2011年03月30日
高嶋哲夫の著書です。
阪神淡路大震災や新潟中越地震、スマトラ地震などを
引き合いに出し、巨大地震が起きたときにどんなことが起きるのか、
どうすればよいのかなどが書かれています。
大震災が起こる前に読もうと思っていた本です・・・。
恐らく、”M8”や”津波”を書き上げる際に集めた取材資料を、
そのまま眠らせておくのは忍びないし、小説では全ての素材を
使い切れなかったので、別の本として出版したと思われます。
作家のオフィシャルHPでは、”震災啓蒙関連”と紹介されています。
地震のメカニズムなども触れているのですが、震災後の問題点や、
阪神淡路大震災で問題となった警察、消防、自衛隊の初動遅さのことや
官邸に上がってくる情報の遅さなども指摘されています。
当然、今回の大震災でおきた津波についても言及されていました。
宮城県沖での事も・・・。
宮城県沖・三陸沖の地震の発生確率は30年以内だと99%言われていたと
書かれていました・・・。
(出典不明ですが地震調査研究推進本部の発表だと思います。)
そう言われていたのに、この事態・・・。
明らかに政府の怠慢と言えることですね。
その象徴とも言えるのが、地震予知やら地震○○委員会などが乱立して、
多くの予算を使っているのにも関わらず、今回の地震・津波に関しては無策・・・。
恐らくこの地震○○委員会は”東海地震”のみにしか興味が無いということですね・・・。
存在する意味が無い・・・。
著者は、この手の地震に関する委員会や組織に加え、台風、火山噴火などの自然災害、
原子力などの災害に対応や広報を行い、基礎研究なども行える、
日本版FEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)を設立すべきだと提唱しています。
・・・”津波”、”ジェミニの方舟”などの小説の中では設立されていますが、やはり
利権の絡みで、○○委員会と横並び・・・。
合理的だし、良いとは思います。
その他には復興に関わる”お金”に関することもあげていますね。
復興関連では、仮設住宅問題です。今回の震災でも仮設住宅が不足している
事が問題になっていますが、もっと民間の損傷なく残った賃貸物件を活用するべき
と提唱しています。
また、土地は残っているが、建物が倒壊、損傷して住めない場合は、
個人所有の土地に仮設住宅は建築しても良いのではと提唱しています。
個人の土地に仮設住宅を建築するのは、”個人の資産を税金では補えない”からだそうです。
これには納得する部分は無くは無いのですが、仮設住宅は、使用しなくなると廃棄や海外に
廉価で売ったり貸したりしているそうです。
結局廃棄するならば、個人の土地に仮設住宅を建設するというのには賛成ですね。
(建築効率は悪くなるでしょうけど・・・。)
政府や行政や法律の不備だったりは今後の政治家に任せるしかないのですが、
(有権者としての権利を行使することは出来ますけど。)
自分たちが住む土地に起きた過去の出来事、”地震・津波・水害等”を調べること、
家の耐震強度を確認することなんかはすぐに出来ることだと思います。
過去の出来事を調べることで、災害時にどんなことが起きるか想定できますし、
耐震強度が弱ければ補強することも可能です。
また、避難場所へのルートの確認も重要です。
細い路地などは、家屋の倒壊、壁の崩落などで通行できない場合もあるので、
複数のルートを確保しておいたり、ここは危険かもなんてことも事前に確認しておけるので。
・・・これらも著書からの意訳引用ですが・・・
長々書いてきましたが、この本は一度読んでおく価値ありだと思います。
ちなみに、南関東地震は2036年までに70%の確立で発生するそうですし、
東海地震80%東南海地震60%南海地震50%の確立です。
この数字高いと思いますか?、それとも低いと思いますか?
Posted at 2011/03/31 16:08:34 | |
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読書 | 日記
2011年03月25日
高嶋哲夫の小説です。
今回のお題は、”いじめ”。
重いテーマです。
主人公は、アメリカ生まれ、アメリカ育ちの日本人の少年
”帰国子女”って奴です。
違和感を覚えつつ日本の中学校に通ううちに、事件がおきてしまいます。
その事件は、防ぐことが出来たかもしれない事件。
日本の社会が持っている問題点や教育システムの問題点なども、
出てきています。
”いじめ”と”悪ふざけ”の境界線があいまいになってきていて、
大人には区別が付かない・・・。
けど、実際には、区別が付かないのではなく、区別したくないのでは、
と思ってしまいますね。
ようは、教師の責任逃れ。
親もしかりです。
いじめられている親子は、真剣に”いじめ”どと訴えても
いじめている親子からすれば、ただの”悪ふざけ”。
教師も、”いじめ”と認めてしまうと、監督不行き届きとか、
責任問題になるので、認めようとしない。
仮に、いじめられている子が怪我をして訴えても、悪ふざけで出来た傷。
逆に、いじめている子にやり返して怪我したら、”警察沙汰”。
なんか変。
結局、子供のストレスのはけ口が、”いじめ”として出てしまう。
そのストレスの原因は”親”からのプレッシャー・・・。
私の子供の頃にも、”喧嘩”や”意地悪”はありました。
意地悪はやられた記憶もあります。
しかし、クラス全体での無視なんてなかったし、教師まで一緒になって、
いじめを助長するようなことなんて無かった。
・・・大抵あとから意地悪した奴がこっそり謝りに来たし・・・。
喧嘩はしょっちゅうでした。
”ヤンキー”世代なもので・・・。
”ヤンキー”ではなかったでしたけど。
これから集団生活を始める子を持つ親として、心痛める問題です。
大事なのは、大人が自分の子供も他人の子供も悪いことは悪いと怒り、
注意できるようになること。
それが遊びであっても。
あとは、最近の行き過ぎたお笑い番組が、あくまでも”芝居”であって、
本気でふざけあっている訳ではないこともしっかりと説明してから、
見せるべきだなと思いますね。
(体を張って笑いをとる姿を非難する気は無いですが、子供に与える影響も
考えて欲しいですね。)
などと考えさせられてしまう作品です。
Posted at 2011/03/28 10:49:42 | |
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読書 | 日記
2011年03月22日
高嶋哲夫の小説です。
日本史で習った元寇を大胆な仮定で描いています。
あらすじを書いてしまうとネタばれになるので控えますが、
仮説は2回目の元の侵攻を描いています。所謂、”弘安の役”です。
最初から鎌倉時代ではなく、現代の考古学者があるものを発見したところから、
始まります。
つまり、物語が全てこの考古学者の考察と言えるわけですね。
正直、元寇っていっても、中学だか高校時代にちょっと勉強したくらいで、
時代背景とか、前後の時代に何が起きたのかなんてのも全く覚えていない・・・。
日本史、世界史なんて暗記物ってくらいにしかおもってなかった・・・。
こうして時代物を読むともう少ししっかり勉強しとけばよかったと思ってしまいます・・・。
今も勉強したいこと、取ってみたい資格はあるものの、腰が重すぎて上がりません・・・。
う~ん、始めてみようかな、勉強。
今回の小説は、内容的には面白かったと思うのですが、歴史に疎い私には、
荷が重過ぎました。
ただ、元寇に関しての資料は意外と少ないようなので、こういった大胆な仮説が
あっても面白いのでは。
歴史好きの方、読んでみては如何ですか?
Posted at 2011/03/23 17:17:46 | |
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読書 | 日記
2011年03月10日
高嶋哲夫の小説です。
高嶋哲夫の災害小説シリーズの第3弾です。
今回は地震ではなく台風。
主人公は気象学者。
第1作と同様にコンピュータシミュレーションを駆使して、
台風の規模や進路を予測する研究をおこなっています。
しかも、幼少時代から荒川の近くに住み、荒川が氾濫した記録や
現在もし氾濫した場合の状況などを研究しています。
時系列的には、第1作と第2作の間の話になります。
第1作の登場人物ももちろん登場してきます。
主人公は第1作の主人公の部下と言う立場・・・。
日本の南海上で発達した低気圧は、進路がなかなか定まらない中、
徐々に日本に接近してくる・・・。
シミューレーションでも日本に上陸しそうな気配を見せるが、
使用できるスーパーコンピュータの使用制限で、ハッキリした結果が
導き出せない・・・。
再演算して進めてみると、実際の観測データと一致し、
気象庁の予報とも一致したが、シミュレーション結果は
また途中で止まってしまう。
しかし、そこには気象庁の予測とは違う異変が見え始めていた・・・。
不正行為と知りつつ無断で地球シミュレータを使用して導き出した結果は、
信じられないものだった・・・。
まだ認知度が低いスーパー堤防を登場させたり、ゲリラ豪雨の影響も
考察してあったりと、非常に勉強になる小説です。
我が家は河岸段丘を南北に挟まれたほぼ頂点にあり、海抜も高いので、
水災害には強いのですが、台風には豪雨以外にも風という凶器があるので
気をつけなければと思わされました。
地震と同様、台風も、日本に住み続ける限り避けられない自然の猛威。
地震と同様日頃から備えておく必要がありますね。
Posted at 2011/03/15 13:12:04 | |
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読書 | 日記
2011年03月09日
高嶋哲夫の小説です。
M8の続編に当たります。
M8は阪神・淡路大震災から10年後が舞台。
津波はM8から6年後が舞台になります。
つまり、2011年、今年って事ですね。
M8の登場人物も6年分の時間を経て、
それぞれの地位で登場してきます。
しかし、主人公は市役所に勤務する災害対策課員です。
元は、地球物理学を専攻していた大学院生で、
前作M8の主人公も一目置いていた人物です。
6年前に発生した、東京を襲った直下型地震以降、
東海・東南海・南海地震がいつ発生するか注目が集まっていた。
しかし、前回活躍した地震シミュレーションにはその兆候は現れていなかった・・・。
そんな中、東海地震の前兆とされるプレスリップが観測された。
しかし、発生しない地震。
緊張感が緩み始めたころM7級の地震が発生し、東海地震であると、
発表されたが、それは恐怖の序章でしかなかった・・・。
M8といい津波といい、地震の恐怖や津波の恐怖が描かれていて、
きちんと地震に対する備えをしなければと、思わされました。
この作品は津波が何であるか、どういうことが起こるかが描かれていて、
私自身が、誤解していたことを修正してくれました。
誤解していたこととは、”津波”と”高潮”は違うということ。
私は、言葉が違うだけで似たようなものだろうと思っていたのですが、
実は全くの別物。
高潮は台風や低気圧などの海面上における変化。
津波は地震などを原因とする海水の変化。
ということ。
わかりやすく言うと、高潮は風で水面を波立たせている状態で、現象的は水面の一部が動いている感じですね。
一方津波は、水の底を持ち上げて水全体を動かす状態なので、水面が盛り上がる感じです。
なので、高潮よりも津波のほうが、エネルギーが大きいので被害が大きくなるらしいです。
しかし、沿海にいる船舶にとっては、津波より高潮のほうが被害が大きいらしいです。
もう一つこの小説で知ったことは、”長周期地震動”。
この”長周期地震動”は、地震の揺れの周期が2秒から20秒の間隔で発生し、
低層よりも高層階に大きな影響をあたえる地震動らしいのです。
地震の規模にもよりますが高層ビルの高い階などでは、ゆれ幅が10mにもなるという
検証結果があり、しかも耐震・免震構造の建物だとしても、”長周期地震動”に対して、
脆弱な可能性があるという意見もあるらしいのです。
高層ビルは、地震などの揺れに対して、建物を揺らして、揺れのエネルギーを逃がす
構造をとっているのですが、”長周期地震動”の場合、建物の揺れと、地震の揺れが、
”共振”してしまい、許容範囲以上の揺れになり、ビルが倒壊するということだそうです。
う~ん怖い・・・。
地震や台風などは自然現象のメカニズムがわかっても、決して、とめることが出来ないく
必ず起こるもの。
くどいようですが、日頃の備え、心構えが重要ですね。
Posted at 2011/03/10 10:33:44 | |
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読書 | 日記