
CBR250RR(ニダボ)のマフラーを交換することにした。
いわゆる「チューンナップ」なんて言葉ももはや死語になってきた気もするけど、小排気量クラスのバイクにはまだ弄る楽しみも多少は残っている。そして、排気系のチューンナップは今でもその代表格じゃないかね。
なぜ人はマフラーを交換したくなるのか。大型機能性部品の交換全般に通じることだけど、チューンナップの快楽は主にふたつの楽しみからできていると思う。それらは似ているけど微妙に性質が異なっていて、地震のP波とS波のように、同じ源から発生しながらも違うタイミングでやってくる。
ひとつめの楽しみはもちろん、「自分好みの性能が得られること」だ。自分のバイクを自分の理想形に少しでも近づけたいから、人はパーツを交換する(それをチューニングと呼ぶ)。ここでいう「性能」とは、排気系においては主に「官能性能」のことで、具体的には「排気音」と「エンジンの回り方」を指す。見た目を変えたいとかパワーの絶対値を上げたいという人もいるだろうけど、いちばん大きな動機はやっぱり音とフィーリングの向上であることに異論はありますまい。
じゃあふたつめの楽しみとは一体何なのか。
それは、交換によって何かが「変化すること」そのものにある。交換した初日にガツンとやってきて、慣れるにしたがってじきにフェードアウトしていく類の楽しみだ。
より理想的な官能性能を得られるという恒常的な快楽と、官能性能の変化そのものを楽しむ瞬間的な快楽。
あえてこのふたつを区別して語らなければならないのは、恒常的な満足感こそがパーツ交換の本来の目的であるはずなのに、僕らはついつい「変化」そのもののほうに夢中になってしまうからだ。瞬間的で刹那的な快楽はわかりやすくて、コスパがよくて、そして中毒性がある。
排気系チューンにおいての刹那的な快楽とは、そりゃもちろんノーマルとは全然違う社外マフラーの爆音さ加減にある。お金をかけて交換するんだから、どうせならノーマル状態との違いが明確に感じられる、より暴力的でより刺激的なマフラーのほうがいい。もとが同じエンジンなんだから、音質より音量のほうがずっと簡単に変えられるし、はるかに変化が分かりやすい。
思い出して欲しい。最後にマフラー交換したあの日のことを。
注文していたマフラーが届く。2時間くらいかけてごそごそと作業し、おろしたての新しいマフラーがそこに収まる。完成した姿を満足気に眺めながらおもむろに一服したあと(私は煙草吸わないけど)、ライディングジャケットを羽織って試運転に出かける。この瞬間の「お!すげー!ノーマルと全然違うぜ!」という喜びと満足感は、何者にも代えがたいじゃあないですか。
でもその一瞬のドーパミン・ラッシュは新しい仕様に慣れるにつれ薄れていき、でもその快楽だけは脳裏に焼き付いているものだから、「もっと変化を!もっと快感を!」と人の欲求中枢を支配しようとしてくる。さらに「こっちのパーツをこっちに換えたらもっとすごくなるんじゃないかな?」と好奇心を煽って新たなパーツをポチらせようとしてくる。
それこそが、必要がなくてもついつい車やバイクを弄りたくなってしまうという(僕らみんな経験のある)「バイク(車)弄りの罠」であり、チューンナップやドレスアップがいつの間にか自分の理想とする「中庸」を通り越してエスカレートしてしまう理由であると、私は常々自分を諌めることにしている。
これまでにも「ちょっとやりすぎちゃったな」という改造をしてしまった車とバイクはいくつかあった。車好き界隈では全然大したレベルじゃない可愛いもんだったけど、自分の中の「心地よい」という基準は超えてしまった感じだ。マフラーの音やウェイストゲートバルブのプシュー音がうるさくなりすぎてしまったり、低速トルクがスカスカになってしまったり、といった具合に。そうなるとその車やバイクに対する愛着というかそれまで感じていた親密さが薄れてしまい、なんとなくよそよそしく感じて疎遠になってしまう。そのまま売ってしまったこともある。そういうのはあんまり好ましくない。
そんなわけで、最近の私は基本的に「メーカー設計通りのノーマル状態を楽しむ」ことを是とし、たとえ弄る場合にもノーマルの良さの延長線上にとどまるような、あたかも「コストや時代の制約がなければメーカーが最初から設計していたであろう方向性」を意識している。
そんな私が選んだのが、トリックスターの「IKAZUCHI」(イカヅチ)シリーズのフルエキゾースト(サイレンサー+エキパイのセット)だ。
実はモリワキと最後まで迷ったんだけど、このイカヅチのサイレンサーは「ノーマルとそれほど変わらない静かさ」という評を見たのでこちらに決めた。
あんまり変化がないのもつまらないけど、YouTubeの公式チャンネルで見る限り、音質もノーマルの良さの延長線上にありつつもクリスピーさが増しているように聴こえる。通常、爆音系マフラーはどうしても重低音でごまかしている面があったりするので、いかにも社外マフラーらしい迫力がなくても、雑味が取れればそれで充分、と考えた。
そして高回転の伸びを求めて、スリップオンではなくフルエキをチョイスした。トリックスター公式チャンネルのイメージ戦略に思い切り乗せられまくってる気もするけど(あの会社、他のマフラーメーカーよりも広報が上手い気がする)、まあこの10年くらいで着実に地位を築いてきた勢いあるメーカーのようなので、間違いはないでしょう。
さっき「マフラー交換作業したあとの一服が美味い」みたいなことえらそうに書いといてなんだけど、今回は納車のときに付け忘れたETCも同時装着するので、取り付けはレッドバロンさんにお任せです。カウル外すのめんどいし。
そんなわけで次回はイカヅチのフルエキのレビューやります。
はたしてこいつは、、私の目指している中庸的な味わいを絶妙なバランスで付加してくれるでしょうか。
そして、私は一時の「うぉ!変わったぜ!」的インパクトに流されずにこのイカヅチのポテンシャルを正しく評価できるでしょうか。
IKAZUCHI。
名前は厨二病っぽいけどね。
名前は厨二病っぽいけどね。
名前は厨二病っぽいけどね。
Posted at 2026/04/06 13:35:16 | |
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