今回の試乗車は、4シリーズのみFRです。排気量は3車とも2リッターで、カタログスペックを見ると、4シリーズが184psで27.5kgm、A5が252psで37.7kgm、アルテオンが280psで35.7kgmと、数値上では4シリーズが若干見劣りします。
試乗はいずれも隣に営業さんを乗せてのディーラー指定コースでのもの。従って、街乗りのみで高速域での試乗はしていません。
まず4シリーズグランクーペ 。

私の前愛車であるF30のドライブフィールは、正直あまり良いものではありませんでした。8速ATとのマッチングも、雑誌等では絶賛されていましたが、個人的にはシフトアップのタイミングが早過ぎて、極端に言えば、常にMTでいうところの「ノッキング」気味に感じ、加速感も今ひとつでした。スポーツモードにすればその悩みは解消されますが、その代償として極端に燃費が落ちました。
中でも我慢出来なかったのがアイドリング音。「カラカラ」という音で、ディーゼル⁉️と間違うような音です。シルキー6と称された頃の面影は微塵も感じられません。私がF30を2年弱で手放してしまった理由の一つに、この音がありました。
そんな訳で、かなりネガな先入観を持って臨んだ試乗、エンジンが前期型から変わったとは聞いていましたが、スペック的には同じだし、さして期待はしていませんでした。
が、しかし‼️
公道に出てアクセルを踏み込んだ瞬間「なんじゃこりゃ⁉️」スムーズに吹け上がるエンジン。「たった」184psとは思えない力強い加速感。どれを取っても前期型とはまるで比較になりません。やっぱり欧州車は後期型が熟成されて味が出るのでしょうか?とにかく素晴らしい乗り味でした。
アイドリング音も完全にとは行かないまでも、大分改善されている印象。やっぱりさすがは走りのBMW、前期型で不満を感じていた点をキッチリ修正していました。
試乗車はオプションの19インチホイールを履いていましたが、乗り心地もしなやかです。いやぁ、これはイイなぁ。複雑な気持ちだけど…
すっかり4シリーズの走りに魅せられた後、アルテオンに試乗。

3車の中で、アルテオンのみエンジン横置きです。
走りの方は、まさにGTIの正常進化版という感じです。7速DSGの躾けも良く、ギクシャクした所はありません。全体的に良く出来ており、全く不満はありませんが、先程4シリーズの走りを体感してしまったせいか、普段GTIに乗っているからなのか、感動するほどの乗り味ではありません。車内の静粛性も4シリーズの方が上です。これは20インチという超大径ホイールだけに致し方ないところでしょう。
ただ、乗り心地は20インチを履いているとは思えないほど良いです。段差の突き上げも殆どありません。さらに、ダンパーを15段階に設定できる機能が付いており、硬めから柔らかめまで細かい設定が可能❗️しかし、実際にこれをチョコチョコいじる人はいるのかという疑問も多少湧きます。
そんな感じで、十分に満足できる走りのアルテオンでしたが、その前に乗った4シリーズがあまりに素晴らし過ぎました。
対するA5スポーツバック。

3車の中ではハンドリングが最も軽快です。吹け上がりもスムーズ、シフトアップポイントも私の好みにマッチしています。クワトロらしくズッシリと安定した走りは本当に素晴らしいもので、高速や悪路を走れば間違いなく「A5にして、良かった❗️」と思えるはずです。
ただ、街乗り中心の試乗コースで運転した際の高揚感は、4シリーズに敵いません。クワトロとFRの違いもあるかもしれませんが、改めて「BMWの『駆けぬける歓び』恐るべし❗️」と感じました。
車両感覚においては、前に進んでいる限りは3車とも大差ありません。狭い道ではそれなりに気を遣いますが、数値ほどは車体の大きさを感じません。
後退時は、3車ともバックモニターや各種警告は標準装備。このくらいの格のクルマになれば当たり前でしょうか。ただ、 4シリーズはそれほどでもありませんが、A5とアルテオンはかなりのデカさを感じます。バックミラーに映るリアフェンダーの張り出しとも関係あるのでしょうか。2車は後退時にかなり気を遣います。まぁ、これは仕方のないことですが。
安全装備は3車とも基本的なものは付いている感じです。個人的にあまり興味がないので細かくチェックしていません。
A5で困ったのは、スピードリミッターなどが作動するレバーが、ウィンカーレバーと紛らわしい位置にあること。ウィンカーを出そうとしてリミッターをオンにしてしまい、アタフタしてしまいました。これって逆に危険なのでは?
一方、サイドアシストがA5だけはオプション。それほど安全装備に興味がない私も、これは標準で付けて欲しかった機能です。
〜総 評〜
総評などというとエラそうに聞こえますが、単なる素人の感想です。
まず4シリーズグランクーペ 。わずか20分の試乗でもハッキリ感じるほど、前期型に比べて走りが格段に楽しくなっていました。
©️BMW Japan Corp.
ドライビングプレジャー、駆け抜ける歓び、ハンパないです。サイズも3車の中では最も小柄で取り回しもいいですね。
他の2車に比べてデビューが早いので、デザイン的な面での目新しさには欠けますが、その分熟成されており、流行に捉われずに長く乗りたい方には最もオススメ出来るモデルではないでしょうか。
一方、アルテオンは、存在感とユーティリティ、コストパフォーマンスが抜群です。
©️VGJ Co.,Ltd.
流麗なクーペスタイル、不気味さすら感じる迫力あるフロントマスク、20インチホイールや大きく張り出したリアフェンダーなど、このクラスとしては極限まで突き詰めたスポーティなデザインで、VWのフラッグシップモデルとしての「やる気」が感じられます。
また、車内やトランクの広さなど、ユーティリティも3車の中で1番です。
安全装備も含め、ほぼ全ての機能が標準で付きながら、3車の中では最もリーズナブルな価格設定。コストパフォーマンスも抜きん出ています。
欠点を挙げるとするならば、現時点ではオプションが殆ど選べないこと。オプションを少なくすることでコストを抑えているのかもしれませんが、もう少しバリエーションが欲しいところです。
とは言え、全体的なお得感はかなりあるので、ご家族で移動する機会が多く、なおかつカッコいいクルマに乗りたい方にオススメです。
最後に、A5スポーツバックは、全てにおいてバランスがとれている印象。
©️Audi Japan KK
スタイリッシュという言葉がしっくり来ます。冠婚葬祭、フォーマル、カジュアル問わず、どのシーンにも似合うさりげなさがあります。インテリアも落ち着いた雰囲気ながら洒落た感じがあります。走りについてもクワトロの安定感は素晴らしく、どんなシチュエーションでもこなしてくれそう。
それほど尖ったところはありませんが、飽きのこないクルマだと思います。改めてこのクルマを選んで良かったと思います。
欠点は、オプションを含めた価格(^^;;
という訳で、3車を短期間で試乗してみて感じたのは、この「4ドアクーペ」もしくは「5ドアファストバック」というスタイルのクルマたち、やっぱりカッコいい‼️というのが正直な感想です。しかも、カッコだけでなく、リアシートやトランクなどの実用性も申し分ありません。
ベースとなっているセダンよりも価格は若干高くなりますが、スタイルや希少性などを加味すれば、十分に元を取れると思います。スタイリングが気に入れば、どれを買っても後悔はないはず。
こういうクルマたちがもっと売れる世の中になってほしいと思うのは、バブル世代の郷愁でしょうか…