(誤って書いている途中でアップしてしまいましたので再送します)
昨日あたりからいよいよ夏本番といった暑さになってきましたね。
バーンスタインもエアコンのスイッチを遂に入れてしまいました。
一度入れてしまうともう我慢出来なくなってしまうので、今まで引き伸ばしてきたのですが・・・(笑)
さて、今日は車では無く「船」、それも「空母」の話。
中国の空母「遼寧」が香港で一般公開されたというニュースが出ていました。
↓空母「遼寧」

私、船も好きで、特にも若かりし日「防大→海上自衛官」を目指していたので、今でも艦艇の情報はたまに見ています。
さて、「中国初」の空母、遼寧とはいかなる船でしょう。
簡単に言うと、これ、ソ連が建造途中で崩壊してしまったため、建造をほっぽり出して雨ざらしになっていたのを中国が買ってきて完成させた物なんですね。
それも「改造して海上カジノにする」とソ連崩壊後のウクライナ政府を騙して購入したという曰く付き。
しかしこうやって写真で見ますとその威容が分かります。
特徴的なのは船首甲板部分が跳ね上がった形状。
通称「スキージャンプ」甲板と言います。
スキーのジャンプ競技のように艦載機がここを駆け上がって離陸するという形式です。
(ただし実際のスキーのジャンプ台は下に向かって傾斜しています)
中国は南沙諸島等謂わば「ジャイアン理論」で自国の領土を主張していますが、海洋進出を図る上で「空母」の存在は必要です。
ただ、この「遼寧」、戦力的には?マークが多いそうです。
ソ連の中古を自国でノウハウがほぼない状態から艤装して建造した空母ですから、果たして空母としての役割を果たせるのか?ということのようです。
「空母」といえば最大の保有国、アメリカのものを見てみましょう。
↓空母「ロナルド・レーガン」(Wikipediaより画像転載)

先日、日本海に展開しその威容をニュース等でご覧になられた方もいるかと思います。
(それにしても我が国のニュースで「ロナルド・レーガン」を「ドナルド・レーガン」と間違って読んでいる女子アナの多いこと・・・「ドナルド」は「You’re Fire」の今の大統領ですよね笑)
中国の「遼寧」から見ると船首部分がまっすぐです。
通称「全通型甲板」
これでは艦載機は飛べるのか?という疑問がでるかもしれませんが、アメリカの空母にはこの形状を実現している技術がありまして、それは「カタパルト」というものです。
簡単に言えば飛行機をフック等で引っ掛け、蒸気の力を利用したカタパルトで発艦可能速度まで引き上げて発艦させる仕組みです。
車で言えば無理やりな例えですが「ニトロ」を使った強制加速みたいな物と言えばわかりやすいでしょうか。
このカタパルト発進が可能だと風向などの外乱要因をほぼ考えること無く、即時発艦が可能となるという大きなアドバンテージが生まれます。
また「ロナルド・レーガン」の画像を見て頂ければ分かる通り、まっすぐな線と斜めの線、二本あります。
すなわちカタパルトが有る側の線は離陸線として活用し、斜めの線は着陸線として使用することが可能となり、離発着が短時間で行えるという事も大きなアドバンテージです。
ですので、このカタパルトは機密事項が多い艦船技術の中でも相当高度な所に位置していると言われています。
現在は「蒸気」を利用したカタパルトが米国を始めとする旧西側の空母には採用されていますが、どうやらアメリカは「電磁カタパルト」を既に開発し、次に就役するであろう空母に搭載すると言われています。
(蒸気型から見ると小型化、爆発等リスクの低減、さらに発艦時間の短縮等のメリットがあるそうです)
一度、横須賀で「ロナルド・レーガン」を見たことがありますが、まるで「島」です(笑)
あれに5000人以上の乗員を乗せて動くのですから、いやはやなんとも・・・
また、アメリカの空母は現在「通常動力型」は無く全て「原子力動力型」となっています。
さて、では世界の他の国々はどういう空母を持っているのでしょうか?
イギリス。
↓「ヘリ空母・オーシャン」(Wikipediaより転載)
米国や中国のものから見ると小さく感じると思います。
これは「ヘリ空母」と呼ばれるもので「ヘリコプター」や「垂直離発着機」の運用に使用されます。
よって、通常離発着型艦載機を搭載しないため小ぶりです。
かつては「世界最大の海軍国」だった英国ですが、経済同様寂しい限りですね・・・
と思ったら、現在英国も本格空母を建造中でした。
↓「空母 クィーン・エリザベス」(Wikipediaより転載)
米国の空母から見ますと小ぶりですが、かつての「海軍王国」の面目躍如たる名前、「クイーン・エリザベス」と命名されたところが英国の本気度を感じますね。
こちらもヘリと垂直離発着機(F-35)の運用が予定されているそうです。
(因みに2番艦は「プリンス・オブ・ウェールズ」が予定されているとのこと。かつての英国海軍の戦列艦の名が復活します。一種の懐古趣味なのか、はたまた再び「強国」を目指すのか・・・)
「クイーン・エリザベス」というとキューナード社の豪華客船の方をイメージされる方も多いと思いますが、旅客船と軍艦に同名が付くのは80年ぶりとのことです。
お次はフランス。
↓「空母・シャルル・ド・ゴール」(Wikipediaより転載)
こちらはアメリカの空母と似たような形となっていて、蒸気カタパルトを装備した原子力空母です。
(原子力推進空母は今のところアメリカとフランスのみが保有しています)
かつてのフランスは西側の軍事面では「異端児」と言える存在で、戦闘機やミサイル等もアメリカからの技術供与を受けることもほとんど無く、自国で開発・生産していました。
この「シャルル・ド・ゴール」はかなりアメリカの技術を供与されたようですが、艦載機はフランスのダッソー社が開発した「シュペル・エタンダール」を搭載。
やはりこのあたりがフランス人気質でしょうか(笑)
(艦名に「ド・ゴール」と付けるあたりもアメリカへの微妙な心境が伺えますね)
意外な事に現在のロシアは空母を所有していません。
不凍港獲得という夢が雲散霧消した今、ロシアでは「空母」はもはや必要としないのかもしれません。
(まぁ、クリミアを手中に収めたあの「KGB出身」大統領の事ですから今後はどうなることやら・・・)
調べた所、ロシアも現在、一隻運用中でした。
↓ロシア連邦「アドミラル・クズネツォフ」
その他、各国の現役空母を写真で。(以下Wikipediaより転載)
↓タイ「チャクリ・ナルエベト」
↓ブラジル「サン・パウロ」

↓インド「ヴィクランド」

↓イタリア「カヴール」

現在、こうしてみると「空母」を運用している国は意外と少ないと言えます。
では最後に我が国「日本」はどうでしょう。
「空母」は攻撃型兵器であるので我が国では保有出来ないという学説もあれば、それを建造する膨大な費用を捻出出来ない(本式空母を一隻建造に一兆円は超えると言われます)という人もいれば、自衛隊には運用できないから建造しないという説もあります。
実際、我が国は「空母」は保有していません。
下の写真をご覧下さい。
↓日本 護衛艦 「いずも」(Wikipediaより転載

これはあくまでも「護衛艦」です(笑)
でもまぁ、ぶっちゃけ「ヘリ空母」ですね(^^;)
「いずも」はヘリを最大14機搭載可能とのことです。
この「いずも」については様々な憶測がありまして一番流布されているのが「すぐに空母化できる」「空母運用が簡単である」という話。
というのも、自衛隊は次期支援戦闘機となる機種に現在の「F-4ファントム」から「F-35」への代替することとなりましたが「F-35」には垂直離発着可能な「F-35B」型があり、この「B型」を「いずも」で運用すれば最早「空母」である。という話。
「F-35」は我が国の技術も相当入っている機体ですので、もしかすれば「いずも」型護衛艦での運用も念頭に入っているのかもしれません。
ただ、どうもその真偽の程が疑わしいのは仮に「いずも」で運用することとなれば、相当の改修工事が必要になるであろう事。
甲板素材もジェット噴射に耐えられるものに全部替えなければいけませんし、航空機を格納庫から甲板に出す「エレベーター」もヘリ用から航空機用に、また「一応」護衛艦ですから対敵戦用火器もありますが、それらの移動やら見直し、さらにリンクレーダー網の組み直し等、恐らくもう一隻建造出来るくらいの費用がかかると思います。
↓「F-35 ライトニング」
まぁ、最近我が国のご近所さん達が色々とちょっかいをかけてくるので国防の重要性は増していますが。
話はちょいと脱線しますが我が国が革新的技術を造ると結構、失敗した歴史があります。
「原子力船むつ」「高速増殖炉もんじゅ」等。
仮にこれらが成功を収めていたら今はどうなっていたのでしょう。
福島であれだけの大事故を起こしてしまったわけですから、最早これらの技術が生活に出てくることはありえませんが、「新幹線」や「自動車」等、世界を席巻する技術を我が国は持ちながら、成功しえなかった事例があるというのはいかにも不思議です。
(陰謀論者ではありませんが、そういう見方をしても面白いと思います)
追記:「原子力船むつ」成功の暁には「原子力航空機」「原子力列車」の計画もあったと聞きます。アメリカ、ソ連では真剣に検討され、ソ連では「原子力航空機」が実際飛んだそうですが・・・恐ろしい(汗)
最後に。
「空母」にしても「戦闘機」にしても「戦車」にしても、「兵器」には「敵に勝つ」という合理性に裏打ちされた美しさやかっこよさがあり、それが多くの人を惹き付けるのだと思います。
しかし言い換えれば「単なる殺人の道具」であるのも事実。
ポーテューズの「人を一人殺せば人殺しであるが、数千人殺せば英雄である」
アイヒマンの「百人の死は悲劇だが百万人の死は統計だ」
の世界をもたらす物です。
これら空母やヘリ、戦闘機は災害時に大変役に立つものでもあります。
(トモダチ作戦でのロナルド・レーガンの活躍は記憶に新しいところです)
そういう方面でこれらが大活躍してくれることが私の願いです。
人類は「平和」をずっと希求してきても「戦」をやめない困った「生物」です。
しかし「その戦い」が多くの技術革新をもたらしたのも事実。
このアンチテーゼは解決することは無いのでしょうね・・・
私の好きな言葉に1つ。
「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」
(宮澤賢治:農民芸術概論綱要より)
青臭いですね(笑)
P.S
因みに上で紹介した「いずも」型護衛艦、
当初は「ながと」という艦名にする予定だったそうです。戦前の戦艦「長門」に由来する由緒ある艦名ですが、「諸外国の反応を鑑みて」ボツになったそうです。
そこまで気を使う必要、あるんですかねぇ。
「やまと」とか「むさし」とか「ずいかく」・・・
なんだか平仮名だと締まりませんね(^^;)
アメリカに倣って人名だったら文句出ないかもしれませんね。
護衛艦「なかそねやすひろ」とか潜水艦「すずきぜんこう」、輸送艦「ふくだたけお」
・・・・・・
締まらない(笑)
イージス艦「たなかかくえい」、これは強そうだ(^^)
本日もしょうもない内容のブログ、忍耐強くお読み頂き感謝致しますm(_ _)m
たまには写真入りブログという事で慣れないながらもやってみました。
見難いところもあるかと思いますがご了承の程を。
本格的に暑い日が来ておりますが、皆様ご自愛くださいませ。
また先日来、沢山の「イイね!」を頂き、ありがとうございます。
追記:面白い比較表があったので掲載します。
各国の空母・ヘリ空母の大きさがよくわかります。
左から3隻、CATOBARがカタパルト発出型。
その後の4隻、STOBARはスキージャンプ発出型。
残り9隻のSTOLが所謂ヘリ空母や強襲揚陸艦となります。
「STOL」の項、二番目にある「22DDH」が「いずも」で、右から二番目にある「ひゅうが」は「いずも」就役前まで海上自衛隊最大の艦艇だったものです。
「ひゅうが」も「一応」護衛艦です(^^)