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半振暮銀のブログ一覧

2018年12月12日 イイね!

ウソの話

 私が珠のようにかわいい子供だった頃、ミニカーを集めていました。特に数が多かったのは、トミカとホットウィールです。トミカに関しては、中野のミニカーショップで今、数千円するようなものが押入れの奥にしまい込まれた段ボール箱の中でいくつも唸っています。
 私は当時、お小遣いというものをもらってませんでした。小学校のすぐ近くに、交差点にあるから「かどや」などと身も蓋もない名前で呼ばれている駄菓子屋さんがありました。その店のオバちゃんはちょっと偏屈で、「買うの? 買わないんだったら最初ッから入ってこないで」と言い放つ女傑でした。私はお金を持っていないので、友人たちが様々な原色のお菓子を選んでいる間、外でたばこの自販機の銘柄を眺めながら待っていました。
 お小遣いが無い、という状況で私が如何にしてミニカーを手に入れたのか? それは、両親の機嫌がいい時にちょっとした伏線を張り、「予約」する形で私が欲しいものを印象付け、そして次に奇跡が起きるのを願って、いつか買ってきてくれる時のことを待っていました。
 しかしこうした正当な手続きを踏んでいては、なかなかにミニカーは手に入りません。そこで登場するのがオヤジの存在です。彼は生粋のエンスーなので、当然ミニカーなんてものにも興味があります。私もあります。利害が一致します。つまり、互いが互いを言い訳に、こっそりとミニカーを買い集めていったのです。
 私にとってミニカーは、当時から眺めるものでした。ホットウィールはパッケージから出さずにそのまま壁に飾っていたのですが、ある時点から嵩張るようになったので、ひとつずつ包装を開け、安物の陳列棚に並べていました。徐々に増えていくミニカー。車に関して無頓着で、見分けなど一切つかない母も、ある日ついに私に尋ねました。
「こんなのあったっけ?」
私はあまり答えが早すぎないように、少々間をおいて、もっともらしく答えました。
「あったよ。仕舞ってあったのが出てきたから並べ直したの」
 この事件の後父が言った言葉を今でも覚えています。

「お前もウソが上手くなったな」





 前置きが長くなりましたが、つまりこれから私が書くことは全てウソです。私はウソが上手いからして、もっともらしく書いてしまいますが、真っ赤なウソなのです。あるいは夢の出来事です。とにかく現実には起こっていません。アンビリーバボーです。そのことを念頭に置いて読んでくださいね。でも間違えちゃうといけないから、ちょっと小文字で書きますよ。読みづらい方は画面を拡大してください。Ctrlキーを押しながらマウスホイールをぐりぐりするとスムーズに倍率が切り替えられますよ。



 その日は快晴。チャーリー号も快調でした。そして最も重要なことに、私の気分も最高潮でした。なんだか、チャーリー号で遠くに行きたい気分。しかし残念ながら仕事があるのであまり時間をとれません。そこで、かねてから気になっていたことを試そうと思いました。つまり、チャーリー号は果たして何キロまで出せるのか。
 キャブのオーバーホールを終え、試走し、ジェットを交換し、と色々いじりまして、私の思うベストな感じに仕上がっています。しかしそれは時速30キロの制限速度を順守して、尚且つ信号のスタートダッシュで流れを乱さないレベルでの話です。坂道発進やエンジンブレーキを利かせた後のアイドリングも問題が無いので、あとは高速走行にどれだけ耐えうるか、それだけがまだやっていないテストでした。
 私は大通りにチャーリー号を走らせました。そして通りに出ると、平日の昼間という事もあって交通量も少なく、虎視眈々と獲物を狙う白き悪魔、オマーリ・サンの姿もありません。
 ここは私だけのハイウェイ。ギアをニュートラルに入れ、軽い空ぶかしを一つ。信号が青に変わる直前に左のつま先を踏み込み、上げる直前に軽くスロットルを吹かし、青に変わると同時に足を離します。こうすることで、自動遠心クラッチのカブは加速を最大限に活かす事が出来るのです。
 普段よりも引っ張り気味でシフトチェンジし、2速、3速と無駄のないスロットルさばきで加速していきます。そしてもうそろそろ限界だろう、というところでメーターを見ると、なんと振り切る直前でした。これだけ出れば十分だ、とスロットルを緩め、エンジンブレーキを聞かせながら徐々に減速。ここでは具体的な数字を明かしませんが、捕まれば免停までの赤い片道切符を手にするところでした。
 自分で仕上げたキャブが予想以上の成果を発揮した喜びはえも言われません。一度キャブに手を出すとなかなか抜け出せない、とはよく言ったものです。メーカーが作ったベストセッティングをいじっているので、1年間ほぼメンテナンスフリー、という訳にはいかないでしょう。季節によって、またセッティングが必要そうです。ですが、そうしたことが決して面倒ではないように感じられた、そんな出来事でした。




――という夢を見たんですが、どうでしょうか。


Posted at 2018/12/12 18:56:51 | コメント(0) | トラックバック(0) | 世迷言 | 日記

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何シテル?   07/13 18:48
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