
氷上柏原の丹波の森公苑にて催された神戸マツダファンフェスタ2019に行ってきました!
朝から地区の清掃活動があったため、注目の講演3本のうち出席できたのは 14:30からの「MAZDA3開発秘話」1本のみでしたが、MAZDA3を開発した
別府開発主査と
土田チーフデザイナーの貴重な話を至近距離で聴くことができました!
→
デミオXDの ちょっと待つんだMAZDA3!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
最初に語ったのは、別府開発主査。
「生活を彩る」をテーマとしたMAZDA3、開発に当たっては「価値のピラミッド」(機能価値、情緒価値、自己実現価値)のうち
自己実現価値を見出してもらうべくアプローチしたとのこと。
そのアプローチ方法とは、欧米でそれぞれ消費者を集めて話し合ってもらい、最も魅力的で素敵な個人を選んで、その人の価値観や人生観などを掘り起こしてゆき、その人に相応しいクルマをつくるーーー。
例えば、ファストバックはドイツのイメージカスタマーに焦点を当てたそうです。
その40代男性のフォトグラファーは昔はお金持ちで、今はそうでもない。
しかし、昔は束縛ばかりだったが今は自由で、それが良い。
身の回りのモノの色彩などにも こだわりを持つ、自由人。
セダンでのイメージカスタマーとなったのは、20代のアメリカ人女性。
大学を出たあと働きながら大学院へ通う秀才で、そんな彼女が余暇に街を離れる理由が「自然の中に本当の色を見に行く」から。
人工物に囲まれた都市を離れ、自然の風景、色を見つめることで本来の自分を取り戻すのだという。
そんな彼や彼女に似つかわしいクルマをつくるんだ!
―――そういうことだそうです。
(自分がイメージカスタマーからかけ離れすぎて惨めになる /(^o^)\ )
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
次に、土田チーフデザイナーが語りました。
ファストバックとセダンのデザインは、先代まではCピラーから後ろが違うだけだったが、MAZDA3はそれぞれ共通させつつも別にデザインしたのだ、と。
ハッチバックのハッチとは、船の甲板などにある開閉する蓋(HATCH)をいい、ハッチ風のバックドアを持つ2BOXがハッチバックと呼ばれる。
ファストバックのファストとは、FAST(速い)を意味し、横から見たルーフラインが速い(流麗であること?)ことを表す。
セダンのルーツが馬車にあり、馬・客室・荷室が現代風に置き換わり(エンジン・居住空間・トランク)、3BOXになった。
客室部分…SALON(仏)→ SALOON(米)→ SEDAN(英)
それぞれのボディの特性を踏まえ、例のイメージカスタマーに相応しい2BOXないし3BOXをデザインしました!
なお、サイドには敢えてプレスラインをつけておらず、刻々と表情を変えるリフレクションを楽しんで欲しい!
寸法も、先代アクセラに比べて狭くなってませんよ!
―――そういうことだそうです。
(即興で描き上げるイラストがわかりやすい!)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
最後に、お待ちかねの Q&Aコーナーがやってきました。
全然視界に入っていなかった司会の男女が仕切ります。
私の手持ちの質問が、今回の講演内容から少し離れていて、手を挙げるのが躊躇われました。
一つ目の質問は、最前列のオッサンが当てられました。
曰く、
「今までの名前を棄てたのはなぜか?」
「なぜ同じ顔ばかりにするのか?」
「イメージカラーも同じ色ばかりなのはなぜか?」
怒気すら含んだ声で三連チャン。オッサン凄いな!
答えて曰く、
「社内も二分しましたが、私が推しました。ウチは一発屋で失敗も多く、二代続けて成功できない云々~ グローバルで揃える云々~(自分の質問に集中して、あまり聞けなかった。以下同じ)」(別府開発主査)
「ウチは世界の1.5%に過ぎず、“群(ぐん)で戦う”ことで市場における存在感を出していこうと云々~」(土田チーフデザイナー)
「ここにあるように、この赤の色は遠く離れていてもマツダの赤だとわかっていただけるでしょう?云々~」(土田チーフデザイナー)
二つ目の質問は、私も勢い良く挙手しましたが、後ろの方の男性が当てられました。
曰く、
「サウンドはBOSEも標準もとても素晴らしいが、しかし標準でここまでする必要があるのか。こだわった訳は?」
答えて曰く、
「今回誰からも羨望されるクルマをつくる中で、一部(BOSE)だけでなく、ベースが圧倒的に良くなければならない云々~」(別府開発主査)
三つ目の質問。
司会男『さあ、時間の都合もございますので、次を最後の質問とさせていただきます』
な ん だ と !?
もう、小学生ばりに必死になって挙手しました。(苦笑)
そして、司会女に当てられました。やったー!
浮野曰く、
「MAZDA3のリアサスペンションは 独立懸架ではなく“トーションビーム方式”です。Cセグメントではあまり用いられませんが、マツダのことだからきっと深い考えがあるはずだ、と思って公式ホームページのサイト内検索で調べてみたところ、2017年のマツダ技報にて“高性能トーションビーム開発”という論文を見つけました(開発者笑い)。ここにいう“高性能トーションビーム”に拠って“走行面で要求性能が満たせる”と判断され採用に至ったのでしょうか? これが質問です。また、もし今述べた通りだとすれば、公式ホームページやカタログには“高性能トーションビーム”のことについてまったく触れられていません。例えばGVC(Gベクタリングコントロール)のような新機軸の発明は、CGも使ってわかりやすく説明し、PRしています(開発者苦笑)。このリアサスペンションのことについては、全国のマツダファンが職場の車談義で肩身の狭い思いをしています。恥じることなく、マツダ本社が、公式がPRをして、(職場で肩身の狭い思いをしているマツダファンの)援護射撃をして欲しいです。これが要望です」(長文乙)
―――言ってやった!言ってやった!
別府開発主査は唸るようにして、ものの5秒10秒ほどの時間で資料のスライドを表示させ、語り始めました。
内容の理解に集中するあまり、言葉の表現はあまり覚えていないのですが、大意は次の通りです。
「質問については、仰られた通り(新型の高性能トーションビーム採用のゆえ)です。この画面の通り、ニュートラルなステアリングの実現を我々は目指しました。例えばこの図のように円を描いて回ると、オーバーとかアンダーとか言いますが曲がりすぎたり曲がらなかったりします。すると、その度に修正舵を当てることになり、これがとてもドライバーの疲れになるし、車酔いの原因にもなります。(スライド画面を切り替え)新型のトーションビームは、この通りビームの左右の結合部を太くすることで剛性を増し、先ほどのニュートラルなステアリングが実現できるようになりました。(スライド画面を切り替え)また、凹凸のある路面で片方に入力のあるような場合はどうするんだという話では、新型のトーションビームは、この通りビームの中央がくびれており、ある程度、左右フレキシブルに動くようになっています。例えばMAZDA3の“ファストバック”は登録上は“ハッチバック”と記載されています。同様に形式上はトーションビームであっても、実質は左右に独立したサスペンションといってもいいのです。では、なぜそのことに触れないのか? PRして欲しい―――という要望についてですが、それは“言わぬが花”と言うことで。(会場笑い)……というのは冗談で、MAZDA3は価値の提案を重視していて、機械的なことは主張していないということです」
別府開発主査は、紳士的に、真摯に答えてくれました。
私が一息に言い切った口頭での長文を、聞き逃さず要旨を理解し、即座に資料を繰って順に答えてゆく―――。
その答えは納得できたものもできなかったものもあるけれど、その明晰さ・明朗さに驚き、一気に別府開発主査のファンになりました。彼の次の仕事が楽しみです。
司会男『いや~、皆さんお詳しくて、もうガチンコの質問ばかりでしたね』←あなた誰?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
本当に、柏原まで行って良かった。
Q&Aとはいえ、開発者と直にしゃべる機会なんてそうそう無いし、何より言いたいこと言えてスッキリした。本当に良かったです。
でもね、MAZDA3。もうひとつ言いたいことがあります。
自分がイメージカスタマーからかけ離れすぎて惨めになる /(^o^)\
↓プロフィール↓
〔浮野:四十路の男性。介護職。仕事と育児と親戚付き合いと地区の行事に追われ、しばしばちっちゃなキャパを超え、その都度 現実逃避する〕orz
そんな低俗な私が、ローンや残価設定型ローンで“羨望されるクルマ”を買っちゃって良いのですか?
クルマだけ良いもの買って“自己実現でござい~”と言っても、傍から見れば“釣り合っていない”分不相応と見られませんか?
他人の目なんて気にしないとしても、“自分を高めようと分不相応な逸品を買うこと”は、ある意味自縄自縛であり、その時点で“ありのままの自分とは言えない”のではないですか? それは自由人と言えるのですか?
以上の
難癖は、車が悪いというより
卑屈な自分自身に因があるのはよっくわかっているのですが、それでもその種の“いじけ”が抜けきらないんですよ。
機能価値を重視した(?)インプレッサを選ぶなら
ここまでイジイジすることはないのですが、
素晴らしくオシャレで自己実現価値を重視したMAZDA3を前にすると、
途端に苛まれるという…。
すみません、いきなり陰キャラ前面に出して。
MAZDA3の売り上げが伸び悩んでいるという噂もチラホラ聞きますが、
ひょっとすると、私に近しいメンタルを持つ者が日本に多いのかもしれません(浮野仮説)。他の要因かもしれません。
でも大丈夫! 世界で利益を上げればいいのです。
何とかトータルで売れてね、MAZDA3!