クリスマス。
そう、クリスマスなんである。
ピーッ!
これ以降、冗漫にしてナカミの無い記述が続きます。
正常な方は、次の区切り線までスクロールして飛ばしてください。
例えば恋人たちは、ディズニーランドなんかに行っちゃうんである。
で、「バカげた耳」を着けてアホデカいクリスマスツリーの前でツーショットとか撮っちゃうんである。
ミッキーマウスを抱えたそのアベックは、浦安の連れ込み宿に入って、「耳」を外してケモノになるんである。
わあ、ヒワイ!!
...。
また敵を増やしてしまった。
そんな事を書きたかったんと違う。
でも、ちょうど「ディズニーランド」が出てきたから、無理やりつなげちゃう。
「ディズニーランド」という空間は、「夢」という単語で語られる。
王子様やお姫様、素敵な魔法に包まれて、隣にいるブタやウサギを決して捕食対象としない心優しきクマやトラ、といった世界観。
「アイツ、ぜってえ友達いないよな」
「基本的にヤなヤツなんだよ」
...年賀状代が浮いていいじゃねえか。
ここでいう「夢」にも、実は二つの種類が存在します。それが「シミュレーション」と「シミュラークル」です。
前者は、たとえば「将来は港区にある5LDKのタワマンに住んで、メッキパーツも眩しい巨大なSUVに乗って、マルチーズの『ピンキーちゃん』を散歩させるのが日課で、絶対にバレない脱税をして暮らしたい」というような、現実として存在する対象への憧憬を指します。
一方後者は、「なんだかツマラナイ毎日、私は大きく息を吸って止めてみます。すると、フワフワリンと体が浮いて、いつの間にか雲の国。とってもおいしい綿菓子で出来たお花畑を歩いていると、前からとっても美しい王子様が...」
といったような「ええ加減にせえよ」というもの、つまり、存在しえないものへの憧憬を現わします。
なんだか極端な例だな。
じゃあ、「今のリカちゃん人形」と「昔のリカちゃん人形」を較べてみましょう。
今の「リカちゃんハウス」は、システムキッチンがついて、ソファーがあって、家電も充実、パパのピエールから教わったフランス仕込みの絶対にバレない脱税も完璧、といった「上流階級タワマン族」といった形態になっています。でも、昔の「リカちゃんハウス」は、宝石箱のようなドレッサーとか、お城のようなお部屋だったはずです。
つまり、「漠然とした夢の世界」から、「世渡り次第では手に入る暮らし」へと遷移したわけです。
この「漠然とした夢」が「シミュラークル」なんです。
換言すれば、「昔のリカちゃん」がまぎれもない「夢」だったのに対して、「今のリカちゃん」ってのは、単なる「目標」に成り下がっとるんです。
で、私は「シミュラークル」が好きです。
だから、ディズニーランド行ったらちゃんと、「バカげた耳」を着けます。
だって、「シミュレーション」は達成した時点で終わってしまう。それ以上のものでも、以下でもあってはいけない、完全な模倣なのです。
でも、「シミュラークル」の可能性は無限です。「オリジナル無き模倣」ですから、「こーゆーのってイイじゃん」ってのを、どんどん追加できます。
で、今回の「デコチャリ計画」は、この「シミュラークル」をテーマにやっています。っていうか、私のやるカスタムは全部、「シミュラークル」なんですが。
わあ疲れた。無理やり繋げるためのハッタリをいっぱいかましてしまったけど、ちゃんと研究したら論文が書けそうだぞ。「『夢』の喪失 ~シミュレーション化される『夢』の構造~」とか。
で、平たく言うと、私の思う「一番カッチョ良いチャリ」を作ります。
最低条件は何度も言うけど、「安全である事、利便性があること、カッコいい事」の3ヶ条です。優先順位もこれに倣います。
だから、「昔のチャリってなんかカッコいいよね」ってな所から、じゃあ、今のチャリをベースに、「ビビッ」と来た部分を抽出して、「ちゃんと使える」モノを作ろう、と。
なので、いくら憧れてるからと言って、「ロッド式ブレーキ」とか、「無駄なドロップハンドル」とか「スーパーカーパターンのシフトノブ(ほら、あの電池式有線コントローラーのH形にゲージ切ってるヤツ)」ってのはNGにしました。
ただ、運転に支障のないものは容赦なく着けます。
例えば...。
例のお蕎麦屋さんのチャリについていた「スポークベル」。
ハンドルのレバーを操作することで、フォークに取り付けたベルの傍のハンマーが伸び、回転するスポークに接触して弾かれ、ソイツがベルにあたって「リリリリリ...」と目覚まし時計のような音を鳴らします。
ただ、コレの取り付けで予想外の問題が発生。
ワイヤーがギリすぎる。
このベルは26インチくらいの車輪を想定して設計されているので、20インチのチャリに取り付けると3インチ、つまり約7.6センチ足りなくなります。
もともと余裕をもって作られた物でしょうが、何度か試行錯誤して、角度を調整して、やっと取り付けられました。
前途多難です。
反射板と泥除けを増設しました。
これにより、リアのインパクトがかなり強まります。
と言うのも、フロントのカスタムを進めていくうちに、リアの貧弱さが目立ってきてしまったからです。
この、意味不明な器具もまだ売っていました。
「リムブラシ」です。
全体のカスタムの「差し色」として、赤を選びました。
ハッキリ言って付ける意味が分からんのですが、「走行に支障のないものは容赦なく着ける」という理念の下、購入。
さて、ノリにノってきた(半分ワルノリ)カスタムのメインを飾るのは何と言ったって、「風切りマスコット」です。
これは悩んだ。
当初「鳥型」とか「飛行機型」とか「ロケット型」といったものを探していた。
なんだけど、なかなかいい出物に出会えませんでした。
で、いろいろ見ていくうちに、「ムテキ号」と書かれたプレートを発見。
これはカッコいい。
だって「ムテキ」だもん。
すげー強そうだもん。
ただ、これはいわゆる「抱き合わせ商法」で、10個くらいセットでマスコットが入っているうちのひとつでした。
風切りマスコットを10個買うヤツって、いったいナニモノ?
と、思案に暮れているうちに出会ったのがコレ。
「高級」
やべえ。これはやべえ。
なんたって「高級」です。
泣く子も黙る「高級自転車」。
ヘンに「Ferrari」とか書いてあるよりも、漢字で「高級」と書かれている方がインパクトあります。
むかし、漫画家のみうらじゅんさんがミナミの露店で見つけた靴屋さんで、「いいクツ 1000円」と書かれた札を見つけて感動していましたが、それに並ぶ問答無用感。
早速取り付け。
うん、「高級」感がにじみ出てます。ほぼ押し売り状態です。
ハッキリ言って、新車のチャリのフェンダーにいきなり穴開けているときに、ものすごい罪悪感を覚えましたが、まあ、背徳も吹っ切れてしまえば蜜の味がします。
で、最後の仕上げですが、カゴの位置をフロントからリヤに変更します。
これは最初からやるつもりだったんだけど、どうもこのチャリはかなり小回りが利くため、直進安定性が低いようです。
そのうえでフロントに荷物を積んでしまっては、バランスを崩したらたちどころに転倒してしまうようにも思えました。
なので、リア用のかごを購入。
でも、そうなるとフロント周辺のデザインが間延びしてしまうので、「小さいカバン」を括り付けて見た目のバランスを取りました。
このほか、LED式の砲弾ライトを取り付けたり、ワイヤー類をコルゲートチューブでまとめたりして、
カスタムが完了。
で、けっこう駆け足で紹介しましたが、大体2ヶ月くらいかかって、少しずつ仕上げた結果がこちらです。
わあ、かっけえ!!
「実用車」でも「ビーチクルーザー」でも無い感じ。
これはかなり目立ちます。
ちなみに、スポークベルを取り付けた関係で、ハンドルの折り畳みができなくなりましたが、これはご愛敬。笑って許してね。
カゴの「PAPAS&MAMAS」という涙チョチョ切れのステッカーは剥がそうと思ったけど、反射板として機能しているようなので、安全のためそのままにしてあります。
あ、そうそう、安全と言えば、
オマケに「成田山のお守り」も付けました。
あと、コレは偶然見つけたんだけど、
『開發』と書かれた謎のメダル。『日本政府』とかヤバそうな文字も。
あと、プロペラと錨を組み合わせたなんとも戦前っぽさのあふれる意匠。
なんでも、昭和30年代くらいまでは、自転車を販売するときに、こういった保障証を着けていたそうな。多分これは大正期のものだそうな。
で、裏面に何が書いてあるかというと...
『保険証
本車は多年の経験と熟練せる技術に依り製作なしたるものに附き萬一製作上に起因せる破損に對してしては絶對其責に任ず可く候也』
って、よーするに、「めっちゃ自信作だから、壊れるわけないんだけど、万一壊れたら全力で謝ります」ってこと。
つまり、最初に挙げた3ヶ条にバッチリ符合します。
コイツをハンドルにひっかけて、納車しました。
(「このメダルは要らなかったら返してね、個人的なコレクションにするから」とお願いしました)
で、ハニーちゃんの反応は、というと、
「明日から自転車乗る練習しないと!」
えー、そこからなの!?
まあ、なんにしても喜んでくれたからいいか。お買い物にも便利だしね。
あと、ここまで目立つ、オンリーワンなチャリだと、相当なバカでない限り盗まない。
だって、盗んで乗ってたらすぐにバレるもんね。