
まずは揚げ足取りからw
「利用者1人のためにほかの9人まで税の負担を求められるのは、使った人が払う受益者負担の原則に反する。」
高速道路の恩恵にあずかっていない人がいったいどれだけいるというのか?
「使う」とは「通る」ということだけではない。
宅急便だって高速道路を使うから翌日に配達できる。
宅急便を使ったことがない人がいるのか?
答えは「ノー」だ。
直接は使っていなくても,間接的に絶対に使っている。
そして,例えば広島では,空港がインターの近くにあることもあって,広島市から広島空港に行くのに高速道路を使わない人はかなり珍しい部類の人種だ。
自分では車に乗らないという人ならバスを使うが,これは確実に高速を通る。
こういう意見しか持たない人は,自分が社会の中の一員であるという認識が欠如した身勝手な人かもしれないと,振り返って自分を見つめなおして欲しいと思う。
別の言い方をすれば,正論しか言えない人。
「お金がある人しか使えないのはインフラではない」
って・・・
鉄道も,電話も,電気も,水道も,ガスも,その他もろもろ,全てお金を払って使っているであって,しかも鉄道なんて特急や新幹線なんかはプラスアルファで支払うんだから,道路だってそれがおかしいとは言えないでしょう。
「無料化すれば物流コストが下がり、農林水産業、運輸業、観光など主に地方の産業がメリットを受け、税収も増える。」
税収は変わりませんよ。
だって,都会で使っていた分を田舎で使うだけだから。
高速道路が無料になったからといって,消費全体が増えるとは思えません。
だって,一般消費者が高速道路利用料として支払っているのって,年間いくらですか?
一般消費者からの収益を見込んだって,たかが知れていると思います。
そしてどうせガソリン税を上げるんでしょう。
そしたら運輸業にしてみればチャラか,マイナスでは?
「安く造れる出入り口を増やし一般道と接続を良くすれば、・・・」
あちこちから乗り入れできたら便利ではないですよ。
むしろ,「合流」という危険が増える一方です。
高速道路があれだけの速度で走っていても危険が少ないのは,合流が極端に少ないからというのも一つです。
事故や渋滞は合流部で起こるのですから。
こんな細かい揚げ足取りなんてどうでもいいんです。
高速道路を無料にしようが有料にしようが,道路と自動車に頼り切った政治と経済がこのような歪みを生みだすのであって,そこから脱却しなければ根本的解決にはならないよ。
都会での土地利用率を考えてみれば,道路の占める割合が異常に高い。
その上,空中や地下にまで道路を建設している。
まるで,土地は道路のためにあるかのような。
土地の有効利用とは?
本来あるべき姿に戻す必要があるんじゃないでしょうか?
そして,車の使い方を根本的に見直す必要がある。
パーク&ライド
相乗りタクシー
相乗り通勤
地方では乗り合いバスの普及
カーシェアリング
日本でもそういったシステムをどんどん普及させてもいいでしょう。
高速道路の通行料だって,全国一律にする必要は全くない。
これは鉄道にも言えることだけど。
交通量の多いところは値上げして渋滞の緩和をしてもいいだろう。
いきなりの値下げとか,いきなりの無料化とか,そんな経済の輪をいきなり乱すような政策じゃなく,やるべきことはもっとあると思うけどな。。。
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【金曜討論】高速道路の無料化 猪瀬直樹氏 山崎養世氏
民主党が衆院選の政権公約(マニフェスト)で打ち出した高速道路料金無料化。「高速を利用しやすくなる」「物流コストが下がる」といった好意的な声がある一方で、「渋滞が多くなり、排ガスが増える」「現在の高速道路会社の借金をどうするのか」など、効果を疑問視する意見も。無料化による経済構造の転換を提唱するシンクタンク代表の山崎養世氏と、無料化に否定的な旧道路公団民営化推進委員の猪瀬直樹氏に聞いた。(道丸摩耶)
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≪猪瀬直樹氏≫
■民営化否定のごまかし
●受益者負担に反する
--高速道路は無料化できるか
「高速道路を利用する車は10台に1台。利用者1人のためにほかの9人まで税の負担を求められるのは、使った人が払う受益者負担の原則に反する。東日本、中日本、西日本の3社で年2兆円の料金収入がある。維持管理費4000億円、残り1・6兆円が借金返済に充てられ、あと41年で計40兆円を返すことになっている。この借金をどうするのか。国債に付け替えるのか。民主党がやろうとしているのはごまかしで、60年償還の赤字国債の発行だ。年間1・3兆円を一般会計に流し込ませる。そのうえ国営になれば、元の道路公団よりひどい」
--民営化の否定になる
「政権交代しても、霞が関はそう簡単にコントロールできない。株式会社にして決算の世界に変えるか、地方分権にするかだ。そうしてコストを下げ、無駄を排除し、二重行政をなくしていく。談合やファミリー企業の増殖で借金を増やし、さらに3000億円の税金を入れてもらっていた旧道路公団は、定期的に料金を上げ、利用者にツケを回してきた。しかし民営化により、予算を使い切る世界から利益を出す決算の世界に変わった。納税もしている」
●経済効果にも疑問
--民営化は利用者にメリットがあったか
「民営化後、通勤時間帯や夜間の割引で料金は平均20%下がった。また、サービスエリアなどにスマートインターという出入り口を作って便利にした。3車線の計画を2車線にするなどで、今後の投資も10兆円減らした。それぞれの会社が自らいろいろな試みができるようになり、外環道延伸事業には東日本、中日本、首都高の高速3社が名乗りをあげ、発注を競っている。今まではありえなかったことだ。民営化によって現状から改革してきたわけで、ただこういう絵を描きましたというなら誰でも言える」
--無料化は経済効果を生むといわれているが
「それは疑問だ。政府が緊急経済対策として土日の通行料を1000円にしたら、ものすごい渋滞が発生している。高速は時間短縮のために料金を払っている部分がある。無料化にしたことで、365日渋滞をするようになったら、時間短縮効果はなくなる。物流コストが削減されて、宅配便の料金が少し安くなっても、翌日着かないということになる。環境面から見ても、政府は2020(平成32)年までに、二酸化炭素(CO2)を2005年比15%削減としているのに対し、東京都は2000年比25%削減を実施している。民主党の1990年比25%削減は空想的。こんな排ガスを増やす政策をやっていたらとても無理だ」
≪山崎養世氏≫
■戦後レジーム転換提唱
〇地方産業にメリット
--無料化の効果は何か
「日本は高速を税金でなく借金で造ってきた。民営化しても借金は40兆円残っていて、これからも20兆円分地方に造る予定だ。もし金利が8%にあがれば、返済額は200兆円超。それを2050年までに返すなんて不可能。国鉄民営化は借金を全部処理した。道路公団民営化は処理していない。利用者はガソリン税や自動車重量税などを年間2兆円くらい払っているのに、それは一般道建設に流用され、そのうえ高速料金を取られている。高速は国民のもの。お金がある人しか使えないものはインフラではない。無料化すれば物流コストが下がり、農林水産業、運輸業、観光など主に地方の産業がメリットを受け、税収も増える。安く造れる出入り口を増やし一般道と接続を良くすれば、地方も便利になり人口が増える。無駄な一般道を造る理由もなくなる。浮いたお金で高速がないところに造れば、地方格差はなくなる。都市より地方が得という流れを起こさないと、日本の経済は成長しない。無料化は戦後レジーム(体制)の根本的な転換で、経済構造転換を促す最大の経済政策だ」
--借金はどう処理すべきか
「まず高速のユーザーから取っている2兆円の税金を借金返済に充てればいい。パーキングエリアやサービスエリアの土地は貸借や開発をして不動産会社として株を売る。無料ならどこからでも高速に入れるから資産価値があがる。みんな民間に開放すればいい」
〇鉄道との協働強化
--鉄道や航空会社など公共交通機関への影響も指摘される
「やり方次第だ。航空会社にとっては無料化は長期的にプラスになる。今は羽田ばかり込むが、人口が分散したら地方路線の需要が増える。海外からの観光客も増える。問題は鉄道会社だが、鉄道と高速道路の協働をすべきだ。大都会は鉄道中心。地方では高速出入り口の不動産開発とかバス事業を鉄道会社に優先的に参加させる」
--環境への影響はないか
「無料化しても車の総数は変わらない。この問いは、無料化の是非でなく自動車の弊害をどうするかということ。無料化で渋滞がひどくなる首都高や阪神高速は無料化せず、ほかの路線でも割引実験をして渋滞がひどくなるところは料金を継続すればいい。一般道は歩行者がいたり信号で止められたりするが、高速にはない。料金所をなくして出入り口を増やせば、渋滞が減って燃費が良くなり、排ガスは減る。将来的には電気自動車にして、交通事故が起きないよう衝突回避、自動運転技術を整備する。これからの国土交通政策はただ道路を造るのでなく、環境と安全対策に重点的に投資し、ガソリンも事故もない自動車社会を日本が世界で最初につくるべきだ」
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