2017年06月28日
カーマニアなマエストロ達
今日は昨日より暑いですね。
我が家の軒下のツバメとスズメ達の賑やかな声に起こされ、今日も音楽と読書の日です。
相も変わらず自分の車のネタで書くような事が無く(汗)、皆さんのブログや愛車紹介、パーツレビューを拝見し楽しんでおります。
昨日は久々にカー雑誌を購入し「アイサイト」の進化に驚き、セカンドカー選びはカムリや新型WRX S4が出るまで待とう・・・と思ったのですが、新型リーフ等も登場を控えているとのこと。
これは悩みますね(笑)
悩んでいるうちに買う時期を逸する、私の恋愛パターンと同じです(笑)
さて、今日は「カーマニア」「車好き」として有名だったマエストロ達の話を書きたいと思います。
現代の売れっ子歌手や俳優ら、謂わば「セレブ」(「ハイソサエティ」ではありません)は綺羅星のような高級車や陸上の王のようなスーパースポーツを持っているのはテレビ等で見ます。
でもクラシックの世界にもいる(いた)んです。
まずはその代表格。
「ヘルベルト・フォン・カラヤン」
昨日のブログでも書きましたがCDの収録時間を決めるほどの発言力、自ら操縦桿を握り自家用ジェットで世界中を飛び回り、自らの写真・映像にまでアングルを決めさせ認めたもの以外は発表させない、そのダンディズムに溢れた風貌とタクトさばき。
彼をあらわす言葉「楽団の帝王」「音楽のセールスマン」「錬金術師」「新技術の開拓者」「ナルシスト」etc。
またレナード・バーンスタインはカラヤンとは「犬猿の仲」と言われていましたが、実際はそうでもなかったようでジョークめかして「俺の友達の中で初めてのナチだ」と言っていたそうです。
毀誉褒貶はあれど彼が20世紀を代表する音楽家であったことは言うまでもありません。
彼に関するジョーク。
ある日、カラヤンがタクシーに乗った。
運転手は「どちらへ?」と聞いた。
するとカラヤン「何処へでも。世界中が私を待っている」(笑)
そんなカラヤンですが生粋のカーマニアとしても有名でした。
ポルシェ911ターボRSや959、メルセデス300SL(石原裕次郎さんが乗っていたガルウィングのあれですね)、フェラーリの数々、ランチア・ストレイタス、フォードGT40等羨ましい限りの愛車を持っていたようです。
そんな彼はスピード狂でもあったようで相当いつも飛ばして運転してようで、同乗したことがある盛田昭夫さんだか大賀典雄さんだったか失念しましたが「彼は兎に角運転となると飛ばしまくる。そして「どうだい、まったく怖くないだろう」と。しかし私は恐怖で引きつった笑いを返すのが精一杯だった」と言っています(笑)
MyファンのWRX-NSさんに教えて頂いたのですが彼のドライビング・スキルはあの「ニキ・ラウダ」直伝だったそうですから、そのスキルも相当のものだったのでしょう。
あの頃の車は今のように制御技術により調教されていたわけでもないでしょうから・・・
こうして見ると数々の垂涎の的とも言える車を所有し、運転はラウダ仕込み。
羨ましいとしかいいようがありません(^^)
彼の車、というかメカ好きな一面は「ウィーン工科大学」に若き日に籍を置いたことが関連しているのかもしれません。
最先端のテクノロジーへの飽くなき探究、これが彼のライフワークであり、「クルマ」もその一片だったのかも・・・
もう彼のような音楽は勿論、ライフスタイルから何から何まで計算されつくしたような音楽家は出ないと思います。
それほどにカラヤンという存在は音楽シーンでとても重要な一ページを刻んだ人物だと私は思っています。
二人目の「カーマニア」なマエストロ。
「アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ」
こちらは20世紀を代表するピアニストです。
彼は「完璧主義者」として有名で自らの演奏するピアノを来日公演の時、ホール据え付けのピアノではダメとい言い出しイタリアから2台空輸させたり、冬の公演時「暖房を使うとピアノの調子が崩れる」と暖房使用にダメ出しし、コートを着て演奏会を開いたり(お客さんも大変だったでしょう笑)、とにかくちょっとでも自分が納得のいかないところがあると公演をキャンセルするので「キャンセル魔」とも言われていました。
そんな彼が愛した「クルマ」はフェラーリ。
しかもフェラーリの中でも「伝説」の存在と言ってもいい「250GT」のオーナーでした。
故郷、イタリアを愛していた彼はやはり自国の誇るスーパーカーを愛していたようです。
彼も「スピード狂」として有名で同乗したことのあるピアノ調律師の方の証言で「街中でも平気で100キロ以上、アウトストラーダでも260キロ以上で飛ばしていた。」とか(汗)
彼曰く「死と隣り合わせの緊張感がたまらないのだよ。ミスが許されない演奏と同じだ」と語っていたとか。
周りは迷惑ですね(笑)
またあの「ミッレ・ミリア」にも出場したと言っていたとか・・・
いやはや、やはりクルマ好きの「マエストロ」達は逸話に事欠きませんね(^^)
彼はカラヤンとは対極にある音楽家だったのかもしれませんが、こういうエキセントリックな人物、私は好きです(^^)
3人目。
「カルロス・クライバー」
こちらも20世紀から今世紀始めにかけてとんでもない人気を誇った大指揮者です。
父親のエーリヒ・クライバーも19世紀から20世紀中盤まで活躍した指揮者であり、音楽の才が受け継がれた好例とも言える存在です。
彼は指揮者を目指した当初、当時すでに大物指揮者であった父・エーリヒから反対されそれでも隠して音楽活動を続けたそうです。
そんな若き日のカルロス。
ある演奏会で指揮をすることになりました。
父・エーリヒにバレるとマズいので「カール・ケラー」なる変名を使い、指揮台に立つことに。
不安と期待が入り交じる楽屋に一通の電報が届きました。
そこには「貴君の演奏会の成功を祈る。老ケラーより」と一言。
つまりは親父、エーリヒにバレていたんですね(笑)
このエピソード、私とても好きです(^^)
また彼は面白いエピソードが多い人物ですが、ちょっと長いのですがもう一つ。
セルジュ・チェリビダッケ(愛称チェリ)という、完璧主義者の余り、練習で気に食わないことがあると直ぐに公演をキャンセルしてしまう、これまた「幻の指揮者」がいました。
チェリは毒舌家としても有名でよく同業指揮者の批評で毒を吐いていました(笑)
曰く。
ヘルベルト・フォン・カラヤンについて。
「彼は耳が聴こえないらしいね。そうでなければあのような空虚な音楽は創れない。彼は商売人だろう?」
レナード・バーンスタインについて。
「彼の「演奏」する音楽と私の「創る」音楽は全く無縁のものだ。彼は指揮台の上で踊っているのかね?」
カール・ベームについて。
「奴はじゃが芋袋だ。生涯に一度たりとも一小節もまともに指揮したことが無い」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラーについて。
「彼はいい時に死んだ。耳が聴こえなくなっていたのだから」
等など・・・
チェリは禅にも深い造詣があり、世界観が他の指揮者達とはかなり違ったのが要因かもしれませんが、まぁ何という罵詈雑言(^^;)
これにカチンと来たカルロス。
ある日新聞の投書欄にこのような投稿が掲載されました。
投稿者の名前は「天国のトスカニーニからチェリビダッケさんへ」
「こちらの世界ではモーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス皆があなたのテンポは間違っていると言っています。そしてこちらにいる指揮者仲間たちはあなたの批評を見て笑い転げているのです。
実はここ天国に居るもの皆がカラヤンに夢中なのです。
指揮者だったものには、嫉妬心さえ憶えます。
彼があと15年か20年後にここに来て(この時カラヤンは存命中)、我々が歓待できるなど、殆ど誰も思っていません。
あなたがその場に居合わせられないのは残念です。
しかし、聞くところによりますと、あなたは煮炊きもずっとうまくできると言いますし、オーケストラは永遠にリハーサルに付き合ってくれるといいます。それどころかオーケストラは小さなミスを故意にしてくれて、あなたに永遠にやり直しをさせてくれるそうです。
ここ天国ではエンジェルが直接作曲者の眼から読み取って演奏してくれ、私達指揮者は、ただそれを聴いていればよいのです。」
この「天国のトスカニーニ」氏、このカルロスが投稿者だったんです。しかも「天国の~」がカルロスと明らかに分かるような細工まで(笑)
毒舌の標的だったカラヤンはあの世でも大人気、チェリのテンポは作曲家自身が間違っていると強烈なジャブを繰り出し、「リハには永遠に付き合ってくれる」とこれまた強烈なボディブロー(笑)
チェリはこの後、相当静かになったようです(笑)
数年後、日本からヨーロッパに向かう飛行機でこの二人は鉢合わせしてしまったそうです。
周囲は殴り合いになるのではとカラハラしたそうですが、お互いにちゃんと挨拶を交わし、チェリが自分のオーケストラを指揮してくれ」と言ったとか。
さすがはお互い世界を股にかける大音楽家、大人の対応ですね。
さて、そんなカルロスですが、彼もカーマニアとして有名です。
彼はサルーンが好きだったようでメルセデス、BMW、アウディ、ロールス・ロイス等セダンばかり、それも超高性能のAMGモデルやアルピナ(何故かMモデルではなかったそうです)を取っ替え引っ替え乗りまくっていたとか。
カルロスも「キャンセル魔」として有名で完璧な練習が出来なければ、タクトを投げ捨てキャンセルしたり「今回は気が乗らない」と言ってキャンセルしたり・・・
かく言う私も、確か1992年だったと思います。
中学合格のご褒美としてクライバー/ウィーン・フィルの来日公演のチケットを買ってもらったのです。
東京へ初めての一人旅、しかも「あのカルロス・クライバーとウィーン・フィル」の組み合わせが聴ける!と小躍りして喜んだのもつかの間・・・
やっぱり彼は来日をキャンセルしてしまいました(泣)
カルロスは「人間嫌い」の一面がかなりあったようで、聴衆の前に立つ指揮者という仕事ながら耳目を集める事を極端に嫌ったようです。
彼がレナード・バーンスタインに語った「僕は庭の野菜のように太陽を浴びて育ち、食い、飲み、愛し合う行為をしたいだけ」という言葉に如実にあらわれています。
またカラヤンは「カルロスは冷蔵庫が空にならないと指揮台に立たないのさ。」と言っていたといいます。(かのカラヤンもカルロスの事は「正真正銘の天才だよ」と語っていたとか)
そんな気難しい人格、そして同業者への嫉妬と憎悪渦巻く音楽界(笑)でも彼の人柄は全ての同僚たちから愛されたとか。
その溢れ出る才能は同業者達からも尊敬されていたことの証左なのでしょう。
まさにカルロス・クライバーは「天衣無縫」を地で行く人物。
また話が脱線しました(汗)
そんなキャンセル魔で「別にコンサートなんてがっつく必要ないし」なカルロス(笑)
アウディ社主催のコンサートで是非とも指揮台に立って欲しいという依頼が来ます。
(以下の会話の下りはエピソードをもとにした私の想像ですよ笑)
「いやー気が乗らんからやらんわ」
断ったカルロスにアウディの幹部から、「マエストロ、一度でいいのでお願いします。指揮して頂けたら我が社の最高級車A8をプレゼントします」との一言。
これにはセダン好きのカルロス。
「何?ホントか?う~ん、どうしようかなぁ・・・」
逡巡したカルロス。
「そういやお宅の会社の工場、見たことないね。見せてくれる?」
「勿論です!マエストロ!お安いご用です」
「それとさ、オプションなんだけど、これとそれと、あぁこれもだ、あとこっちも、あ、エアロもフルエアロね。あとタイヤは21インチにして。それと内装はフルオーダーね。てかオプション全部乗っけ盛りで」
この無茶振りにアウディ幹部はフルオプションにオーダー内装等など計算してみたらとんでもない金額に・・・
「マッ、マエストロ・・・この仕様だとちょっと金額が金額で(汗)、申し訳ありませんがご希望には添えません・・・」
「あっそ。まぁ、この程度の金額なら俺、買えるし。じゃあコンサートの件は無しね。」
(しめしめ、これで指揮しなくてよくなったわい笑)
しかしどうしても「幻の指揮者」カルロス・クライバーに自分の会社主催のコンサートを指揮して欲しいアウディ幹部。
「マッ、マエストロ・・・(震え声)・・・・・分かりました!マエストロのご希望のA8、ご用意致します!何卒、タクトを!!!!!」
「マッ、マジか・・・分かった。演奏会をやろう」
のような経緯がありアウディ主催のベルリン・フィル演奏会の指揮台に「幻の指揮者」「キャンセル魔」カルロス・クライバーが立ったのです(笑)
一説によると乗り気では無かったカルロスは無茶な要求をすればアウディは断ってくるだろうと思いこのような無茶振りをしたと言われています。
しかしまさかのアウディ、全面降伏(笑)
コンサートは大成功を収め、このコンサートを主催したアウディの株は大いに上がったとか(笑)
ただ後日新聞(確かシュピーゲル誌)で「カルロス・クライバーは高級車と引き換えに指揮台に立った」とネガティブな論調で書かれたそうです(^^;)
クラシックの分野のみならず「カーマニア」の音楽家は多いですね。
やはりとてつもない高みに登ると「車」も最高のものを欲するのかもしれません。
本日もダラダラと長文・乱文となってしまいました。
「クルマ」にまつわる話ということでお許し下さい。
また先日来、沢山の「イイね!」ありがとうございます。
他愛もない内容のブログですが、書く気力となっております(^^)
本日も最後まで拝読頂きありがとうございました。
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Posted at
2017/06/28 16:21:58
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