り、フランスのRAVAGE創業者らをアテンドしていたため、アドレナリンが出っぱなしでしたが少しずつ我が相棒という感覚が出てきています。
少し落ち着いてきたところで感じているのは通常車という製品はあくまでも工業製品。型を作って大量生産をする、そしてそれが可能なデザインとなります。
今回の仕様変更についてはその大量生産ではなし得ない、ハンドメイドだからこそ可能なデザインと造形だなぁと。
もちろん、細かいところを見れば工業製品には敵わないという部分も多々あります。でも、ハンドメイドだからこそ可能なその造形に情熱を感じるのです。デザイナーさん、職人さんの情熱を乗り込む度に、見るたびに感じることができる車を作って頂きました。
とんでもないものを、とてつもない情熱で作ってもらったのかもしれない...そう思うと本当に感慨深いものがあります。
製作に関わって頂いたすべての皆様に、デザイナーの情熱に、そしてとりまとめて、私なんかにお声掛けくださいました畑野自動車さんに最大の敬意を払いながら大切に乗りたいと思います。
機会があれば見てやってください。皆様にもデザイナーと職人の情熱を感じてもらえるはずです。
というわけで、久々の長編ブログでしたm(_ _)m
by kyuudan