これは、所ジョージさんがプロデュースしたカブです。
一見ノーマルか、と見過ごしてしまいそうですが、後部のフレームがキレイにカットされており、また、前後のフェンダーが変更されています。
そうです。「サイクルフェンダー」がついておるのです。他にもテールランプやリアウィンカーを排除する、というよく判らん遊びを入れていますが、この際そこはどうでもいいのです。問題は、カブにもサイクルフェンダーが装着可能だという事です。
いままで、フロントフェンダーの高さが気になっていました。
何とかステイを延長して、サスが沈んだ時にタイヤに当たらないぎりぎりまでフェンダーを下げていました。カブのフロントサスは「ボトムリンク式」という構造なので、フェンダーと車輪の中心軸が連動せず、常にタイヤとの高さが変動してしまいます。ですが、先の画像を見てみると…
なるほど、アクスルシャフトに共締めすることで、タイヤの動きとフェンダーの動きを連動させています。
仕組みが判ったら、もうチキらずにはいられません(「チキる」とはグッドフェラス内で通用する造語で、「DIYによる安価カスタム」を指します)。さっそくサイクルフェンダーを探しに通販サイトを開きました。
…確実にカブに使えそうなフェンダー
は売ってませんでした。
よく考えたら、タイヤサイズに合わせてフェンダーの径を決めなければ、いい具合の仕上がりにはなりません。径が大きすぎると間抜けですし、小さすぎるとタイヤに抵触します。また、フェンダーの断面の丸みもタイヤの扁平率にあっていないとカッコ悪いです。
そして最大の問題点は、試しに買ってみるには価格が高すぎる、という点です。何しろ、カブをサイクルフェンダー化している方の情報が少なすぎて、何のパーツを流用しているのかが判りません。もしかしたら職人さんにワンオフで作ってもらっているのかもしれません。
うーむ、どうしたことか。やはり板橋の貧民にはサイクルフェンダーは無理なのか…。
――ン!?
チリンチリーン♪
「よーしケンケン、いいことを思いついたぞ!!」
「クシッシッシッシッシ…」
まず、カブのタイヤの直径を調べてみます。すると、扁平率で多少変わるものの、大体540㎜から560㎜のあいだです。これをインチに換算すると、大体22インチ。
自転車のタイヤは外径の長さを基準にしているので、22インチ用のフェンダーであれば流用可能です。しかし、自転車のタイヤはかなり細身。このままでは車輪に食い込んでしまいます。なので、もともとタイヤの太い自転車用のフェンダー、つまり、ビーチクルーザー用のフェンダーであれば取り付けられるのではないか?
そこでいろいろと調べてみたところ、24インチの物であればすぐに手に入ることが判明しました。
まあ、あまりにも径が大きいようでしたら曲げればいいし、小さすぎるよりはいいか、という事で購入。
アルフォートのファミリーパックに包まれて到着。
色はクロームメッキです。ほかの選択肢が白と黒だったのでこちらを選択。フェンダーだけメッキというのもSRみたいでカッチョいいと思います。
あまり参考にならないかもしれませんが、今着けているフェンダーと比べてみても、曲がり具合は同じ感じです。
そういえば、ショップの方からのこんなお手紙が同封されていました。
調べてみると、ウチのチャーリー号よりもバイクっぽいビーチクルーザーがエントリーしてました。
では、さっそく取り付けてみましょう。
――ってなれば非常に楽でよかったのですが、やっぱりそうはいきません。まず、アクスルシャフトに付属の取り付け用の棒を共締めするだけの長さがありません。よく考えたら、単純に棒の直径の4倍の余裕が必要になるわけで、それでは約2センチもシャフトが飛び出ていなければイケない計算です。
また、なんやかんやしてシャフトを延長出来ても、この棒の長さが足りない事に気づきました。
そこで…
あーあ、やっぱりこうなるのね。一番安いステイの登場です。シャフトの直径が約10ミリなので、それが通るものとなると選択肢は限られます。
で、コイツを金ノコで半分に切っていくわけです。ハッキリ言って舐めてました。ユニクロの安い奴ですから、こんなものすぐに切れるだろう、と。
全ッッッ然切れねえでやんの。
ノコの方が疲弊して折れてしまいました。刃を取り換えて再度やってトライ。必死に、無心に、ひたすらにギコギコギコと切っていきます。
そして…
パキン!!
エイドリアーン!!
…とにかく、これでフェンダーの取り付けが可能になりました。可能になった、という事と完成した、という事はだいぶ違いますが、コレで良しとします。つまり、切り口の面取りや整形はしません。疲れました。またいつか、とてつもなくヒマで、マゾヒスティックな気分の時にやります。
ハナシはちょっと変わりますが、最近パワーフィルターのカバーがとても便利なことに気づきました。
何が便利って…
強力マグネットを使用しているので、取り外した小さなボルトやナットを一時置いておくのに非常に役立ちます。地面が砂利なので、こうしておくと目を離したスキにどこに置いたか判らなくなる、という事がありません。
まあ、トレイを一つ用意しておけば済む話なのですが。
アクスルシャフトを抜くのは初めてです。ウチにはバイク用のジャッキというものが無いので、気合で車体を抑えつつ、シャフトをギリギリまで抜き、写真を撮り、ステイを挟み込み、そして再びシャフトを通す、という工程を瞬時にやってのける必要があります。だから写真に膝頭が写っちゃいました。
で、そういう割には大して作業時の写真を撮れずに、完成です。私も今記事を書いていてあまりにも写真が少ないのでびっくりしました。実はステイを挟み込んでからフェンダーの位置を決めて、理想の形にセットするまでにかなりの時間をかけたのですが…。取付用の棒を曲げてみたり、とか。
では、ビュフォー・アフターです。
~ビュフォー~
どうしてもフェンダーの位置がこれより低くならず、多少間の抜けた印象がぬぐい切れませんでした。
長さも短く、何となくカトンボみたいな表情です。
~アフター~
何という事でしょう。フェンダーとタイヤが近く、そして抵触することなく固定されています。彼らの中で、永遠の不可侵条約が締結されたのです。これからは仲良く寄り添っていくに違いありません。
前から見ても何ら違和感がありません。むしろチャリ感が増してます。
ちょっと高めのアングルから。メッキが美しく輝いております。
この日に写真を撮り忘れてしまったのですが、この後フェンダー上部の取り付け用ステイの部分に引きばねを付けました。あまり意味はありませんが、ちょっとしたアクセントになっていて、かなり気に入っています。
何故写真が細いうえにピンボケなのかって?
実はこれ、後日にやったチキりの完成披露写真の一部なんです。ホントの被写体はこの左手前にあるのですが、ネタバレになるのでトリミングしました。
でこのフェンダーなのですが、アクスルシャフトに直接ステイをかまして2点で固定しているので、地面の凹凸でサスが動くと、それに合わせてフェンダーが前後にピョコピョコと動きます。これがヒジョーにカワイイのです。これは思わぬ副産物。ただ、それだけナットに負担がかかっているという事なので、こまめに増し締めしないと事故の基ですね。
因みに、このフェンダーは取付の棒をフェンダーの下側を通すように設計されているようですが、そこは私のこだわりで、無理やり外側に固定しています。やっぱり棒が外に出てた方がカッコイイでしょ。その分タイヤとの隙間も狭められるし。
さて、フロントフェンダーはこれにて一件落着ですが、今度はリアフェンダーが残っています。こちらもどうにかしない事には色が違っているのでアンバランスです。