2017年06月20日
昨日は定例の通院日でした。
往復、大体60キロ程度なのですが、やはり体力が低下しているため疲れますね。
でも35に乗ることが出来るのでこれはこれで楽しみでもあります。
さて、私はナビのHDDのストックされた音源かUSBメモリに音源を突っ込んで車内で聴いておりますが、車内でもほぼクラシック音楽しか聴いておりません。
そこで今日は皆様に聴いて頂きたい曲を私の独断と偏見でちょっと書いてみたいと思います。
「クラシック音楽」というとベートヴェンやらバッハ、シューベルト、ブラームス等の作品が思い浮かぶ方が多いと思います。
それら「楽聖」と言われる作曲家達と言うと、音楽室に飾ってあった厳しい肖像画を思い出す方もいらっしゃるでしょうし「クラシックって眠くなりそうだよな~」「退屈そうだよな~」とお考えになる方もいらっしゃることでしょう。
ですので今日は趣向を変えて。
「日本人作曲家」による「クラシック作品」、尚且つ「聴いて面白い」と思う作品を数曲、紹介します。
まずは一曲目。
外山雄三作曲「管弦楽のためのラプソディ」
外山氏というと指揮者のイメージが濃い方もいらっしゃるかもしれません(指揮者としても一流です)が、作曲家としても多くの作品を残しています。
その中でも彼の出世作となった「管弦楽のためのラプソディ」。
この作品はNHK交響楽団が1960年代に世界一周演奏旅行を行う際にアンコール・ピースとして作曲されたもので演奏時間も大体7~9分程度と長すぎず、程よい長さです。
さて、その作品の中身なのですが「日本」を前面にだしたものとなっており「あんたがたどこさ」「ソーラン節」「炭坑節」といった日本人なら一度は聴いたことのある旋律が巧みにオーケストレーションされています。
また使う楽器にも「拍子木」や「お鈴」「チャンチキ」や「うちわ太鼓」など我が国の祭り等で使われている楽器が至る所で顔を出し、とても陽気で楽しい作品になっています。
この作品は今でこそ我が国の作曲家の作品の中では「古典」の部類になるのでしょうが、欧米で初めて演奏された時は万雷の拍手だったと言いますから欧米人にとってとても新鮮な作品だったことでしょう。
若き日の外山が精魂込めて創り出した名曲、ご一聴頂ければ。
二曲目。
伊福部昭作曲「シンフォニア・タプカーラ」
伊福部と言うと映画「ゴジラ」のあのテーマの作曲家として広く知られていますが、映画音楽のみならずオーケストラ作品も多くの名曲を残しています。
伊福部は当時の帝室林野局の官僚として北海道に赴任中にアイヌの民の祭礼音楽の旋律に惹かれ、それらをモチーフに作曲した作品を多く残しています。
氏の作品は「土俗的」かつ「勇壮」な旋律が多く「眠くなる」ということはあまり無いでしょう(笑)
また彼の座右の銘「優れた音楽は平易なもので優れた礼節は簡素なものである」から分かる通り、理屈をこねくり回したような(苦悩とか歓喜とか)では無く兎に角聴いていて飽きない音楽となっているのも魅力です。
分かりやすく言うならモーリス・ラヴェルの名曲「ボレロ」のように、シンプルだが耳に残る旋律が何度も形を変えながら現れると言えばいいでしょうか。
この曲はまた意外な所でも有名というか活躍しています。
「緊急地震速報」のあのチャイム音、余り聴きたくない音ではありますが今ではあの音が有るおかげで大地震へのとっさの対策を取ることが出来るようになりました。
あのチャイム音、この紹介した「シンフォニア・タプカーラ:第三楽章冒頭の和音部分をモチーフに造られています。
因みに緊急地震速報のチャイム音を開発したのは「伊福部達」東大名誉教授。
この「伊福部昭」の甥子さんにあたる方なんですね。
NHKから「地震警告音」の作成を依頼された伊福部教授は次のような課題を突きつけられたそうです。
「どのような雑踏の中でも耳に入る音であることを前提とし、いたずらに聴いた者の不安を煽ること無く、しかし切迫した事態が迫っていることを分からせる音」
難しすぎますね(笑)
そこで伊福部教授は伯父さんの作品であった「ゴジラ」のテーマをモチーフにしたものを最初は考えたそうですが、あまりにも有名すぎる作品ですから「切迫感」が足りず、またあの最初の和音が「不安をいたずらに煽る」と考えボツにしたそうです。
(ですから緊急地震速報のチャイム音はゴジラから作られたという話、あれはあながち間違いでは無く惜しいところをついている話です)
そこで今日紹介した「シンフォニア・タプカーラ」第三楽章冒頭をモチーフにあのチャイム音が出来たそうです。
この話を聞いて「シンフォニア・タプカーラ」聴いてみたくなった方も多いのでは?(笑)
全曲を通して聴くと30分位の作品となってますので、まずは第三楽章だけでも聴いてみてもいいかもしれません。
三曲目。
本日最後に紹介するのは。
芥川也寸志作曲 「交響三章」
言うまでも無く芥川也寸志はあの文豪、芥川龍之介の三男です。
(長男もこれまた俳優として有名だった芥川比呂志)
写真を見るとお父さんに似たシニカルさとダンディズムが共有したとてもカッコいい方です(笑)
芥川也寸志は上で紹介した伊福部昭の弟子にあたり作風もとても似ています。
また映画音楽でも、あの「八甲田山」の作曲家として知られ、マルチな才能であったことが分かります。
この「交響三章」も伊福部の作品に似たダイナミックかつ情感に溢れた旋律が魅力の作品です。
こちらも師・伊福部昭の言葉「優れた音楽は平易で~」を見事に著した作品であり、聴いていて飽きることのない作品であり、クラシックにありがちな「苦悩」を著した「重苦しさ」を感じない楽しく、かつ熱狂的な作品となっています。
ただ、芥川自身はやはり余りに偉大な父「芥川龍之介」の影から逃れることが出来なかったと生前語っていたそうです。
東京音楽学校(現在の東京芸大)に最下位で合格した際には学長に呼び出され「偉大な文豪を父に持ちながらこの成績はなんだ!恥と思え!」と叱責されたそうですし(それを聞かされ奮起するのですが)、「いつもあの「文豪」の三男として紹介され、いつまでも親父にお守りされているような気分だった」「親父が死んだ36歳を過ぎる頃は辛かった。未だに自分が確立されていない苛立ちからいつも「畜生!畜生!」と心の中で叫んでいた」etc・・・
余りに偉大な父を持ってしまったことへの苦悩、しかし彼はその父とは違った分野で大成しその名を残すことになりました。
(今日紹介した「交響三章」は暗さを感じさせない作品ですが、氏の作品には勿論その内生する「苦しみ」が現れているものもあります)
芥川という人物はその苦しみを打破するためなのかエキセントリックな行動をする方でもあったようです。
日光に疎開中だった師(と言ってもこの時はまだ正式な弟子ではない)、伊福部のもとを突撃訪問し自分の書いた曲を見せて批評を乞うたり(この時、伊福部に「作曲家は己自身の全てを音楽で語らねばだめだ」と言われ打ちのめされ、その自身が書いた楽譜を破って川に流したそうです)、進駐軍のラジオから聞こえるソ連の音楽に憧れを持ち、密入国同然にソ連を訪問、ハチャトゥリアンやショスタコーヴィチから指導を乞うたり・・・
しかし、これら行動も「偉大な父」の幻影から自らを解き放つため、即ち音楽の道で名を残すための行動だったのかもしれません。
さて、この「交響三章」は大体25分程度の作品です。
全部を聴くのがしんどいという方は是非「第三楽章」を聴いてみてください。
先程書いた「楽しさと熱狂」「平易で素晴らしい音楽」を聴くことが出来ます。
CDを買うのはちょっと・・・
という方、今は「YouTube」があります(笑)
こちらで大体の作品は聴くことが出来ますのでご一聴あれ(^^)
私はGT-Rの中でこの三人の紹介した作品を聴くと高揚した気分になりアクセルをつい踏んでしまいがちです(笑)
運転中のクラシック音楽は「眠くならない効果」もあるそうなので(ただし作品によると私は思いますが笑)運転の際、普段は聴かない曲をかけてみるのもいいかもしれませんね。
本日は「第一弾」と銘打ちましたが「第二弾」はいずれ(笑)
本日も長文となり失礼しました。
最後までお読み頂き、本当に感謝いたします。
また先日来、沢山の「イイね!」本当にありがとうございます。
Posted at 2017/06/20 15:35:47 | |
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