トヨタ(純正) インテリジェントクリアランスソナー（8センサー）  

【総評】
アクセルの踏み間違いや踏みすぎなどで起こる衝突を緩和し被害軽減に寄与するシステムです。前後進行方向にある壁などの障害物を検知している場合、発進時にエンジン出力を抑制し、さらに距離が縮まると自動的にブレーキをかけます。
…とありますが、色々と注意点も多く「あくまでも補助的なもの」であり、正直「ないよりマシ」という印象です。

【満足している点】
1. ないよりマシ
以前、非常に疲れた状態で大渋滞にはまった際、進み出して止まろうとした時にアクセルとブレーキを踏み間違えて危うく前車に追突しそうになったことがあります。
すぐに「あれ？止まらない、おかしい、あ、アクセル踏んでる」と気付いてすぐにブレーキを踏んだので大事には至らなかったものの、これまで「アクセルとブレーキを踏み間違えるなんてありえないよ」なんて思っていたのに、加齢だけでなく疲労によっても集中できない状況下では充分起こりうる事象だと認識しました。
このシステムは後述する通り色々と作動条件や制約事項があり、まだまだ安心できるものではなく「ないよりマシ」というレベルですが「千里の道も一歩から」と言いますので今後に期待です。

【不満な点】
1. 「渋滞時や低速時の追突防止にはならない」と考えられる点
末尾に本システムの作動条件や制約事項を一部抜粋しましたが、それを見るとインテリジェントクリアランスソナーは「作動開始条件は15km/h以下」「地面に対して垂直でないもの、車両進行方向に対して直角でないもの、凸凹なもの、波打っているものは感知しない」とあります。自動車の後部は凸凹しているため感知しない可能性があります。実際、上述の踏み間違えの際にはインテリジェントクリアランスソナーは作動しなかったので感知してなかったと思われます（前車はステップワゴンでしたので「地面に対して垂直」と言えそうなのですが作動しませんでした）。
ではプリクラッシュセーフティシステムで衝突回避できたかというと「自車速度15km/h以上および相対速度10km/h以上で作動」とありますので、渋滞時や走り出し時は15km/hも出ていないでしょうから、これも衝突回避にはならなかったと考えられます。
レーダークルーズコントロールは停止するまで制御するので、インテリジェントクリアランスソナーやプリクラッシュセーフティシステムで低速時の衝突回避もすると思っていたのにとても残念です。

2. 作動条件や制約事項が多いのにしっかりと周知されていない
「売り」の一つということで良い点ばかりが目立ち「この機能があるから安心」と過度な期待を持ってしまいそうです。
ディーラーでは納車時の説明で「取扱説明書に付箋紙を貼った箇所を良く読んでおいて下さい」とあっただけでした。自分は取説を読むのは好きな方なので読みましたが、安全機能に関する制約事項などはその場でオーナーに見てもらい確認させるということが必要ではないかと思っています。
（ディーラーからの帰り道、運転しますしね）

また、作動条件や制約事項だけだと中々イメージできないことも多いと思いますので、「◯◯の場合には作動しない可能性があるので注意して下さい」など、より具体的に例を挙げて注意喚起することも大切なのではないかと思います。

以下、作動条件と制約事項の一部抜粋です。
（といっても結構多いです。他にもまだあります…）

◾️作動開始条件
ICS OFF 表示灯が点灯・点滅しておらず、次の条件をすべて満たすと作動します。
▶︎ハイブリッドシステム出力抑制制御
・ インテリジェントクリアランスソナーを ON(作動)にしているとき
・ 車速が 15km/h 以下
・ 車両進行方向に障害物がある(2〜4m 先まで)
・ 衝突回避には、通常よりやや強めのブレーキ操作が必要とシステムが判断した
▶︎ブレーキ制御
・ ハイブリッドシステム出力抑制制御作動中
・ 衝突回避には、急ブレーキ操作が必要とシステムが判断した

◾️作動終了条件
次のいずれかの条件のときに作動が終了します。
▶︎ハイブリッドシステム出力抑制制御
・ インテリジェントクリアランスソナーを OFF(停止)にした
・ 通常のブレーキ操作で衝突回避が可能になった
・ 車両進行方向の障害物がなくなった(2〜4m 先まで)
▶︎ブレーキ制御
・ インテリジェントクリアランスソナーを OFF(停止)にした
・ ブレーキ制御により車両が停止して約2秒が経過した
・ ブレーキ制御により車両が停止したあとに、ブレーキペダルを踏んだ
・ 車両進行方向の障害物がなくなった(2〜4m 先まで)

◾️センサーが感知しない障害物について
次のような障害物は、センサーが感知しない場合があります。
・人や綿、雪など音波を反射しにくいもの (特に人は衣類の種類によっても感知できない場合があります)
・地面に対して垂直でないもの、車両進行方向に対して直角でないもの、凸凹なもの、波打っているもの
・背の低いもの
・針金、フェンス、ロープ、標識の支柱などの細いもの
・バンパーに非常に近いもの

……って、こんなにたくさん覚えきれませんって…orz