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2025年05月08日

42歳の逆走事故に思うこと

42歳の逆走事故に思うこと 道路交通に関する話題のなかでも、逆走ネタは注目を集めやすいようで。

GW直前の4月26日に発生した東北自動車道(栃木県那須塩原)での逆走事故も、大いに話題となりましたね。逆走した本人とそれに巻き込まれた対向車の運転手が亡くなったのに加えて、派生して起こった渋滞でさらにトラックによる追突死亡事故が起こったことや、逆走車が侵入したと思われるインターが信号機と平面交差による分かりにくい構造になっていたことなど、なにかとニュース性の高い事故でした。

しかし何より注目を集めたのは、逆走車の運転手が42歳だったという点でしょう。しかも、飲酒や薬物の形跡も見られなかった様子。

そんな若い人間が逆走なんてするはずがないんだから、きっと自殺願望があったに違いない。SNS上では、そんなことを主張するコメントを多く見ました。
(その後の報道によると、特に希死念慮的傾向も見られなかったとのこと。)

そもそも逆走というニュースネタが騒がれやすいのはなぜかというと、その危険性と同時に「一体なにをどう間違えるとそんなミスを犯すんだよ」という、発生メカニズムの理解不能さに理由がありそうです。

アクセルの踏み間違いなんかもそうなんですが、ふだんちゃんと集中して運転している身からすると「自分がそんなことをやらかすはずがない」と思う。

正直、私もそう思う。

そんな我々の想像力の及ぶ範囲で考えると、「認知症の高齢者だから逆走などするのだ」という結論がいちばん分かりやすいんですよね。

そう考えて安心していたところに42歳が逆走などしたものだから、これまでの想定がひっくり返ってしまって当然世間はざわつくわけです。

だから「飲酒」とか「薬物」とか「自殺願望」みたいな別の分かりやすい理由をなんとか探したくなるのが人間の心理というものなんですが、そんな簡単な説明がいつも用意されているとは限りません。

つまり、こういうことです。

もしかしてこれって「大丈夫と思っている人でも、意外とやりかねない」ことなんじゃないでしょうか。

いや、最初に間違えちゃったところではなく、間違え続けちゃったところの話です。

たぶん誰もが疑問に感じたのは、逆走方向に入ってしまったミスの部分よりも、「なぜ、そのまま逆走に気づかずに何キロも走ってしまったのか」という部分ですよね?

認知力がしっかりしているはずの42歳が、自分が逆走していることに気づかないはずがない、と。

私、今回の逆走案件のニュースを見て、実際に当事者になってみないと分からない心理がそこに働いているんじゃないかと思うようになりました。

おそらく、この逆走してしまった42歳男性は自分が逆走していることを疑いもしなかったのではなくて、「逆走などするはずがないという自己認識」と「自分が逆走していることを示唆する目の前の光景」との間の矛盾に耐えきれずにパニックになってしまったのではないか。そんな気がします。

認知心理学用語で言う「認知的不協和」というやつです。

TVやSNSでよく見る「(認知症の疑われる)高齢者が逆走事件を起こした」なんて情報ばかりが印象に残っているので、健常なはずの自分が逆走を「しているらしい」なんていう事実を受け入れるのは耐えられない。

これは、逆走した人を叩けば叩くほど、いざ自分が間違って逆走方向に入ってしまったときに認知的不協和が大きくなって冷静な対処ができなくなることを示唆します。

もちろん間違ってはいけないんだけど、たとえ間違っても最初の一歩目で冷静に対処すれば大事にはならずにすむはず。

なのに、「自分は間違ってしまった。自分はアホだ」と言う状況を受け入れるのに時間がかかって、最悪の方向に進んでしまう。

カーナビで道を間違ってしまったときに「とりあえずそのまま進んでみよう」と突き進んでしまう心理にそれはちょっと似ています。

詐欺にはまりそうになったときに「いや、疑っちゃ悪いから」とそのまま騙されてしまう心理にもちょっと似ています。

ギャンブルで大負けしたときに「いや、このまま打ち続ければ次は勝って負けを取り戻せるはずだから」とずぶずぶはまり込み、挙句の果てに他人のお金にさえ手をつけてしまう心理にも近いかもしれません。

どれも同じ、目の前で起こっていることの重大性を過小評価してしまうという、いわゆる「正常性バイアス」です。

私自身がそんな逆走者心理の罠にはまり込む可能性があるか?と聞かれると、たぶんないと思っています。少なくとも今のところは。

だけど、絶対にないとは言い切れないし、何かの拍子にそこに陥ってしまったときにふだん想像しているみたいに冷静でいられるとは限らない、ということは、誰もが意識しておくべきだと思います。万が一ミスをしちゃったときにどういう対処をすればいいのか、一度頭の中でシミュレーションしておきたいですね。


(画像はFNNプライムオンラインより拝借)
https://youtu.be/8jP1n8DhPrU?si=MrnI0Qrn6C_oTbX_
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Posted at 2025/05/08 18:19:19

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この記事へのコメント

2025年5月10日 20:09
「一体なにをどう間違えるとそんなミスを犯すんだよ」・・・、そうですよね、やっぱり、まずは当然そう考えますし、私もそういう感想を持ちます。

ただ、仰るとおり「何かの拍子にそこに陥ってしまったとき」・・・、この場合、いまデスクでPCに向かってキーボードを叩いているのと、まったく同じメンタリティでいられるかどうか?これは一考の余地はあるな、と思いました。

まぁ、とりあえず、速やかに路肩に寄せて一旦停車する・・・、までは思いつくとして「どうやって戻るのか?」については、道路の構造であったり、交通状況にもよるでしょうし、一言で適切な対応といっても難しいように思いました。

そもそも「そのような状況にならないように注意しろ!」は正論なのですが、ここまできますと、道路構造的あるいは機械的(クルマ、ICの双方)で抜本的な対策が必要なのかもしれませんね。
コメントへの返答
2025年5月10日 22:18
IC入り口の平面の信号機について、「青信号じゃなくて、矢印信号にすればいい」という意見が出ていて、なるほどなと思いました。

逆走方向から来るタイヤを強制的にパンクさせるトラップを路面に入れるような大掛かりなことまでできなくても、ちょっとした工夫で効果的にうっかりレベルのミスを安上がりに防ぐ方策がまだまだいろいろありそうな気がします。

あとは・・・他車のちょっとした運転ミスを鬼の首をとったように糾弾するより、お互い判断ミスしたり見逃しうることを前提として譲り合ったほうが、結果的には大事に至る前にリカバリーできるんじゃないかなー、と思います。

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