けたまのブログ一覧

３０年以上も前の話、今は完全に廃道となっているヒグマの山に長い峰越林道があった。その中間地点で無理をしたためバイクを沢へ落としてしまい、バイクを捨て下山することになり死を意識したことがあった。そのトラウマから無理をしないこと！を常に念頭に置いてた筈なのに、本日同じ思いをした出来事があった。今こうして帰宅し振り返っていることが、何とも嬉しく感じている。
さて、僕はピストンではなく、通り抜けられる林道が好きだ。
今日の林道もそうだったが、サミットから下りに入り、残すところ基幹林道に出るまで約６００ｍの地点で激薮と化していた。ここに来るまでにもいくつか短い薮を通り抜けて来れたのだが、ここの薮は終わることがなかった。ここまでの道のりもそうだったが、経験上、出入口から遠ざかるに従い道は悪くなるものだった。なので、もう出口が近くこの薮を抜けると道は良くなるだろうと思い込んでしまった。下りだったので、確かめもせずに惰性で薮に突入してしまったが、一向に抜ける気配がなく、少し平らになったところでバイクを停め徒歩で先を見に行くことにした。薮の海はその先も続いていた。足に蔦が絡みつき、何度か転倒した。ここで通り抜けを諦めた。「ダメだ来た道を引き返そう！」そう思ったが、バイクは背丈ほどある藪木に囲まれており、方向転換させるには、まず周辺を整地することからだった。帰り道の方向も見えなかったので、目印をつけるべく草木を踏んで整地に入ったが、方向感覚を失い沢が下に見える場所に迷って出た。バイクに戻ろうとするも薮を泳ぎ方向感覚が掴めず、道にも迷ったかと恐怖だった。やっと薮の中にバイクを見つけ出した時は、既に体力の大部分が失われていたが、これから方向転換を狭い開拓地で行わなくてはならなかった。しかし、真夏の１４時過ぎの直射日光が容赦なくそそぎ、喉がカラカラになる。コンビニで買った［綾鷹］が少しだけ残っていたが我慢してバイクを力ずくでまわし続けたので、気を失うような感覚もあり、沢の水を飲むことも考えた。「もうダメか、バイクを置いて歩こうかな」と思いながら色々と方法を試したが、荷台を何回も持ち上げて少しずつ転回させる方法が良かった。ようやくバイクを転回するも、昨日の雨によるすべりやすい柔らかい上り坂が待っていた。先ほど進路の目印をつけてきたが、スリップして登らない。そして転倒。心が折れそうだ。残る体力で何とかバイクを起こし、バイクから下りてエンジンの力を借り押して坂を上りサミットに出た。微妙なアクセルワークが必要だった。ここからは順調で、「町に下りたら、コンビニに行って炭酸飲料を飲むぞ！」と考える。すると、前タイヤが小さな石ころに乗り上げたのか、左に倒れ、バイクから投げ出された。「痛ぇ、骨折れてないよな？」パンツに穴はあいたが、擦り傷で済んだようだ。
入山時に比べるとボロボロになって下りてきた。この山は色々ありすぎた。薮地獄突入前には、ホルダーからスマホが落ちたことに気づくのが遅れ探しまわったりもした。今回は、出入口付近の道は良い！と勝手に思い込んでしまったことが敗因だろう。気をつけていても知識や経験の不足がこのような事態を招くのだ。やはりソロの林道は怖い。しかし、走り抜けたかったなぁ。なんだろう、林道制覇することが気持ち良いのだろうか？
それとKLXには感謝している。倒しても倒してタンクからガソリンを流したとしても、何度もセル1発でかかってくれ、僕を再び日常へと運んでくれた。車重も手で扱える程度なのが良かったのだろう。