
今回のブログは、
学生時代に「カーデザイナー」になることを憧れていた
40後半の車好きおさーんの視点で
歴代所有してきた車の中から
素人の私なりのデザイン考察を記してみたいと思う。
(考察というよりもエピソード紹介的な内容だが・・・)
今回はゴルフ6をデザインした
ワルター・デ・シルヴァ氏を取り上げ
その開発エピソードから、
彼がこだわったポイントについて記したいと思う。
ゴルフ6は
前任者によって大方のデザインが完成していたにもかかわらず、
VWグループのデザイン長に就任した彼の指示のもと、
1年足らずの短期間で「全てのデザインを見直しさせた」という強烈なエピソードがある。
しかも、それはゴルフ5のプラットフォームと基本的なボディラインは踏襲するという制限が課せられた中でのデザイン変更であった。
その際「フロントマスクがもっとも大きな変更点。」と
当時のインタビューで彼自身がコメントを残している。
彼によってリデザインされて登場したゴルフ6は
ゴルフ1をモチーフにした水平基調のフロントマスクが採用されており、
この事実関係から、
ゴルフ6の廃案は「水平基調ではないグリル」だった可能性が伺える。
ゴルフ6のわずか後に登場した先代ポロも同様のデザインが採用されており、
「フォルクスワーゲンブランドに同じアイコン(水平基調の顔)を持たせる」
という彼の強いこだわりを伺い知ることが出来る。
ゴルフ6とポロの登場に続いて登場した
「先代パサート」「マイナーチェンジした先代ティグアン」「up!」
そして最近の「アルテオン」「T-cross」などの車種も
このデ・シルヴァが考案した水平基調デザインが踏襲されている。
この「フロントマスクでブランド表現を構築する」というこだわりの片鱗は、
日本でも人気のあった下の写真の車からも伺える。
フォルクスワーゲングループにヘッドハンティングされる以前。
彼がデザインを担当し、一躍その名が世に知れ渡ることになった
アルファロメオ156である。
一目でアルファであることを認識できる特徴的なフロントグリル。
それらがアルファロメオの全ての車種に用られてきた歴史的背景を学ぶことによって、フロントデザインがもたらすブランドイメージの重要性を認識したのではないか?と推察する。
当時「ブランドが一目でわかる顔のメーカー」と言えば、アルファロメオ以外で
メルセデスやBMWなどを挙げることが出来るが、
彼は以降関わる全てのブランドで、
「ブランドの顔を持たせたデザイン」を反映させていくことになる。
その後フォルクスワーゲングループに移籍した彼は、
AUDIのデザイン長に就任するのだが、
その時期、所属デザイナーであった和田智氏が考案したシングルフレームグリルを
デ・シルヴァが採用したと言われている。
(AUDIの顔を考えたのが日本人っていうのも誇らしい。だから私は彼らが手掛けていた時期のAUDIが好きで1台所有したこともある。)
フロントマスクが統一されて以降のAUDIは世界的人気を博し
特に中国では見た目のインパクトが強いAUDIが好まれ
メルセデスやBMWよりも売り上げを伸ばした。
(それに触発された両メーカーもAUDIに負けじと、どんどんグリルを大きくしたのは詳しく言うまでもない・・・。)
現在の主要な自動車メーカーは公言こそしないが、
AUDIで具現化されたデ・シルヴァの考えに触発され、
国内ではレクサス、ホンダ、マツダやその他。
海外ではシトロエン、プジョー、ルノーなど、
複数の企業で同種の手法を用いられるようになったと
時系列的な観点から勝手な解釈をしている。
それくらい今となってはあらゆるメーカーが
「ブランド表現された顔」を持っており、
フォルクスワーゲン=水平基調のフロントフェイス
(AUDI=シングルフレームグリル)という
デザインアイコンが確立しているわけである。
私はフォルクスワーゲングループの車を都合5台所有してきたのだが、
今回ゴルフ7.5マイスターを駆け込み購入したのは
ゴルフ6と7をデザインして引退した「デ・シルヴァ最後のゴルフ」という理由が大いに影響している。
近い将来、もう二度と新車で手に入れることはできない彼のデザインを長く楽しみたいのである。
思いのほか長いブログとなってしまったが、
最後にデ・シルヴァ以降のVWデザイナーの動きを紹介しておきたい。
VWグループデザイン長であった
ワルター・デ・シルヴァは15年に定年退職し、
現在はポルシェのデザイン長だったマイケル・マウワー氏が昇進し、
VWグループのデザイン長のポストに就いている。
更に、2020年4月にVWデザイン長だったクラウス・ビショフ氏が
VWグループデザイン長に昇進しマウワー氏はポルシェに戻る予定だ。
ビショフの昇進で空いたVWデザイン長のポストは
ブガッティヴェイロンをデザインしたジョセフ・カバン氏が就任する予定だ。
要は2020年は「VWグループ」と「VW」の双方のデザイン長を
同時に入れ替えるという大幅な異動がなされるわけである。
デザイナーのトップを総入れ替えするという動きから鑑みると、
「今後、EVという新しい時代の流れの中で、新たなデザインを世に示すのだ!」
という強い意志が働いていることは想像に難くない。
実際「アルテオン」以降「新型POLO」や「T-cross」を見るとデザインは明らかに変化し、
デ・シルヴァが好まなかったとされるキャラクターラインが
あからかに増えているのが違いとなって表れている。
そこには明らかにデ・シルヴァが不在になって以降の
マウワーとビショフの手による明確な違いが打ち出されており、
今後はそこにカバンの手が加わるというわけである。
新しいデザイナーが示す近未来のVWラインナップは
果たして私の好みとなるであろうか・・・?
最後のデ・シルヴァのゴルフ・・・
そのゴルフを洗車するたびに、今回紹介したエピソードを思い起こし
水平基調グリルを無駄に入念にふき取りニヤついてしまうのである・・・。
以上、気持ち悪いおさーんの戯言でした。
注)あくまで素人の私の暴走デザイン考察なのでご容赦ください。
他愛もない戯言ですが、別の機会に他の車を取り上げれたらと考えています。
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Posted at
2020/02/29 01:52:46