プラグの電極に付いたLLCとオイルの乳化の原因は?〜組み付け編〜
1
いよいよ、新ボアアップキットへ交換する。
その前にクランクケースに異物や部品を落とさないようウエスで養生。
はじめに150CCピストンを外します。
ピストンG型リングをラジオペンチで摘んで抜き取る。バネ力でどこかへ飛ばし無くさないよう注意が必要。
2
ピストンの取り付けには、上下向きが記される。
メーカーにより異なるが、「IN」の刻印は吸気(キャブからの混合気)側にするのだが、何だかおかしい。
ピストン面のバルブ当たりの逃げは、吸気側が大きいのでピストンの向きは合っているようだが、刻印は「OUT」又は「↓」もくは「▼」と示すのが本当のはず。
さずが、大陸製と言ったところか。
3
片方のG型リングを外し、反対側からピストンピンをマイナスドライバーで押し出すと難なく抜けた。
4
150CCのサイズを測定。
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160CCのサイズを測定。
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2mm程度違うようだ。
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クランクケースに溜まったLLCは、前回の作業から日数を経たので、ほぼなくなった。
8
次に、160CCピストンにリングを装着する。
最上のトップリングと2段目のセカンドリングは見分けは、印字があれば困らないのだが、色や太さやエッジの処理で判断することもある。
このキットのトップリングは、エッジをカッターナイフのように処理しており幅が狭いようだ。
また、上下向きもある。
メーカー名のアルファベットの印字がある方を上向きにする。どちらのリングも「R」リケンの文字であった。
セカンドリングを示す「RH」の印字がある場合がある。
しかし、DAYTONAのキットについても、トップ、セカンドリングの別は無い。
色々判断が難しいところ。
3段目のオイルリングに規則はない。ギザリングを挟み込む。
なお2ストでは、シリンダー内に口が空いており、C型となる各リングの合口が引っかからないように回転防止のピンが溝に設けられる。それに合わせて装着する必要がある。
また4ストの注意点としては、各C型リングの合口が、トップ、セカンドで揃ってしまうと圧縮が通り抜けてしまうので120度ずつズラして装着することが定説とされるが、リングはエンジン稼働で回転してしまうのでシビアになりすぎる必要はないと思われる。
9
160CCピストンの組み付け。
G型リングを片側を付け、ピストンピンを差し込みコンロッドに通す。そしてもう片方のG型リングをはめ込む。
このピストンは、▲の刻印があって、排気側を示していた。
やはり、若干吸気側の逃げが大きい。
10
ガスケットを装着してから、シリンダーへピストンを入れる作業は慣れるまで大変苦労するところだ。ピストンリングは、ピストンの幅より広くなっているため、それを指で押さえ込んで縮めてスリーブへ押し込む。専用工具も発売されているようだ。
苦戦してピストンを傷だらけにしないように注意したい。
シリンダー本体は、ハンマーで対角を叩きながらノックピンとガスケット穴位置に注意して設置。
カムチェーンガイドは、外側から引っ掛けて押し込むタイプ。
上側のガイドは、クランクケース内から固定されているようだ。
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隠れて見えづらいが、シリンダーのボルトを仮止めし、2重のメタルガスケットを入れる。150CCのガスケットも2重だった。
液ガスは塗らない。
12
次にシリンダーヘッドを入れていく。
カムチェーンにタイラップをつけておくと、シリンダーヘッドを通す際に引っ張りやすくて良かった。
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シリンダーヘッドの4本あるスタッドボルトナットの締めは、向かって右上→左下→左上→右下と繰り返し行い、一度で締め付けない。
そして、先程仮締めしたシリンダーとヘッドの横2本のボルトを本締めする。
ちなみにこの順番は、後に組み付けの歪みによる異音の発生を回避できるようだ。
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次にカムギアを装着。
はじめにフライホイール側で圧縮上死点をセットし、カムギアを噛ませたチェーンをタイラップで通し、ボルト穴に取り付けする。
しかしこのままでは、何故かカムギアの中心がボルト穴に届かない。
これは、カムギアを外したことによりカムチェーンのオートテンショナーが最大まで出てしまったからだ。テンショナーを一度外すとチェーンは緩む。
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カムギアは裏に突起があって、これを先程の切り欠きに合わせて固定する。
切り欠きは、マイナスドライバーで動かせ遊びがある。
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カムギア側の圧縮上死点出しは、横から見て位置合わせが正しいか確認することが重要。上から覗き見ると1コマなど余裕でズレる。その結果、エンジンはかかるがパワーが出ないなどの事態となる。
そして、フライホイールを反時計回りに回転させ、プラグホールに指を入れ空気が出るところのTマークで再確認する。4ストの上死点は2過程であるから。
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カムギアを取り付けたら、ヘッドにウォーターポンプを組み付ける。
折角だから、オーリングも交換。
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オーリングは弾力が失われていた。
ウォーターポンプは突起を指で回し、カムギアボルトの切り欠き角度と合わせ組み入れする。キチンと入らなければ突起が折れるか崩れ落ちるかだが、ハッキリとした感触がないから慎重に。
次に、ガソリンタンクを取り付けて火入れの準備。
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最大の難関が訪れた。
バラした当初、ウォーターポンプの固定プラスネジがフレームに隠れる位置にありエンジンハンガー(パーツリスト的にはブラケット)から車体を分離して作業していた。
センタースタンドを解除してしまうと、安定を失い再び連結させようにもエンジンハンガーとフレームの接合穴がなかなか近づかない状態となり1人作業の限界を感じ心が折れる。
リヤタイヤの左右をウマとパンタジャッキを使い安定させ何とか再び連結できたが、数時間を要してしまった。
今後はウォーターポンプの取り外しで車体を分離しなくても良いように、本体の固定ネジはプラスから六角頭に換えスパナを使えるようにした。
ガソリンタンクの取り付けは簡単だが、負圧式ポンプのホース取り回しだけ載せておく。
時間を使いすぎたので、火入れの儀式は延期となってしまった。
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