• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

半振暮銀のブログ一覧

2018年12月29日 イイね!

タイヤ交換での事件



やってしまった。


 完全にやってしまいました。今年最後のチキりとして、タイヤ、ブレーキ、ハブダンパーをすべて交換してしまおうと企てていました。しかし、その作業を半分、いや、半分にも満たない時点で諦めざるを得ない状況に陥ってしまいました。マズい、これは非常にマズい。
 実は1月3日にチャーリー号を見せびらかしに行く、という非常に不純な予定があったのですが、それに間に合うのだろうか。今回の記事は、とっても残念な記録です。





 冬はつとめて…とか抜かした間抜けはドコのドイツだ、責任者出て来い!! と叫びたくなっちゃうほど寒く、風の吹きすさぶ板橋。私は大荷物を抱えて駐車場へ行きました。
 タイヤ交換。別に今のタイヤがダメになったわけじゃないけど、長い間放置され、空気が抜けた状態になっていたタイヤはところどころ劣化しており、ひび割れもありました。オシャレは足元から、というように、新品のタイヤを履かせて新年を迎えさせてあげよう、と思い、今回は行動を起こしました。
 どうせタイヤ外すなら、とついでに足回りの消耗品も一新してしまいます。


alt


alt


 タイヤはミシュランです。ミスター・ビバンダムも笑顔で手を振っています。タイヤ屋さんのキャラクターがタイヤのお化けってのも安直ですが、輪っかをいくつも連結させたこの大入道、フランス人のセンスは外角高めのボール球の様な気がします。
 因みにコレは初期のポスター。


alt

 「僕の下腹部を使ってよ!」

 困っている人にタイヤを与える、というアンパンマンのような心優しい怪物です。生意気に葉巻咥えてます。

…やっぱり変態です。




 ハナシを戻しましょう。さらに、足回りのパーツですが、ブレーキはあの「デイトナ」のものを使います。


alt

 なんたってデイトナであるからして、きっといいものに違いないのです。だってデイトナなんですよ。ホラ、フェラーリとかロレックスにも「デイトナ」ってあるじゃん。だからすごいんだよ。…詳しいことはよく判らんけど。

 それからハブダンパー。

alt



 このゴムの塊は、加減速時に駆動輪にかかる衝撃を和らげてくれます。早い話が、ガックンガックンなるのを防ぐのです。


 では早速、タイヤを外しましょう。まずは後輪からです。後輪は外すのが非常に面倒で、後回しにしたら組み付け時に厭ンなっちゃうだろうという事を見越して、先にやってしまいます。

alt


 コイツらがどのようについていたかを覚えてないと、恐ろしい事になります。まあ、見ればわかりそうなものですが。

alt

 とりあえず外しました。重心が前にあるため、メインスタンドで自立します。ただ、組み付け時にスタンドが押されて跳ね上がり、2度ほど潰されました。ンもう痛いのなんの。っていうか学習しない男です。


alt



 ブレーキドラム内はパーツクリーナーできれいにしておきます。ブレーキシューの削れたのが結構ついています。


alt



 ひっくり返すとハブダンパーがついています。結構劣化して割れていたりします。
 ン? なぜこんなところにホイールの塗料が付いているのだ? 思えばこれは、後の悲劇の前奏曲でした。

alt


 予想外なことに純正のハブダンパーには突起がついていました。


alt



 ここの穴に差し込むことでしっかりとホールドされていたようです。うーむ、こうなっているからにはそれなりの理由があるのでしょうが、無視してもいいのだろうか。かといって、純正部品を買い直す気もないし、そもそもカブ用として売っていたのを買ったのだから、深刻な症状を引き起こすこともないでしょう。


alt



 見てない見てない、知らない知らない。あんな突起なんて最初ッから無かったんです。自分を納得させて装着。証拠隠滅です。


alt


alt


 ブレーキもだいぶ汚いですね。


alt


 こちらも全部外して清掃。


alt



 で、組み付け。バネに若干てこずりましたが、この後の作業に比べたらまだまだかわいいものです。

 さて、では本日のメインイベント。タイヤの卒業式です。


alt



 まずはタイヤレバーを差し込んで、一気に行きます。
 それでは、ホワイトリボンタイヤの退場です、ご列席の皆様、拍手でお見送りください。




3




2




1



せーのっ


エイ!!

 





ヘニョッ!!











alt

 エェェェェーーーーーッ!!

 タイヤレバー弱ッ!!


alt


 結局ここまでヘナッヘナになりながら、1時間かけてタイヤを外しました。とんだ粗悪品をつかまされたものだ。っていうかどう見てもこれ、100円ショップで売ってる自転車用でしょ。くそー気付くべきだった。


 しかしもっと信じられない、奇跡体験アンビリーバボーな光景がそこにはありました。

alt


 …何故リムバンドが塗料で着色されているのだ?



 チャーリー号に手を入れているうちに、薄々感じていたのですが、前のオーナー殿は発想力と度胸と溶接技術はかなり素晴らしいのですが、それ以外の要素に関してはあまり頓着しない性格だったのかもしれません。
 なんにしても、リムバンドくらい外して塗装しましょうよ…。一反木綿がC-3POのコスプレしたみたいになってるし。

 で、最初の悲劇。塗料のせいなのか何なのか判りませんが、リムバンドを触ると、劣化というよりも風化していたのか、ボロッと切れてしまいました。誰がこんな事態予想できたでしょうか。私は予算をケチって、タイヤをちょっといい奴にする代わりにチューブとリムバンドは使いまわそうと考えていたので(アレ、最初にカッコつけて「足回りの消耗品も一新」とか言ってなかったっけ)、替えなんてありません。こいつは一体どうしたものか…。


alt


 また、ホイールの塗装が案外弱く、レバーを当てたところが剥げてしまったので、リム側面を剥離することにしました。恐怖の剥離セット(剥離剤&ハサミ)です。



alt



 金のホイール(しかもラメ入り!!)は少々下品であまり気に行ってなかったのですが、リム側面を剥がすことで、クロームと金ラメのツートンに。より下品度が増してしまいました。


alt



 なんだかんだで作業開始から2時間半。ようやくタイヤをリムに嵌めていきます。この時点で寒さと疲れが限界です。ずっとしゃがんで作業していたので腰がもう…。


alt



 曲がったタイヤレバーで悪戦苦闘すること数十分。うわさに聞いた結束バンドを使った嵌め込み法なども試しつつ、ようやくハマりました。
 削った塗料の粉で随分と汚れてしまいましたね。



alt


 やっぱりホワイトリボンは無い方がすっきりしますね。特にビンテージ・スポーツを目指すのであればなおさら。
 さて、こうして後輪が完成、かと思いきや、空気を入れる際に最大の悲劇が発覚します。何故か空気がスッコンスッコン入っていくのです。不思議です。やっていれば無限に入ります。きっとこのチューブは四次元に繋がっているんでしょう。そうとしか考えられません。この秘密を解明して来年はノーベル物理学賞をとります。もう一つの可能性は考えたくありません。でも認めないわけにはいかないのかもしれません。




…パンクしとる。


 ぬおおおおお!! 今までの作業は一体何だったのだあ!!
 くそ忌々しいタイヤレバーとリムバンドめ!! 貴様らのせいに間違いない!! 私のノーベル賞をどうしてくれる!!

 しかし困った。新しいチューブとリムバンドを手に入れられるお店なんか近くにないし、タイヤレバーもちゃんとしたの買わないといけないし…







alt


「いやー、困ったぁ…」






 などと御前様になっているバヤイでもないぞ!! これはマズい。とりあえずタイヤレバー3本とリムバンド、チューブをそれぞれ2本ずつ、Amazonで注文しました。明日(12月29)中に届くそうですが、実は私、12月30日から1月2日までの4日間はお仕事なのです。なので、仕事前に急いでやらねばならんのです。
 なんだか、毎年年末になると厄介ごとに見舞われる気がします。なんにしても3日には間に合わせないと!!


2018年12月28日 イイね!

バッテリーボックス自作 その③~完成(?)の巻~

 すっかり後回しにしてしまいましたが、フェンダーだのサイドバッグだの、とかなり手を入れてきたので、さすがにバッテリーむき出しではダサ過ぎる、という段階まで来てしまいました。
 何というか、あの部分だけ全く手が入っていないので、アンバランスなのです。どれくらいアンバランスかというと…





















alt
 
 こんぐらいでしょうか。

 あるいは、「不自然」という観点では…














alt


 こんな感じでしょうか。

 まあ、とにかく、ここまでカスタムしたのにバッテリー周りだけがスッカスカなのがどうも気に食わないんです。だって、こんな状態なんですよ。

alt


 もう、完全に「穴」です。これじゃあまるで五円玉です。今回は、なんとしてもこの穴を埋めたい。

 
 しばらく間が空いてしまったので、これまでのバッテリーケースのチキりを、おさらいしてみましょう。


 まず最初に、ホームセンターでこんなものを見つけてきました。

alt


 エアダクト用の継手です。径は150mm。

alt


alt

 このサイズであれば、縦向きでも横向きでもバッテリーが収まります。



 第2弾では、バッテリーケースをこのように設置することに決定。

alt


 そのために筒をつぶして形成しなおしました。

alt


alt


 そうそう、内側が金属むき出しだと怖いから、という理由でわざわざ塗装したんですよね。これで絶縁になる、と信じていますが、ホントのところはどうなんでしょう?

 以上がこれまでにやった事です。



これを全部無かった事にします。




alt




 いやー、なんだか今までの方法だと、まずバッテリーの固定方法を考えないといけないし、側面をカッチョ良く蓋する方法も思いつきません。それならいっそ、今の状態で上からカバーしちゃった方が楽なんじゃないか、と思い直したんです。そこで、ホームセンターに行って買ってきましたよ。

alt


コレを。






 で、コイツを今までと違った形に加工していきます。

alt

 タンク下のフレームを利用して、カバーを固定しようと考えました。そのため…


alt


alt


 このように、パイプを切り開き、また中央にイイ感じのスリットを設けました。本当にいい感じにスリットが入ったので、記念にこの工程を「チャイナドレス工法」あるいは「アオザイ工法」と名付けました。


alt


 イイ感じにピッタリです。今度はコイツをしっかりと固定します。


alt


 100円ショップで売っていた「カジュアルベルト」。コレってカジュアルなんですかね。キジムナーが宿るという…それはガジュマル。

alt


 目分量と実寸合わせでカットします。私のチキりには定規などいりません。これでもたいていの場合は何とかなります。


alt


 で、何とかなりました。横から見たら四角過ぎたので(円筒型だもの…)、手で押して樽型っぽく成形しました。
 ホントは縦に2本通して固定したかったのですが、縦だとベルトを通すスペースが無かったので断念。余ったもう1本のベルトは…カジュアルに使おうかな。


 それでは、感動のビュフォー・アフターです。


~ビュフォー~

alt


 タイヤ、エンジン、タンク、バッグ、サドルといった濃いキャラクターに囲まれて、一人だけ浮いてしまった地味子さんのバッテリー。なんだか、いつもの顔ぶれで集まってるんだけど、どういう訳か居ても居なくても同じ、みたいな雰囲気で寂寥感溢れる印象でした。





~アフター~

alt


 何という事でしょう。あの、地味子さんは大学デビューを果たしました。チャラい音楽サークルに入り、彼女は変わったのです。今ではボンデージで身を固め、成績なんて急転直下、飛行機だったら死者が出るレベルです。
 今回の作業によって、チャーリー号の貧弱さが大分に薄れました。また、かなり判り辛いかと思いますが、バッテリーカバーの後部に若干の傾斜を設けたので、タンク後半のラインとリアサスペンションの延長線をうまく中継する形になり、視覚的に右下がりのラインを作り出せました。


 さて、次回でもう今年のチキりは終わりでしょうか。で、その内容はとっても地味で、とっても大変なものを予定しているのですが、やる前からなんだか面倒になってきたぞ。だってお外寒いんだもん。
 あまり大きな課題は来年に持ち越すべきではないので、早いところやってしまいましょうかね。

2018年12月27日 イイね!

格安サイドバッグ


――最高のクリスマスプレゼントは一番お金をかけたものではなく、
一番多くの愛がこもっているものである。
ヘンリー・ヴァン・ダイク





「メーリークリスマス、マイ・スイート・ハート。二人で聖なる夜を熱帯夜に変えようぜベイビー」
「こんな日にするべき事じゃないと思うけど、あなたに話があるの」
「どうしたんだい、マイディア」
「私たち、距離を置いた方がいいと思うの」
「なんてことだダーリン!! こんなに素晴らしいプレゼントを用意したのに」

alt






「私はそんなEbayで買った合成皮革のハンドバッグ(566円・送料込み)で繋ぎとめられるような安い女じゃないわ」
「ハニー、そいつはとんだ誤解だぜ。今年は奮発してもう一つ用意したんだ。きっと驚くぜ」












alt



「…もう、あなたの顔も見たくないわ」








 あーあ、どうして私の熱き思いが伝わらないんだろう。実はそんなに熱くないからかな。どうでもいいけど、せっかくのプレゼントが残っちゃったな。仕方がないからチキっちゃおう。ちょうど書類のコピーと簡単な工具が入れられるサイドバッグが欲しかったところだし。
 つーことで、ウソみたいな値段で手に入れたハンドバッグを、チャーリー号に装着します。


 まず、このように二つのバッグをストラップで連結します。

alt


 で、コイツをタンクとフレームの隙間(下図)に挟み込み、結束バンドで固定するだけ。


alt


 素晴らしく簡単な作業で、今回の作業は終了。ま、バッグを見つけた時点でこのチキりの80パーセントは終わったも同然です。




alt


 ハイッ、チャーリー号に素敵なクリスマスプレゼントです。あえてこの位置にバッグを持ってきたのは、近いうちに制作予定のバッテリーカバーを目立たせるためです。また、リアの方にはゼッケンプレートも付けたいので、取付位置はタンク下に決定しました。
 こうすることで、エンジンのスカスカ感も多少ごまかせます。ただ、このままじゃバランスが悪いので、早いうちにバッテリーカバーを仮で作成します。多分、それで見栄えは多少良くなるはず。
 もう今年も残り僅かですが、終わらせなければならない課題は多いです。ラストスパート、頑張らないと。
 
2018年12月21日 イイね!

フェンダーマスコット取り付け

 古い自転車に関して、昔からあこがれていたものがあります。それが、コイツです。


alt

alt


 「風切りマスコット」です。コレが付いていることがカッチョいいかどうかは置いておいて、コイツにずっと憧れていたのです。

「ぼくは大きくなったらフロントフェンダーにマスコットのついた自転車にのりたいです」

 これは私が小学校の卒業文集に書いた決意表明です(嘘)。今回はその夢が叶います。



alt


 エアメールで微笑みの国、タイから届きました。リプロ品ですが、新品です。



alt


 ベンリィ用のものを購入したので、フェンダーに取り付けるためのステイまでついてきました。まあ、これは使わないので外してしまいます。
 それでは早速位置決めをしましょう。



alt


 取付案その①、最先端に取り付ける。前にを授けることで、グイグイと引っ張られるイメージでしょうか。


alt


 取付案その②、ちょこっと下げて「HM」の文字が水平になるところに設置。うーむ、こっちのほうが落ち着いた感じがしますかね。取付案②を採用。

 さて、マスコットを付けるには一度フェンダーを外して、穴を空けなければなりません。しかし家に電動ドリルなどある筈もなく、途方に暮れていました。
 で、編み出した方法は…



alt


 ハンマー、キリ(木工用)、釘(木工用)。これらで穴を空けちまおう、というもの。




――あまりいい作戦じゃなかったみたい。



 釘だと弱すぎて、すぐに曲がってしまいます。そこで作戦変更。

alt


 釘をやめて、木ねじをぶっ叩いて穴をあけます。ホラ、形だってドリルに似ている。
 (お爺ちゃんの手みたいに、シワシワになっていますが、気にしないでください)


alt


 何とか穴があきました。――って、アレレ、左側の穴がちょっと上にずれてる? 後で穴を広げて修正しました。




alt


 ネジを通して…



alt


 取付完了です。あ、写真を撮り忘れましたが、フェンダーとマスコットの間にカットしたゴム板を挟んでいます。こうしたほうがガッチリと付けられる…気がします。



 それでは感動のビュフォー・アフターです。



~ビュフォー~




alt



――まあ、これと言って不満があったわけじゃないんですよ。だって十分カッチョいいもん。そろそろホワイトウォールが鬱陶しくなってきたくらいかな。


~アフター~



alt


 うおおお、シブい、シブすぎるぞ!! なんだかたった数センチの違いですが、これがあるのとないのとじゃ、まるで印象が変わります。


alt


 「得体のしれない度」が上昇。ホントに「いつの時代のバイクだ?」といった感じです。



alt


alt


 フェンダー上部の(あまり意味のない)バネがいいアクセントになって、羽のエンブレムを引き立たせてくれています。
 ンもういつまでもナデナデしていたいところですが、雨が降ってしまったためここで撤収。
 
 サイドカバーをどう作るか、未だ模索中です。


2018年12月18日 イイね!

カブは愉し

 原付の最高速度は時速30キロです。現在の法律ではそうなっとるのです。でもこれは、原付を楽しむ、といった点においては誠に理に適っとる様に思えるのです。
 一方、原付の3車線以上の通行帯を持つ道路に置いての二段階右折は、紛れもない悪法のようにも思えるのです。まあ、コレは原付を「パワーの少ないトルコン車」を前提としたモノとして捉えているので、腕次第でいくらでも加速ができるカブにとって、あまり意味のないものなのかもしれません。
 しかし、50ccのカブは、時速30キロまでの加速にかけてはかなり優秀な性能を発揮します。お金持ちの政治家先生方が原付の加速性能を知っているとは到底思えませんが、この法律に基づいてカブをセッティングしている私にとって、この30キロ制限はひとつのゲームであります。如何に交通の流れを乱さず、法廷の最高速までもっていくか、というのが目標です。そして、そのセッティングを100%活かしたシフトチェンジを体得することこそが、本物のカブ乗りに課せられた義務なのです。
 私は、未だに交通戦争の激戦区である板橋で、信号が変わってから、まったく同じ車間で前の車について走行する、という事を常に意識して運転しています。ただ、これも時速30キロを超えない範囲で、という話です。
 なので、無駄に信号待ちですり抜けをして先頭に着こう、などとは考えません。むしろ、あまりにも前の車両との速度差が出るようでは、法定速度で走っていては後ろの車が苛立つので、無意味に戦線離脱して、次の角で左折し、危険因子を先に行かせてからまた運転を再開します。

 原付は不遇な乗り物です。どうせ性能が追い付かないから、というナメられた存在なので、余計な義務を課せられます。ナメられているからこそ、免許なしでも運転できるような法整備がなされているのです。でも、その法律を決めたのは、普段運転手付きのV12を積んだセンチュリーに乗っているお役人様です。自分が乗っている車の性能すら、まともに理解できていない連中です。奴らが現行法ではかえって交通の流れを阻害する、と気づくことはまずないでしょう。アタマのワルい人は形だけ見て判断しようとするので、その原因を突き詰めようとはしません。

 まあ、これは仕方のない事でしょう。二段階右折をする原付が5台集まればベトナムのような状態になる、という事は想定されていません。そもそも、二段階右折という行為をしたことのない人たちによる法なので、それが考慮されることもありません。ソレをきめた本人にしか到底理解できない理論によって定められているのですから。

 カブはこのような理不尽なルールの中で走ると、余計なテクニックが必要となります。新聞屋さんや郵便屋さんは、何故かそうしたルールを無視した、無敵の走りをしても許されるような雰囲気がありますが(事実、歩道・路側帯の走行や逆走、ノーヘル、方向指示器の無灯火はよく見られますね)、個人としてで運転する際に、それを模倣すると、直ちに危険運転のレッテルを張られます。
 カブはカブらしく走行するが吉です。

 私の所属する(そういう事になっとるのです!!)「グッドフェラス」の発起人の一人は、『スローランのすすめ』として以下のように書いています。


「Gを感じる加速もコーナリングも必要なく、制限速度内で十分なんです。
カブに乗る時は、時速30キロ台で道路左端に存在する『カブの道』を走る。
すると今まで普通に飛ばしていた頃とは全然違う世界が見えてくるのです。(略)
信号待ちの停止線はレースのスターティンググリッドなんかじゃなく、車が好き・バイクが好き・カスタムが好きという同じような趣味を持つ人たちとのミーティングの場だと考えてみる。
無言の場合がほとんどだけど、信号が青になるのを今か今かと睨み付けるのではなく、本物のミーティングに参加した時のような目で他のマシンを眺めていると、向こうから声をかけてもらえることだってあるかもしれない。(略)
時速30キロ制限の道は、やはり意味があるから30キロなんだとようやく気づくことができました。
トイレを我慢していて漏れる寸前なのだろうと思ってしまう勢いで走る車やバイクには、邪魔にならないようしっかりと道を譲り、私は自分の道を自分の速度で迷惑にならないよう進もう。」


 なんだか長くなってしまいましたが、つまりそういう事なんです。飛ばしたければ、頑張ってお金貯めて中免とります。でも、たとえ中免とったからと言って、おそらく私は法定速度を超えるような速度では走らないでしょう。スピードが好きなんじゃありません。車が、バイクが好きなんです。速く走ることが正義になるのは、サーキットと救急車の場合です。
 古い話ですが、芸術の世界でも「未来派」というものが流行った時期がありました。
 産業革命が起き、機械による力強いものが礼賛された時代です。総てが力によって合理化され、弱いものは邪魔ものとされました。ちょうど自動車が段々と高性能になっていった頃でしょうか。スピードに美学を見出し、やがて、思考は極右的になります。
 力強きものとはつまり男性性である、として男尊女卑的になり、また、力あるものがすべてを支配すべきだ、指導者となるべきだ、として、ファシズムの庇護者となっていきます。
 やがて、「未来派」の芸術家たちの発言は、戦争擁護論となり、段々と過激なものとなります。戦争が終わると、彼らは――今の言葉を使うと――「干された」形となり、一気にその力を失います。

 私がカブに乗るとき、私は早さを求めません。また、利便性も求めません。そこにはただただ、楽しさだけを求めているのです。なので、30キロ出せれば十分です。30キロという限られた世界で、すべての技術を出し切る事こそが、カブの楽しみなのです。


 こんなことが、最近判り始めてきました。時速30キロの世界。自転車で必死こいて走っていたのと同じ世界です。ことによると、30キロで安定して走るために使ったエネルギーは、自転車と変わりなかったのかもしれません。
 スロットルを数センチ捻るだけで壊れてしまう脆弱な世界ですが、これほどハードボイルドなものはないと思います。こんな走りをする奴はタフじゃない、と誰かが言うかもしれません。しかし、周りに流されず、自分の誘惑に打ち勝ってそれを守ることが、真にタフな姿なんじゃないか、と思えるのです。


 
Posted at 2018/12/18 03:49:25 | コメント(0) | トラックバック(0) | 世迷言 | 日記

プロフィール

「ぼくの失敗たち http://cvw.jp/b/2652204/48540902/
何シテル?   07/13 18:48
 スバルR-2(ハイマー号)が退院し、ビンビン走る様になりました。コイツが入院中に浮気した妙なカブ(チャーリー号)も、概ね元気です。いつかこの2台でイベントに出...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2018/12 >>

       1
2 34 56 78
910 11 1213 14 15
16 17 181920 2122
23242526 27 28 29
3031     

愛車一覧

スバル R-2 ハイマー号 (スバル R-2)
 '96年生まれの貧乏学生でした。初の愛車として、A型前期のスバルR-2 K12を手に入 ...
ホンダ スーパーカブ50 チャーリー号 (ホンダ スーパーカブ50)
 少年の時代は終わった。しかし、未だに冒険が大好きで、何か素敵な事をやらかしたいと思って ...

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2024年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2023年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation