今年ももう9月になっていましました。
あと4ヶ月で今年も終わりですね。
東日本と西日本の寒暖差はなんなのでしょう・・・
さて、最近どこのメーカーも「車種整理」が行われ昔のビッグネーム達が消えていっています。
最近ではやはり「マークⅡ」の後継である「マークX」が「カムリ」に統合され消滅するというあたりが話題となったでしょうか。
その昔、バブル全盛からその終焉のあたりにかけて我が国の自動車には「兄弟車」や「姉妹車」と言える存在が多くありました。
それに今日は少し思いを馳せてみました。
例えば「マークⅡ三兄弟」。
X80系では兄弟車の「チェイサー」「クレスタ」は勿論の事「マークⅡ」に至っては「4ドアHT」と「セダン」がありました。
X80系マークⅡ 4ドア・ハードトップ
X80系マークⅡ 4ドア・セダン
X80系 チェイサー
X80系 クレスタ
同じメカニズムを採用し内装まで共有、違うのはガワだけという今では信じられない車種展開ですよね。
勿論、これは「販社対策」の面がもっとも大きいファクターを占めていたからでしょう。
「マークⅡ」はトヨペット店、チェイサーは「オート店」、クレスタは「ビスタ店」と。
グレード展開も似たようなものでした。
マークⅡは「グランデ」、チェイサーは「アバンテ」、クレスタは「スーパールーセント」という具合に。
しかも最も売れ行きの良かったマークⅡには2種類のボディが用意されたいたというのも今にして思えば隔世の感があります。
「中庸」のマークⅡ、「スポーティ」なチェイサー、フォーマルな「クレスタ」という感じだったでしょうか。
ある意味、ボディデザインの違いで車を選ぶことが出来たのですから、ユーザーにとっては良い時代であったと言えるのかもしれません。
それにしてもよくもまぁ、4車種ものデザインを造り、それに伴う設備を造ったものだと今更ながら感心します。
この「3兄弟」は100系まで維持され、110系の登場時に「チェイサー」と「クレスタ」は廃止、その2車を統合した「「ヴェロッサ」が登場しましたが1代で消滅してしまいました。
そして120系で「マークⅡ」もブランド名を替え「マークX」となったのは記憶に新しいところです。
同時期、日産も「打倒マークⅡ三兄弟」を掲げ三種類の車を出していました。
「ローレル」「スカイライン」「セフィーロ」
ローレル(C33型)
スカイライン(R32 4ドアハードトップ)
スカイライン(R32 クーペ)
セフィーロ(A31)
こちらも「3兄弟」ではありましたが「マークⅡ3兄弟」から見るとエクステリアの感じや内装等がかなり区別されており「マークⅡ3兄弟」との違いを強調していました。
ローレルは「マークⅡ」とバッティングし、セフィーロはスポーティさとタグジュアリーさを同居させた車、スカイラインはスポーツ路線追求と言った感じでした。
特にスカイラインはこの「R32」で「GT-R」が復活したこともあり、注目を浴びましたが「GTS-t typeM」というRB20ターボ搭載FRモデルや「GTS-4」というこれまたRB20ターボ+アテーサという「GT-R」のダウンサイジングとも言えるグレード展開を行っていたのが印象的でした。
日産もこの三車種で別々の製造工程を持っていたわけですから今の状況からみればとても贅沢なラインナップと言えるでしょう。
(そういう意味では「スカイライン」がセダンとクーペを造り続けていることには敬意を表します)
ただ、「ローレル」「セフィーロ」の後継であろう「ティアナ」と「スカイライン」では車格が現在では違うと言えます。
その他にも「兄弟車」「姉妹車」と言える存在は結構ありました。
例えば「セドリック」と「グロリア」。
こちらも日産発祥の車とプリンス発祥の違いこそあれ、末期は完全なバッジエンジニアリング車でした。
Y34 セドリック
Y34 グロリア
正直、この二車は今見ても古臭さを感じない良いデザインだと思っています。
ただ、この二車種の違いと言われると「セドリックのテールランプは赤」「グロリアは透明」、「セドリックのオーナメントは縦」「グロリアは横」というところしか分かりません(汗)
内装等も同じだったと記憶しております。
ただY32、Y33では顕著だった「クランツーリスモ・シリーズ」と「ブロアム・シリーズ」ではエクステリアの違いが希薄になったかな?という気がしました。
意外なのは「セド/グロ」の「永遠のライバル」であってであろう「クラウン」。
クラウンは「セダン」と「4ドアHT」「ワゴン」を設定したことはありますが「兄弟車」となると思い浮かぶ存在がありません。
強いて言うなら「マジェスタ」と「アリスト」でしょうか。
14系マジェスタ
14系アリスト
エクステリアはマジェスタは「コンサバティブ」、アリストは「エモーショナル」といえますでしょうか。
アリストはイタル・デザインとのこともあり、当時のこのセグメントでは中々センセーショナルな車でした。
兄弟車と言ってもアリストには「2JZ-GTE」直6ツインターボが搭載され、マジェスタには「1UZ-FE」V8エンジンが搭載されるという差異もありましたし、インテリアも全く違うものでした。
精々、シャシ(14系ロイヤルはペリメタ-フレーム)がモノコックで共通、サスもエアサスとバネサスの違い等、結構違いがありました(後年、アリストにもV8エンジン搭載車がラインナップされましたが)
現行クラウンでは「アスリート」と「ロイヤル」が設定されていますが、骨格等は替わっているわけでは無くバンパー等エクステリアで差を付けている程度です(と言っても同車種で2シリーズを設定しているのは稀有とも言えます)
この時代、エントリークラスも豊富な車種が様々ありました。
代表的な所では「コロナ」と「カリーナ」、「カローラ」と「スプリンター」等など。
これら兄弟車の為にヘッドランプ形状やテールランプデザインまで替えていたというのですから、いやはやなんとも・・・
AE100系カローラ
AE100系スプリンター
T19系コロナ・セダン
T19系カリーナ
そしてコロナにはこんなモデルもありました。
T19系コロナ SF

「コロナ・カリーナ」の2車種、それにリフトバックの「SF」までラインナップされたいたのですから・・・
またT17系コロナにはこんな「限定車」も用意されていました。
T17系コロナ「スーパールーミー」
コロナの「ストレッチ・リムジン」(笑)
一体、何台売れたのか気になる所です(^^)
「コロナ」と言えば「ブルーバード」
この両巨頭の名前も消えて久しいですね。
ブルーバードには「セダン」と「4ドアHT」が設定されていた時期がありました。
U13系ブルーバード・セダンSSS
U13系ブルーバード ARX(4ドアHT)
「SSS」というグレード名も懐かしいところですが、ブルーバードもボディ形状違いを用意していたところが興味深いところです。
恐らく、トヨタの「カリーナED」や「コロナExiv」の成功を見てのことだったのかもしれません。
(ってカリーナ・コロナにも4HTがあった事を忘れていました汗こちらはセリカのコンポーネントを使用した現在の「クーペ・ルックセダン」の元祖と言ってもいいかもしれませんね)
カリーナED(2代目 T18系)
コロナExiv(初代 T18系)
トヨタと日産だけで「兄弟車」が一体何台あったのかもう訳が分かりませんね(^^;)
他社でも
例えば「ホンダ」では。
「アコード・インスパイア」と「ビガー」
ホンダ「アコード・インスパイア」(CB系)
ホンダ「ビガー」(CB系)
こちらもマークⅡや日産三兄弟への対抗から出た車でした。
トヨタや日産のそれらとは違った伸びやかなエクステリアで「5気筒エンジン」なんて凝ったところもあって商業的成功もしたモデルだったと記憶していますが、淘汰されてしまいましたね・・・
その他にも「アスコット」と「ラファーガ」
ホンダ「アスコット」(CE4系)
ホンダ「ラファーガ」(CE4系)

これも販社対策だったのでしょうね・・・
三菱
「ギャラン」と「エテルナ」
三菱「ギャラン」(E30系)
三菱「エテルナ」(E30系)
「エテルナ」というと「世良公則」さんが出てくる人は結構いらっしゃるのでは(笑)
そしてこんなのもありましたね。
三菱「ギャランAMG」(E30系)
三菱とAMGが手を組んでいたというのは良く学生時代のネタになっていましたが、今では考えられないですし、もうありえない組み合わせでしょうね(^^;)
マツダ。
マツダも一時期「兄弟車」が乱立していました。
マツダ「クロノス」(GE系)
マツダ「クレフ」(GE系)
マツダ(アンフィニ)「MS-8」(MB系)
マツダ(フォード)「テルスター」(GE系)
マツダ「MX-6」(GE系)
この時代、マツダはホンダ・三菱と熾烈な「国内第三位」争いを演じていた時期で車種ラインナップの多様性はトヨタや日産に負けないものがありました。
今見ると「MS-8」は「マークⅡシリーズ」や「日産三兄弟」には無いエクステリアデザインでいい車だと思うのですけどね・・・
しかし、残念ながらこれらの車種、商業的に成功とは言えずやがて「経営危機」を招くこととなってしまいます。
「MX-6」は当時、伸びやかなスタリングのクーペにV6搭載という魅力的な車でプレリュードを迷った思い出があります。
こうして「兄弟車」の歴史を振る帰るに意外とそれを出してこなかったのは「スバル」「スズキ」「ダイハツ」でしょうか。
逆にこれらのメーカーは企業規模から察するに「兄弟車」を乱発する必要がなかったのかもしれませんし、確固たる顧客を掴んでいたからなのかもしれません
また車種開発の乱発をシなかったことが結果的には「経営資源集中」になり、バブル崩壊後もそれほど痛手を負うことにならなかったのではないかと・・・
(といってもスバルは初代レガシィのあたりは結構、ヤバめでしたが・・・)
現在の車のラインナップを見るに「兄弟車」と言える車は本当に少なくなりました。
思いつく所だけでも(プラットフォーム共用やOEMは除いて)「アル/ヴェル」「ノア三兄弟」「WRX StiとS4」位しか思いつきません。
(トヨタ86とスバルBRZも血縁関係は相当濃厚ですがあくまでもOEMなので除外します)
あの「兄弟車」が乱立していたころ。
今にして思えば「ムダの極み」と言ってもいいラインナップなのですが「ボディ違い」で車を選べるという贅沢な環境であったとも言えるのかもしれません。
現在、どこのメーカーも車種集約に躍起となり資源集中を更に進めていくであろう今後はもうこのような事はないのでしょうね。
ボディや内装違いだけに開発費を投入するならメカニズムに投入するのが当然の事でしょうから・・・
あの「バブル狂想曲」の夢とそれを彩った「兄弟車達」。
「おもちゃ箱をひっくり返したような」多士済々の車達があった楽しさとを懐かしく思い出すと同時に各社にHPを見て「本当にラインナップ。少なくなったな・・・」と寂しさを憶えました。
消えて言った多くの「車名」達。
そしてこれから「消えていく」運命にあるかもしれない車達。
それでもその車に「乗った・欲しかった・あのメカニズムが凄かった」等など、良い車・悪い車という評価は様々あれど、人それぞれにその車の「車名」は「その車の思い出」とともにずっと残り続けるでしょう。
本日も最後までお付き合い頂きありがとうございました。
またいつも沢山の「イイね!」を頂き大変感謝しております。
季節の変わり目、皆様ご自愛くださいませ。