ちょうど一ヶ月ほど前のことになりますが、
ひろ@横浜さんのご尽力により豊橋にあるフォルクスワーゲン・グループ・ジャパン本社を見学することができました。
うちは家族でアウディA4での小旅行の途中だったため、Mr.フェートンさんのパサートCCに同乗させて頂いて構内への入場です。目の前に見えているのが本社ビル。

本社ビルを別の角度から。アウディの四つ輪もちゃんと掛かっています。

お客様バッジを手にしてご機嫌なこの人。ポーズはやらせではありません…一応。

まずはキャンティーン(食堂)にて、VGJの加藤さんがこの施設の機能概要を説明して下さいました。
VWグループ7社(VW/Skoda/Bentley/Audi/Seat/Lamborghini/Bugatti)の内で日本へ正規導入しているVW/Bentley/Audi/Lanborghiniの4社に加えて委託という形でPorscheの納車前整備をしています。ちなみにBugattiについてはNicoleの扱いとのこと。VGJは1992.5.1に豊橋に移転し従業員数は303名('09.4現在)
現在のラインナップの生産拠点は概ね以下の通り。
エムデン工場(ドイツ):パサート・バリアント
モーゼル工場(ドイツ):パサート・セダン
ウォルフスブルグ工場(ドイツ):ゴルフ6(ゴルフ5の南アフリカから戻った)
スロバキア:トゥアレグ、トゥーラン
ポルトガル:EOS
南アフリカ:ポロ
メキシコ:ビートル
最初に案内されたのは自動車専用船で運ばれて来た車を陸揚げする専用埠頭です。あいにく船は着岸していませんでしたがかなりの台数が埠頭に停まっていました。

ドイツのエムデン港/南アフリカ/メキシコの三拠点から月に数回船が入港し、一隻に最大で約千台積載されているものを一日掛かりで下ろします。他の工場の敷地をまたいで設けられた通路に登るスロープでの一枚なので写真が斜めっています(これ本当)。

次に案内していただいたのはCPD: Central Parts Cnter
約1.8万平米の施設で約6万7千アイテムをストックしており98%の即納率を誇る。ちなみに即納率がもし95%で良ければ1万アイテムで済むとのこと。この辺りが国産メーカーに劣らないパーツ供給体制を目指す意地というとこでしょうか。ユーザー側も少し高めのパーツ価格はある程度は我慢しなくちゃいけないかもと思う瞬間でした。
部品はこの豊橋の自社埠頭に付くのではなく、全ヨーロッパで生産された部品がハノーバーから名古屋港へコンテナでやって来てそこからトラックで運ばれて来ます。
R8のバックに写っているのがCPDの建物で、背の高いのが立体自動倉庫です。

お次のVPC: Vehicle Preparation Centerへ徒歩での移動途中に野太い音を響かせるこの一台とすれ違い。後ほど再度ご対面できました。

通常の整備は屋内で行われるはずなので、追加の確認作業等を施していると思われるA3達。

こんなP様もちょうどデリバリー開始の直前時期だからでしょうかゴロゴロといらっしゃいました。でもボディーの保護の仕方がVW/Audiの方がずっと手厚いような…

さてここからがメインとも言えるVPC内部の見学です。原則撮影禁止なのですが、リクエスト毎に個別にOKをもらえた場所の写真があります。
ボディーについては最近はフルカーバーされてやって来るので簡易チェックのみで抜き取りでフルチェック。そして以前はホットワックスを洗い落としていたけれど、カバーがされるようになり水洗いもしなくなった。
ほぼ間違いなくオーダー色と思われるグリーンのベントレーです。

外でもすれ違った
ムルシエラゴ LP670-4 スーパーヴェローチェです。あまりスーパーカー趣味は無いのですが、これの迫力というか存在感には正直圧倒されてしまいました。

さて数ヶ月掛けて運ばれて来た車に積まれているバッテリーを以前は交換することが多かったが、最近は輸送中の暗電流を減らすトランスポートモードのお陰で補充電で基本的に済むようになりました。ただ世代が古いビートル等は基本的にバッテリーを交換しているそうです。
あと車両検査で最近まではローラーの上での走行試験をしていたけれど、NGになるものがほとんど無くなり今ではやっていませんでした。
もう一つここで行われているのが型式指定完成検査。道路運送車両法に基づいた検査が行われてナンバーを取得できる状態であることの確認を国の代行として行っています。
さて整備を終えた車はカーサイロと呼ばれる立体の車専用倉庫に保管されます。その内部を今回は見せていただけけて凄さに驚いたのですが、他に例えるものが見付からず私の筆力ではその様子を伝えることで来ませんゴメンナサイ。薄暗くて写真も撮れなかったけれど外壁にはVWとAudiのマークがこの通り。

'92の開設当時からの5,200台を保管できるのカーサイロに加えて、1,300台収容可能な大型車用の第二カーサイロが完成し、以前のように皮肉にもボディが大きな高級車が野ざらしで保管されるということは無くなったそうです。
撮影禁止ではない屋外で写した一枚とはいえ掲載をためらっていたこの一枚ですが、レポート書きが遅れたお陰で?
新型ポロが既に先日発表されましたので大手を振って貼りますが見事にブレてますね(汗;。

最後に案内していただけたのがこちらのサービストレーニングセンター、早く言うと全国ディーラーのメカニックさん用研修所。

三つのベーシック科目をマスターしてから初めてVWのクルマを触ることができます。
専科は五つ
・エンジン
・足回り
・電気
・トランスミッション
・エアコン(これが独立しているのが現在のクルマの特徴)
カリキュラムは火曜日スタートの金曜日終了で、何度も通って全ての科目に合格するとマイスターの称号を獲得することができます。
ちなみに教官の方々もトレイナーズトレーニングをドイツ本国へ受けに行くことがあるそうです。
充実の見学を終えて駐車場へ向けて歩いている時に見掛けたT5マルチバン。もちろん本来は正規輸入はありませんが、社内業務用に導入したものだそうです。

待ち合わせ&解散場所となった、VGJ関係者ご用達のホテルニッコー豊橋にて。ヨーカドーさんにもアウディを半日停めておいたのでお世話になりました。

VW/Audiそれぞれの本社工場を訪れたこともあり、そこで造られた車を日本側で受け入れる拠点を見学できたことは良い体験になりました。輸入車である以上は運搬や受け入れコストの上乗せが必須になってしまう訳ですが、それに見合う価値を車が本来持っているクオリティを引き出すことで提供しようとされている努力を垣間見ることができました。
見学のための専用のルートが無いにも受け入れて下さったVGJ関係者をはじめ今回のVGJ見学イベントの企画をして下さったひろ@横浜さんや帰りにニッコーまで送っていただいたきみちさんほか、お世話になった皆様に深く感謝致します。