以前のブログで、「CGを使ってデザインされた車に美しさを感じることが出来ない」との主旨を記させて頂きました。
【私見】CGで美しい車はデザイン可能か
此を書いた後、拙はずっとモヤモヤしていました。
CGは、デザイナーが描く手伝いをするだけで、CGがデザインしている訳ではありません。
にも関わらず、CGを使ってデザインされた車に心惹かれないのは何故なのだろうか、と。
これに対する答えを書籍の中から見つける事が出来ました。
書籍「名車を生む力」(いのうえ・こーいち著、二玄社)では、3台の名車が産み出される、その原動力となった方をインタビュー形式で紹介しています。
その3台はトヨタ2000GT、ホンダ初代シビック、そして…マツダユーノスロードスター(!)です。
内容の詳細はお手に取ってご覧頂く事として、この書籍でトヨタ2000GTの章で取り上げられた野崎喩さんは、あの2000GTの美しいデザインをほぼお一人で担当された偉人とも言える方です。
その野崎さんは、章の終わりで21世紀の車のデザインを次のように語っています。(以下、当該書籍より一部抜粋します。)
Q.2000GTはいくら見ても見飽きることがない。それほど美しいクルマ、よくデザインされたクルマが、その後の日本で現れ得ていない現状をどう解するのか。
A.「トヨタ2000GTよりもよくデザインされたクルマがない、と言いましたが、いまはコンピュータもあるし、よほどつくれる環境がある。
コンピュータの力を借りれば、たとえばひとりでもクルマを創ることだってできる。本当ならもっともっと緻密にデザインされたクルマが登場しても不思議はない」
Q.それはコンピュータを使う以前の問題なのではないだろうか。
A.「コンピュータはライスカレーの盛り方を同じにするとか、成分を均一にするとかは考えてくれるけど、味はつくってくれない。アイデアは考えてくれないからね。(中略)…コンピュータのダメな部分だけがそのまま出ている」
拙としては、正に我が意を得たりと言えるコメントです。
CGはあくまでもデザインの手伝いはしますが、デザインそのものを考えてはくれません。
デザインはあくまで人の感性と美意識によって紡ぎ出されるものであり、そのインスピレーションを具象化する支援をするのがCGだと思うのです。
今のデザインは、CGを使うことが主目的になってはいないだろうかと。
カーデザイナーの皆様には、美しさの感性を研ぎ澄ませ、是非とも美しく官能的な車のデザインを創造して頂きたいと拙に願うのでした。
最近の新車情報を賑わせているフェアレディZコンセプト。
発表によれば、ほほこのデザインで確定とのこと。
フェアレディZの系譜にある、名だたる名車たちへのオマージュをそこここに感じます。
かつて憧れたZの面影を好評価する一方で、やはりCGでデザインされたとおぼしき箇所も見え隠れします。
クレイモデラーが、あと少しだけ彫塑すれば、更に綺麗な曲線と曲面のZが姿を表しそうだと思うのは、拙の偏見なのでしょうか。
早く実物を目の当たりにしてみたいと願う拙なのです。
そして、次期ロードスターのデザインが官能的で美しいデザインであることを願わずにはいられない拙なのでした。
(文の一部と画像は、名車を生む力(いのうえ・こーいち著、二玄社)とモーターファン別冊トヨタ2000GTのすべて、Web上から拝借させて頂きました。)
Posted at 2020/09/30 06:11:32 | |
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