三月某日。
私はハイマー号に多大なる不安を載せて、環八を南へ、南へと走らせていた。車検のためである。
その整備工場は横浜の青葉区にあり、以前ちょっとした冒険心と夜明けのテンションと認識不足から第三京浜に乗ろうとして、料金所手前でマフラーが爆ぜた経験があるため、246号を慎ましく走行する算段であった。
しかしながらその日は土曜日。土曜日の環八は予想を裏切らない交通量。名物『井荻トンネル』は、ラジオでよく聞くように微速前進状態であった。なぜか妙にぬれた路面、路上に転がる砕かれた野菜片、やたらに調子のよさそうな赤いサンバー・トライとそのリア・クォーター・ウィンドウから興味深げにこちらを見つめる幼き少女の視線を気にしながら、クラッチをすり減らしつつ、わがハイマー号はパスパスと走る。
やっとトンネルを抜けたかと思うと、アンダーパスの登り勾配でまた渋滞。ジャムだかクリープだか分らぬ調子でまたまたクラッチの減り具合に心を痛める。
もう一つ気がかりなことは、その数週間前に発症した、突如中回転からトルクを失い、むせ込むという症状であった。今のところ前触れはないが、トンネル以前の高回転走行から、トンネル内の牛歩という緩急が、あまりいい影響を及ぼしていないことは確かであった。
それでもハイマー号はいくつかの道路をまたぎ、いくつかの線路をくぐった。蘆花公園を過ぎた。あの日に異変が訪れた砧公園は目と鼻の先である。
「希望丘通り」という道路看板を覚えている。ゲンを担ぐわけではないが、私は偶然目に入ったその通りの名前に、今日の運命をかけてみる気になった。
道はまっすぐで平坦であった。どこまでも続いていくように見えた。どこまでも走り続けたいと思った。どこまでも走っていける気がした。――どこまでも。
――走り続けたかったんである。

お世話になりました。
小田急線手前の赤信号から発進しようと思ったら例の兆しが出始めて、あわてて左折したら入り口から数メートルでダウン。最後は手押しで道の端っこに寄せました。
情けないことに砧公園までもいけませんでした。これにて、車検の成績は2勝2敗。これって、車検通るかどうかじゃなくって、たどり着けるかどうかの戦績ですよ。
で、車検は結構すんなり通ったらしいとの連絡が工場から届いたのが3月末。ここから整備を進めていくんですが、この症状に関しては謎のまま。
セミトラがいかれてるんではないか、と睨んだんだがそうではないらしい。なんでも、工場の周辺をぶん回したりのんびり走ったりして様子見たんだが、一切そんな症状は出なかったんだと。
で、キャブがオバーフロー気味だったので、清掃と調整をしたそうな。これで治ったらいいんだけど。ちなみにオーバーホールには3か月くらいかかるらしい。外注のオーバーホール屋さんも修理が溜まってオーバーフロー状態だって。
見積もりが出て費用に関しては、何とか予算内だったので、今回はハニーちゃんに借金しなくて済みました。
とかなんとかいろいろありましたが、クルマが仕上がるまではもうしばらくかかるようです。
で、本題なんだが。
こんなものを買った。
スバルのライトリムです。
ほら、よく見るカタログの写真にはついてるけど、ノーマルにはついてないライト周りの銀色。
コレです。
(っていうかR-2のカタログって、よく見るか?)
でも、けっこうサビとかメッキ剥がれがあるんですよね。
磨くかあ。
―――とここで区切り線の登場ですが、さっきから写真の明かりがピンクなのが気になった方もいるでしょう。私は気になります。
このままでは、なんだかヤンゴトナキ罰当たりな行いをするような場所で撮影したんだと思われてしまう。それは非常に不本意です。たしかに私もヤンゴトナキ罰当たりな行いは嫌いではないですが、その様な不適切な条件下の写真を投稿するようなヤンゴトナキ輩とは思われたくない。
つーことで弁解させていただきますと、通販で買った観葉植物用の育成ライトが、ムダにエロかったんです。
ほら。
僕の大好きなシロモちゃんがエロモちゃんになってます。
しばらく、室内の写真は基本ピンクなので、ご了承願います。
基本的にはピカールでゴシゴシ。しつこいサビや汚れはペンルーター(新兵器)のワイヤーブラシで一網打尽。仕上げはバフ掛け。
それに加えて…。
じゃじゃーん!!
クロームペイントマーカー!!
アヤシゲな通販で購入。
650円で4本セットなんですが、セールで300円で買えました。
早速塗ってみよう。なんたって、石ころが鏡になるらしいですから(商品説明より)。
こーゆーハゲたところに塗ればひとたびメッキ加工に…
なる訳が…
おおお!?
おおおおおおお!?
擦過によるメッキ剥がれ部分にもまんべんなく塗って、一晩乾燥させました。
まあ、どーせ、乾いたらネズミ色に褪せるんでしょ?
おおおおおおお!?
メッキ界に革命が起きたのか⁉
いま、実は歴史的な瞬間に立ち会っているんではないか?
いや、まてまて、この塗料が極端にダメージに弱いということも考えられるぞ。
ホラ、スクラッチくじみたいに爪で擦ったらホロホロと…。
つーことで。
10円玉チャレーンジ!!
――説明しよう!
『10円玉チャレンジ』とは、男の中の男が塗装の乗り具合や耐久性を図るための、一か八かのチャレンジである!
やり方は簡単。力を込めて塗装表面を十円玉で擦るだけ!
かつて日本では下町の悪ガキ中心に流行したというウワサもある。
よっしゃあ、レーディー…
ゴー!!!
がりりりりりっ!!
うわあ、しっかり定着してやがる!!
再度磨き上げて、塗りなおします。
――無駄に傷つけてもうた。
(『男の中の男』とは一体…?)
実はこんな新兵器も試してました。
ポータブルエアブロワー
商品説明では、洗車で水を飛ばすのに使える、とのことだったのですが、そうでないことは一瞬で見抜けました。
で、この説明書が秀逸。
「環境?」っていきなり聞かれても。
あと、販売店に連絡することをすごく念押ししてきます。バックコーラスがついてるのか?
なぜか説明の最中に「集塵機」に変形しちゃってます。
またもやバックコーラスの登場。
さらに、「自由に感じなさい」という啓蒙というか解放宣言というか。
たぶん「Feel free」の直訳ですね。
あとさ、
セット内容の
コレってナンだ?
説明書のどこにも載ってないぞ。
―――まあ、いいか。
あるべきものが欠けてるわけでもなし。
こんなアヤシイ製品ですが、それでも結構風力はあるので、もしかして、この風でインクをスプレーのように飛ばせるのでは、という無謀なチャレンジを思いつきました。
思い立ったらすぐ行動。
カモンベイビー!!
メッキ界に新たな風を巻き起こすんじゃあ!!
ブイイイイイン!!
うわあああ、床がぁ!!
(読めてた)
体温計割っちゃったときみたいになっちゃった。
うおおお、ワシはターミネーターだったのか!!
――最近は区切り線付けたらふざけすぎても許されると思っている節がありますが、あまり良くないですね。
なんだかんだで仕上がりました。
っていうか、要するに表面磨いてマーカー塗っただけですが、この記事の長さは何だ?
反射率も高く、遠目で見たら新品同様です。
さて、これを装着したときに、ピヨピヨとの親和性があるのか。っていうかダサくならないか。
それはスバル君が帰ってきてからのお楽しみ。