紙地図とカーナビ

私は長らくカーナビを使わなかった。今でこそナビアプリは使うがナビ専用機は使った事がない。
地図の目的は主に道案内だが、私が紙の地図が好きな理由は他にある。美しさである。限られた紙面にいかに多くの情報を美しく配置し、その場にいるような臨場感を与えるか。だから紙ならなんでもいいわけではない。機能美に溢れ、見やすく、語りかけてくる地図でなければいけない。仕事で自動車メーカー向けのカーナビ用地図データを手がけた事もあるが、残念ながら美しいレベルのカーナビには出会えていない。
理由はもう一つある。
ナビシートにはいつも「永遠のナビ氏※1」がおり、私の音声に反応して地図をめくってくれる。カーナビが必要なかったのだ。
紙の地図を使う事がめっきり少なくなったが、ナビ氏はナビアプリの画面を眺めて周りのランドマークと照合しながら「あのタワーは。。。」「この川は。。。」と観光案内をしてくれる。気晴らしになって助かっている。
※１:要するに妻である。長年のナビゲーターの功績を讃えて私が勝手に与えた称号である。本人も知らない。