
折角の夏休みも緊急事態宣言と台風の接近により、絶賛引き篭もり中なので
『アルピ二ストへの道』 第二編を書いてみたいと思います。
#今回も長文で、アルピナ選びの備忘録のような内容なので、アルピナに興味がない人は読み飛ばしてください
第一編 『
価格設定の引き算・足し算 』 で、足し算の三つの要素
①S58エンジンに載せ替えトルク重視のチューンニングをする為に、吸排気、冷却、シャーシー、制動などを強化したり、
②アルピナの文法にそった内外装のドレスアップ、
③そして見た目には現れないアルピナの流儀にそった拘りのものづくりや品質管理など、まさにアンダーステートメントな価値
について言及しましたが、今回は③の
『 ものづくりの流儀 』 について書いてみたいと思います。
<ものづくりの流儀>
アルピナの製造は、BMW本社からボディなどを譲り受け、マイスターによる手作業で組み立てられるエンジンが、創業当時からのアルピナ・ワークショップの中核。精度に対する情熱と熟練の技術を持ったクラフトマンが徹底的に吟味し、合格とみなされたパーツだけが使用され、1台につき1人のマイスターが完成後のテスト走行まで行っているのも大きな特徴です。
これは生産台数よりは品質と完成度を優先し、BMWの1/200しかない生産台数のモノづくりのなせる技だと思います。
ブッフローエに行って自分の車体番号を伝えれば、自分の車を担当したマイスターに会えるそうです。ブッフローエに行ければの話ですけどね(笑)
#死ぬまでに一度は訪れてみたい
<エンブレムに込めた思い>
赤は限りない情熱の赤であり、青は知性と高い志を表している色で、ハンドメイドでひとつひとつを取り付け、生産拡大をせず確かな車を作り続けるアルピナの社訓や意志を込めたエンブレムのようです。
<エンジン組み立ての流儀>
アルピナ社ではマイスターがエンジン組み立ての最初から最後までひとりで行う。
『 ゼロ公差 』のモノづくり を目指し、ピストンの重量を合わせたり、燃焼室の容量をメスシリンダーで測りながら磨いたり、コツコツとパーツを選びながら組み立てていく。
今でもここまでやっているかどうかは分かりませんが、こう言ったものづくり哲学を引き継いだマイスターの手のよって仕上げられているからこそ、滑らかな回転フィールが生み出され、
『 アルピナは、刺激よりも味わい深さが優る 』 と評される由縁なんでしょう
<生産手順について>
ものづくりの流儀も、時代とともに少しずつ変わってきているようで、その生産手順はモデルにより2パターンが存在するようです。
ひとつは旧来どおりBMWから納入されたホワイトボディに、職人の手で組み立てられた高性能エンジンや専用セッティングの足まわりなど、独自の部品を自社の工場で組み付けるというもので、現在もB7はこの方法で生産されているようです。
もうひとつのパターンは、アルピナと云えども、さすがにゼロからブッフローエで組み立てているわけではなく、ベースはBMWの工場で製造されます。アルピナ専用パーツをBMWの工場に納入し、特別な生産ラインで組み立てると言う手法で、B3は後者の方法で生産されていると思います。
【 M GmbH社 特需生産ライン 】
ただ、通常の生産ラインではなくBMWのMモデルやインディビジュアル・モデルと同じ、M GmbH社の特需生産ラインでのみ実施されています。恐らくエンジン等はブッフローエで組み立てられ、BMWの特需ラインへ運ばれて、高出力に耐え得る高性能冷却システム、レース技術を応用した排気システムなど少量生産の特別なパーツが投入されることになる。
この時点で公道を走ることができる状態になっているので、BMW AGとしての製造責任を示す車台番号(VIN)を刻印して、ブッフローエのアルピナラインへと出荷されます。
【 ブッフローエ アルピナ工房 】
『 ALPINAマジック 』 とも称される定評の足回りはこのブッフローエで仕上げられます。
ブッフローエの工房では、レザーシートを一部ほどいて独自の装飾を施したり、ステアリングをラヴァリナレザーに張り替えたりといった作業も行われます。
このステアリングの張り替え、ステアリングの太さ・握った感触への拘りから職人の手によってBMWよりも硬く巻かれているようで、ステッチも手に干渉しないようにとあえて装飾的なクロスステッチを廃しているようです。
この作業は数名しかいない革職人の手を持ってしても一日がかりのようです。
ステアリングのステッチに加えメーターもコーポレートカラーであるブルーとグリーンの世界で統一されており、ステアリング越しの眺めは、心が落ち着きますね〜
ブッフローエにおける最終仕上げが、前後スポイラーやデコライン、エンブレムといったエクステリアパーツの装着です。
そして車両の完成時には、テストドライバーと担当したマイスターが同乗し、最終のチェックを行います。
アルピナのテスト項目には、
『 270km/hでの緊急レーンチェンジ 』 があるらしく、B3の高速域でのスタビリティはとてつもなく見事に仕上げられているようです。
このスタビリティがあれば、突然目の前にタイヤが現れても大丈夫🙆♂️ですね😎
そして最後にBMWの車台番号を消し、ALPINAとしての製造責任を示す新たな車台番号(VIN)を刻印し直して、全世界に出荷されていきます。
<ホイールデザインの流儀>
伝統の20本スポークデザインは、4穴と5穴のどちらにも対応でき、真円をキープするのに最も理想的なスポークの数が20本であると云う理論と哲学に基づき、20インチという驚きのホイールサイズを世界で初めて実現したホイールだそうです。
<車高の流儀>
アルピナで唯一不満があるとすれば車高かもし知れません(笑)
ただ、アルピナの車高はホイールアーチとタイヤの隙間が綺麗に見えるように車高が調整されているらしく、拘りのホイールデザインを活かす
『 隙間への拘り 』 も半端ない。
この写真をみていると、これからは『地球との距離への拘り』から『ホイールアーチとタイヤの隙間の美学』に進化しないといけないように感じる今日この頃です🙄
#ほんまに進化できるんやろか。。。(笑)
<足回り作込みの流儀>
BMWも含め一般的な量販モデルの場合、消費者の要望に応えつつ部品供給上のリスクにも備えるため、ホイールのサイズやデザインは数多く用意されており、タイヤの銘柄も3種類ほど設定されています。これらを組み合わせた多数の仕様で要求される性能を、限られた種類のサスペンションで実現しようとすると開発に多大な手間と費用を要するし、すべての仕様でベストなバランスを得ることは不可能です。
このためアルピナは、昔から標準装着タイヤをミシュラン製(最新モデルはピレリ製)に絞り、かつ車種ごとに1〜2種類のホイール・サイズだけを設定することで、コンプリート・カーらしい優れたバランスを実現しているようです。この考え方が、
『 スポーツ性能と乗り心地を両立したアルピナの脚 』 にも繋がっており、非常に理にかなっていると思います。
アルピナのモノづくりと品質への拘りはスペックには現れない味わい深さとして表現されているようで、まさに
『 アンダーステートメント 』 な世界ですね〜
私が服やいろんなグッズを選ぶ時、こまかな部分に結構拘る方で『そんな違い、誰にもわからんやん!』と相方からよく言われますが、アルピナはそういう私の嗜好にぴったりで、運転した人にしか味わえない奥深さによる運転と所有する歓びを味わえる車なのかもしれません(笑)
契約からちょうど4ヶ月が経過し、今月いよいよBMWでのホワイトボディが生産される予定になっています。このものづくりの流儀に沿ってしっかり作り上げてほしいものです。
ただ、半導体不足が騒がれている今日この頃、注文書どうり生産されるのかニコルに確認してみよっと!
では、では。。。。。