
私が小学生の頃、「サーキットの狼」の連載がスタートしました。
そしてすぐに大人気になり、友達の間で改造車ブームが起こりました。
漫画では最初暴走族たちと街道レースをする設定で、フロント&リアスポイラー、オーバーフェンダーを付け、ぶっといタイヤを履いたワークスタイプの国産車とロータス・ヨーロッパが登場し、どれも格好良く憧れの的となりました。
特に、サバンナRX3やセリカLB、S30Z等が人気でした。
そしてすぐに漫画だけではなく、実車の写真を撮るのが流行しました。
そのため、中古のカメラを買ってもらいました。超小型でフルオート、当時で言うところのバカちょんカメラでした。
しかも、フィルム1枚分を縦に2分割して通常の倍の枚数が撮れる倍数撮りというタイプ、オリンパスPEN EE-3という機種で、今でも大切に保管してあります。
普通にファインダーを覗くと縦アングルなので、横アングルにするにはカメラを90度傾けなければならないので、親指でシャッターを押していました。
そしてカメラを持って、近所の家や駐車場、整備工場等、車が有りそうな場所を自転車で回ったり、大通りを通りかかる車を待ち伏せして撮ったりしていました。
そう言えば、スポイラーの名称を知らなかったので、フロントは「出っ歯」リアは「羽」と仲間内では呼んでいました。
BMWも当時は「ベンべ―」とドイツ語調で呼んでましたね。
現在写真は殆どどこかに行ってしまったけど、特に印象のあった車は今でも覚えています。
通りかかったシルバーの930ターボや白いトヨタ2000GT、民家のガレージに駐めてあった黄緑の911やオレンジの914、
ディーラーの駐車場の紺色のストライプが入った白いトヨタ2000GT、
ガレージのシルバーのトヨタ2000GT、この車は家に居た人にお願いしたら快く見せてくれて、ガレージに入って何枚も写真を撮った記憶があります。
なんか2000GTばっかりだけど、それだけ印象が強かったと言う事でしょう。
どれも見つけた日は興奮して、眠れない程でした。
あとは駐車場に駐めてあった、レーシングジャケットと3分割リアスポイラーがかっこよかった、バンパー同色の黄色いだるまセリカ、
極めつけは、整備工場の外壁を登って覗いて見つけた、紺色のロータス・ヨーロッパスペシャル。
工場の人に頼んだら、シートに座らせてくれた。その時一生忘れないと思ったので、今でも鮮明に覚えています。
そのうちすぐに、サーキットの狼では国産車よりも外国車の登場が多くなり、自然とスーパーカーに興味も移っていった。
単行本の第2巻が発売された時、表紙に本物のロータス・ヨーロッパの写真が載っていたのには驚いた。
しかも漫画と同じ白いボディーに赤いストライプ、シルバーのウィングにナンバーも同じ「練馬56 そ・740」だった。
でもよく見ると、赤いストライプは後から印刷で入れた感じで少し残念だった。
さすがにフェラーリやランボルギーニは近所にも無いし、走ってもいない。
世田谷にシーサイドモータースというスーパーカー専門のショップが有るのを知り、
友達数人で、未だ開通していなかった環八を自転車でひたすら走って行ってみた。
そしたらなんと本物のミウラが有ってとても興奮した。フェラーリや他の車がも有った気がするが、ミウラしか覚えていない。
丁度車の出し入れをしていて、ミウラのエンジン音も聞けてラッキーだった。わざわざ来た甲斐があった。
それから、ブームのピーク時に開催されたサンスター主催のスーパーカーフェスティバル的な後楽園球場のイベントも当然行きました。
12チャンでやっていた「対決スーパーカークイズ」にも出たかったけど、はがきにイラストを書いたのが紹介されて、
フェラーリエンブレムの付いた「ナジコの本立て」と、東京12チャンネルのボールペンが送られてきた。
サーキットの狼と言えば池沢さとし先生である。(現在は池沢早人師)
当時のCMで「ぶっちぎりだぜF1ガム」という激しくナマッたセリフが印象深いが、男の子たちのカリスマだった。
ある日テレビで、池沢先生のお宅に訪問的な番組をやっていた。
当然テレビにかじりついて観ていたのだが、当時は「プライバシーって何?」って感じで、表札の住所がバッチリ映っていた。
ちなみに、全く同じ状況で、所ジョージさんの所沢の実家の住所も知っている。所沢市北秋津7○2。
速攻でメモって、住所は確か保谷市だったと思うが、世田谷のシーサイドモータースよりは近そうなので、友達数人で行ってみることにした。
確か、地図も持ってなかったし勘を頼りに行った気がするが、今考えるとよく無事にたどり着けたもんだ。
それは、思ってたよりも小さい2階建てで、庭にカバーのかかったポルシエと紙パックの牛乳が有った。
ロータスじゃなかったので、少し残念だった。牛乳には直射日光が当たっていたので、腐ってないか心配だった。
見た感じ留守っぽかったので回りを探索してみると、ゴミ置き場に大量のファンレターが捨ててあるのを見つけた。
ちょっとショックだった。
宛先を見てみると、すぐ横のアパートの2階だった。当然行ってみたが、やっぱり留守だった。
ドアのポストから中を除くと、ぶっといレーシングタイヤをテーブルにしたヤツが見えた。
憧れの池沢さとし先生には会えなかったが、大人になってから知り合った地元が同じ人で、池沢さとしに会ったことが有るという人がいる。
それは、近所で信号待ちをしていた池沢さとしと遭遇し、回りにいた友達みんなで騒いだら、
リトラクタブルヘッドライトを開け閉めしてくれたとのこと。車種は忘れました。
今スーパーカー乗ってる人たちって、同世代の金持ちのおっさんが多いんだろうな。
あとはホストか芸能人。
私は買うのは無理だけど、死ぬまでに一度運転してみたいと思います。