今ではエアバッグがある為無くなっている構造かもしれませんが、’60年代後半からコラプシブル・ステアリングという衝撃吸収システムがありました。

これは4スポークステアリングのコラプシブル機構部です。
といっても難しい機構があるわけでもなくスティール製のメッシュ部が衝突時の衝撃で潰れ易くなっているだけです。
他メーカーもほぼ同じ構造で、ボス部に設置するかステアリングシャフト側に設置するかの違いだったと思います。
ポルシェの場合、当初からこの構造を’92年式まで採用しています。
しかし、このメッシュが上手く潰れてもボス外皮も同時に潰れてくれないと意味がありません。

ボス外皮径が3段階に違っていて、その繋ぎ部分に細かな穴が開いています。
要はこの繋ぎ部分は、一体にはなっているが簡単に破断出来るようになっているんですね。
破断してロッドアンテナを縮めるように短くなるんですね。
これを見た時、
「ポルシェさん!何やってるんだ!柔らかいウレタンで造り潰せば簡単じゃん!」と思ってました。
後に入手した4スポーク・ステアリングを見てニッコリしたものです。
しかし樹脂成型技術を知っている方ならこの形状が如何に難しい形状とお判りになると思います。(質感の良い深いシボ加工が全周にあります。)
CAD/CAMもなかった当時、良くこの成形金型を造ったものです。
いろんな案があったでしょうが、これを具現化したポルシェの技術力の高さ(外注メーカーでしょうが。)、意地を感じられます。

こちらが4スポークのボス外皮の表裏です。
軟質ウレタンの一体成型です、何と簡単で質感も良いんでしょう。これで十分ですよ、ポルシェさん。
今日はここまで、次は3スポークと4スポークの操作性について。
続く
Posted at 2020/07/29 22:12:31 | |
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