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2025年01月03日

ポニーカーの現在地

ポニーカーの現在地 もう一年近く前なんだね。向こうを発つ前の最後の逃亡旅行で、今まで自分で走って無かった地域をドライブしたくて、デンバーからユタ・アリゾナを抜けて、ラスベガス・デスバレーまで走ったの。

もちろん東部の片田舎からデンバーまではフライトなので、そこからベガスまではレンタカーで移動することになるんだけど、当日Hertzのゴールドメンバーロットに着いたら、居並ぶクルマの中にマスタングが置いてあった。

もちろんソコに置いてある以上は、周りのセダン・CUV達と同じ値段で乗れるわけで…
「これ乗ってっていーい? 値段一緒だよね?」
「あー?いいよ。雪の中だと誰も乗りたがらないから、正直扱いに困ってたんだわ。」
「OK、それじゃ西に行く自分が乗ったら丁度いいわね」
「おー助かるわ。」

―――

しかもそんなマスタング (レンタカーなので当然2.3L エコブースト 10AT)
ハーツの半ば虐待に近い使われ方を生き抜いてきた個体なので、コンディションは中々ステキ。 新車無交換のフロントタイヤは既にプラスチックの仲間入りをしてるし、フロントのホイールベアリングからは妙な音がする。
デンバーからベガスまでの二泊三日 1600kmをだましだまし乗ってきたけれど、さすがにこれで砂漠のど真ん中デスバレーに向かうのもなぁ…と

なのでベガスでの余裕時間を使ってハーツに車両交換を申し込んだんだけど
ハーツの営業所で、ゴールドメンバーロットを見まわしたら、偶然にもカマロがいた

もちろんソコに置いてある以上は (ry

ということで、図らずしもアメリカの道路環境で、それなりに長い間 (当時の)現行ポニーカー二台を乗り比べることになっちゃった。それが非常に興味深くてね、せっかくなので忘れないように書き残しておくことにしようと思うの。

なので話はカマロ (LT = 2.0L エコテックターボ 10AT)に乗り込んだところから…
―――

乗り込み自体はそこまで変じゃない、でも座ってみると屋根に髪の毛が触れる
シートライザーが一番上になってたとはいえ、やはり天井は低いね

ポジションを出してみると、まずリクライニングで引っ掛かる。
アップライトな角度から寝かせられない…というかリクライニング角度がかなり制限されてる。

仕方なくこの角度を前提にポジションを作っていくことになる。
必然的にステアリングから距離を離し、座面もフラットにして、フットレストと揃うトコロまで座面を上げていく。 その状態でステアリングは最下点からちょい上げぐらいで、メーターもぎりぎり隠れない。テレスコは量がかなり少ないけれど、これで中間からちょい押し込みぐらいでしっくり来るし、この姿勢でセンターコンソールのシフト位置は完璧。
かなり戦闘的というか、アップライトでガチなポジション。

ここまで姿勢を出した時点で気付く。
かなり着座点に対してウインドウの下端が高くて、キャビンに沈み込むような感じ
これだけなら先代も一緒なのだけれど、現行は異様にタイト感がある。キャビンの高さは低いけれど、それ以前にドアとインテリアトリムがかなり立体的で内側に入り込んでるから、車幅があるのにあえてタイトに感じさせる作りに見える。
これ、ポニーカーだよね?

―――

デンバーからデスバレー、あえてのビーティ経由で3時間。そこで更に気付く。

車両は最廉価のLTなのにパドルシフトが付いてるし、ステアリングを握った指先にはクルーズコントロールの操作系。どちらも9:15の教科書通りの姿勢で綺麗に指先が届く。
ポジションも確かにアップライト強制だけど、身体もどこも痛くなってない。つまりカマロチームは明らかにこのポジションを想定してすべてを開発してる。


実はさっきまで乗ってたマスタングは真逆だった。

大きいクーペドアは一緒だけれど、シートベルトのバックルにしっかりお金を掛けてあって、シートバックがしっかり寝かせられるようになってた。
ステアリングも9時15分で握った時に、親指で操作するのはオーディオの設定。
クルコンの操作系はその下にある。リラックスした姿勢で距離を稼ぐ時に握る場所

この時点で何となく察する。
カマロもマスタングもポニーカー。コルベットじゃないのでお金の縛りがあることは一緒。
だから優先順位がどうしても発生するけれど、その観点がカマロとマスタングで、明確に違う。

―――

そしてビーティを回って北からデスバレーに入る。目の前にはデイライトパス、片側一車線・25キロの峠道。

乗ってるのはLT。タイヤは幅狭のオールシーズン。エンジンもたかが2.0Lでしかない。

それでもいざ峠道に飛び込むと、車重やサイズを感じさせず、なんならペースを上げれば上げるほどクルマがドンドン小さくなる。進入では漸進的なロールと共に徐々にヨーが飽和し、そこから立ち上がりでアクセルを踏みましていけば、エンジンが綺麗にスッキリ回ってアンダーが消える。
ドラポジはこういう時にパーフェクトに決まり、ATの変速遅れもパドルをドンドン叩くから全く気にならなくなる。
エンジンも気持ちいい吸気音とともに雑な振動なく回るから、積極的に踏んで回したくなり、排気量の小ささが全くネガに感じなくなる。

ここで全てが確信に変わる。カマロチームはポニーカーじゃない、本物のスポーツカーを作りたかったんだなって。
値段とグレードは絶対的なスピードだけに置換される。最廉価グレードでもタイヤなりのペースで楽しめて、体験の密度は全く変わらない。
これはまさにスポーツカーの仕立て方。

だからこそ、カマロチームはこのスタンスをGT性能のために緩めるようなお金の使い方はしなかった。それこそ衝突対策でシートバックの角度制限を付けることも厭わない。だってそういうポジションで運転してほしいんだから。

―――

それに対して、思えばマスタングは真逆だった。
GTカーとしてしっかり作り込み、その上でスポーツカーに仕上げていくのが彼らの常道

だからこそ周辺視界はスキっと広いし、内装も安っぽく見えないようお金を使う。

その安楽の犠牲になったのはシフトパドルだけど、代わりにSモードを設定して、グレードシフティングをキッチリ使えるようにする。あくまでシフトレバーを倒すだけで、車に全部やってもらう前提
そういう仕立てだからこそ、エンジンがトルク型なのも生きる。必要なのは高速での追い越し加速。あまりエンジンをカチ回さず、中間トルクを生かせる回転数で加速できることが生命線
だからロードトリップしても全く疲れない。ほんとに疲れない

―――

同じに見えて、ここまで両極端な2台

マスタングは常にGTカーからスタートする車。だからこそサーキット前提だったS197 Boss302ですらクルーザー特性が備わってる。
その鎖は専用プラットフォームの現行でも同じ。だからこそ本気でサーキットタイムを取りに行くときは、魔改造と飛び道具が前提になる公式大幅改造車のGTシリーズが必要になる


それに対して、Z/28であそこまで魔改造して初めてスポーツカーに変身したのが先代カマロ。カマロチームはそれを二度と繰り返したくなかったからこそ、αプラットフォームという千載一遇の機会を得て、根っこから完全なスポーツカーを仕立ててきた。
だから現行カマロはサーキットタイムを取りに行くときでも魔改造を必要としない。LE1パッケージを付けるだけで、GTシリーズの向こうを張れるぐらいのタイムをあっさり出してくる

―――

だからこそ現行は販売台数に圧倒的な差がつく
本気のスポーツカー好きに対しては、V8積んだグレードであればどちらも響くけれど、やっばり販売台数に響くのはそこじゃない。
今も昔もポニーカーの主要販売層はセクレタリーカーを求める層であり、GTカーを求める層。
そこでちゃんとGTカーしてるマスタングに対して、カマロはLTだろうがガチガチのスポーツカー。この差はどうしても大きい。

でもそれって、たぶんカマロチームは最初から解ってるんだよね
その上で、そこを最初から明確に見切ってる
彼らはどうしてもスポーツカーを作りたかった。マスタングはニュルに行かないけれど、彼らは行ってしまったから… そこに対してウソをつけなくなってしまった

そうであれば、これはもはやどちらのクルマが優れているか、とかいう次元の問題では無くなる。だってこれは完全なる信念の問題
己が何を信じ、どの道を行くのか?
マスタングもカマロもそれを明確に示し、自ら信じる道を進んでる。であれば、自分たちはその信念に奉じるのみよね
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2025/01/03 16:51:24

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