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2024年10月18日

人はなぜ、人生で一度はハーレーに乗ってみたくなるのか

人はなぜ、人生で一度はハーレーに乗ってみたくなるのか
これまでの人生で、ハーレーを2回買った。

最初は30歳前半のとき。2度目は50歳になるほんの少し手前。どっちも1年ほどで手放した。

2台目のときは買ったのも売ったのもある意味「想定内」だったけど、1台目のは完全な衝動買いだった。

そもそもなんでハーレーを買おうと思ったんだろう。

1台目を買う前に乗っていたのは、ロッシカラーのアプリリアRS250、そして当時すでに旧車の部類に入っていたドゥカティ400F3。ずっとセパハン信奉だったのに、海外引越に伴う数年のブランクのあとバイクに戻ろうとしたら、それまでまったく興味の対象外だったハーレーがどうにも気になる存在になっていた。

2000年代前半の当時、クルーザーというジャンルはアメリカンと呼ばれることのほうが一般的だったけど、基本的には「ハーレー=本物」と「国産アメリカン=なんちゃってハーレー」みたいなイメージが根強く残っていた。ハーレーこそがクルーザーの代名詞であった。

今となってはオーソドックスでクラシックな国産アメリカンはほとんど見なくなってしまったけど(たまに見かける車体はハーレーよりもカッコよくセンスよくカスタムされていることが多い)、それでも日本国内のクルーザー市場を見渡せば、インディアンもありトライアンフもありBMWもありレブルもあり、とよりどりみどりで、ハーレーもそんな「選択肢の一つ」でしかない。

とはいえ、今でもハーレーがクルーザーの筆頭であり、イメージリーダーであることに変わりはない。

さて、なんでハーレーを買っちゃったんだっけ?

それは、数年間中型スポーツバイクに乗ってきた反動で、足を投げ出して都会の景色を楽しみながらゆっくりドコドコ走るような乗り方がしたくなったからだ。

常に加速か減速か体重移動をしながら俊敏に駆け回るSS的世界観とは違う世界が見てみたくなったんだと思う。周りのライダーたちも「歳を取るにつれて、ゆっくりまっすぐ走ることの喜びが分かるようになったよ」なんて大人なことを言い出すし、それまでとは違うバイクとの付き合い方がしてみたかった。

ちょうど、年齢も上がって多少の経済力が出てきたところだった。

そうしてハーレーのディーラーに足を踏み入れて、気づいたらハンコを押していて、大きなローンを組んでいた。多少の経済力が出てきたといっても、ハーレーを現金でぽんと買えるほどの貯金はまだない。

そんなわけで、2004年のTwincam88モデル「ソフテイル・デラックス」(FLSTN)がやってきた。

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なんでFLSTNにしたんだろう。それも何となくだったな。カタログに掲載されていた写真の、サイドバッグと大型ウインドスクリーンを装着してホワイトウォールタイヤを履いたデラックスの姿が一番カッコよく見えたのだ。本当はダイナでもスポーツスターでも別によかったんだろうけど、何となくハーレーは理屈じゃなく直感で決めなきゃいけない気がしていた。

クルーザーで走る夜の首都高は最高に気持ちよかった。セパハン乗りにとって仰角方向というのは意外と大きな死角である。前傾姿勢では頭上にそびえる高層ビルの夜景を見上げることができないし、夜風を楽しむゆとりも足りない。ハーレーに乗ってドコドコ流しながら隅田川あたりのビルの谷間を抜けてパーッと目の前が開けると、広がる空をぜんぶ独り占めしてるみたいに感じられた。

保管場所には、自宅から徒歩で10分ほどのところにあるバイク専用車庫を借りた。JR中央線のガード下の倉庫を改装したと思われるその車庫には電子シャッターと警報設備が付いていて、白線で区切られた室内空間に数十台が停められている。賃料は毎月2万円。周りには他のハーレーやらBMWやら国産大型やらの、盗難リスクの高そうな車種がたくさん同居していた。2000年代前半はバイク盗難、とくにプロ窃盗団によるハーレーの組織的盗難が騒がれていた時期だったので、ハーレー乗りはみんな保管に神経を尖らせていたのだ。

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そんなふうにハーレーに乗り出して、夜間に友人に会いに行くのに使ったり、車種混合のマスツーリングに何度か参加したり、一人で首都高を流して楽しんだりしていた。ノーマルのエンジン音はまったくイメージと違ったので、純正マフラーを外して「中程度の」音量の社外品に換えた。

でも、半年くらいで飽きてきた。

やっぱりハーレーではアプリリアやドゥカティに乗ってたころのようなスポーツライディングへの欲求が満たせず、物足りなくなってくる。30代前半というのは、枯れた領域を目指すにはまだ早すぎたのだ。

でもそれ以上に、その存在の重さにだんだん疲れが出てきた。

まず、重たいから引っ張り出すのになにかと億劫だ。さらにキズやらメッキの手入れやら停め場所やら盗難やらといちいち気を使う。ツーリング中の停め場所については、自分だけでなく同伴者たちにも気を使わせてしまう。音だって、自分で音量多めのマフラーに換えておきながらも、他人からハーレー乗りってアホだなあと思われないかとか、警察に止められないかと気にすることのストレスが地味に効いてくる。

そして、ローンと保管場所代で月7万円。ここまでして私は本当にハーレーに乗りたいのだろうか?それに見合う幸せを本当に得られているだろうか?と自問自答するようになったら最後、所有しているのがだんだん馬鹿らしくなり、買取業者を呼んで売却した。

そんなふうにして私の最初のハーレー所有は、少しの教訓といくばくかのローン残債と空冷エンジンの鼓動感の記憶を残して終わった。

2台目のハーレー「ファットボブ」については、レビューのところで書いたと思う。そちらはクルーザーというものを分かったうえでの納得買いだし、トライアンフ・スピードマスターに乗り換えることで発展解消しているので、後悔はしていない。体格さえ合えば、ソフテイル・デラックスより楽しみの幅が広い、良いバイクであった。

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と、長々と私の思い出を書いたけど、この話の肝は「誰もが称賛するブランドって、自分の興味から少々外れていても一度は体験してみたいよね」ということである。

それは「みんなしてそんなにハーレーをありがたがるんだったら、それがどの程度のものか体験してやろうじゃないの」という、一種の反骨精神みたいなものだ。絶対的な支持を受けているブランドの説得力を、一介の乗り物好きとしてはぜひ一度は自ら体験して知っておきたいと思う。

興味の範囲外の人にまでアピールできる力があるブランドって、やはりハーレーとBMWくらいか。ハーレーオーナーの何割かは「ぼく、ハーレー乗ってるけど別にハーレーの世界観が好きなわけじゃないんです」というタイプのはずだ。

水平対向縦置きBMWも一度は所有してみたい。趣味には合わないかもしれないけど、その乗り味の個性と高い質感と疲れ知らずの乗車感が、本当に評判どおりなのか自ら体験してみたい。

そして、ポルシェ。クルマで言えば間違いなくポルシェ。フェラーリではなくポルシェ。ランボルギーニでもなくポルシェ。フェラーリやランボルギーニは、それらの良いところも子供騙しなところもだいたい誰でも想像できるように思うんだな。でもポルシェは、乗らずに語っちゃいけない気がする。ちゃんと所有して乗って生活をともにして、という後でないと評価しちゃいけない気がする。

でなければ、あんなたれぱんだみたいなデザインのクルマが玄人たちに何十年も愛され続けるはずがない。
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Posted at 2024/10/18 16:54:03

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この記事へのコメント

2024年10月18日 18:12
ハーレーに関しては複雑な気持ちがあります。メジャーがゆえに避けたい、これも反骨というかひねくれものというか逆張り精神というか。ずっとこれで生きてきたのでジャイアンツじゃなくてヤクルトだし車はトヨタなんか絶対に乗るもんかで欧州車といろいろ拗れた人生でした。
そしてやはり2輪に乗り出したころに強烈に体験したレーサーレプリカ体験が、オンロードスポーツ以外を拒絶するものを作ってしまいました。ライダースクラブ誌文化に染まっていたともいえるのかなぁ。根本健氏が居る時は大好きな雑誌でした。今は滅多に買いませんが。
更に足すと、これも自分の偏愛趣味なのか「整然とした機械が好き」というものがあり、おそらくはざっくりとしたハーレー文化とはなじめないことが分かっているように思います。
BMWにも同じような意識があります。Rシリーズだけは乗っては見たいのですがどうもBMWはいけ好かない欧州風のような匂いがあり、どうにも食指が動かしきれません。

ポルシェですね、私は大衆車を愛するのでよくわからないのですが、356だけは乗ってみたいです。新しいのはすべて911のオマージュのモドキでしかないような気がしてしまうのです。
コメントへの返答
2024年10月18日 21:28
私もライダーズクラブ好きでしたね〜😊
スポーツバイクの写真がどれもたまらなく美しくて、アプリリアを欲しくなったのもライダーズクラブの記事がきっかけでしたっけ。

ネモケンさんの理論は、当時は分かったような分からないような、という感じで頭だけで理解しようとしてましたが、乗らずに過ごした20年弱の間に脳内で熟成されたのか、今は若い頃より感覚的に掴めたような気がしてます。

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「42歳の逆走事故に思うこと http://cvw.jp/b/2933928/48418845/
何シテル?   05/08 18:19
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