
10月の3連休。どこに出掛けようかなって悩んでたら、みん友のShinmiw氏から
「伊丹駐屯地 基地祭行かない?」 とお誘いが。
とはいえ伊丹かー遠いよなぁって悩んでたら、
「・・・キドセン走るらしいよ?」
と追加で魅力的な囁きが。悪魔か。
ということで決まったのがこの3連休の予定なんだけど
どうせクルマで大阪まで行くなら、通り道だし、ずーっと一度行ってみたかった
各務ヶ原の航空宇宙博物館にも寄ってみようっていうのが、今回の旅行の行程。
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行きの道中は、新東名と圏央道の工事の関係から、早めに出発して中央道に抜けるルート。
早く出たのが功を奏して渋滞も事故もなく、淡々と高速を流して5時間弱。

駐車場に着いたら、入る前からYS-11とUS-1がお出迎え。うーんカッコいい。
ちょうど世界の傑作機 二式大艇を読んでた事もあって、US-1の船体は気になるところがたくさん。

大艇ちゃんのひそかな萌えポイント、船体下のカツオブシはUS-1だと殆どわからないぐらい。
代わりに船体左右の波抑え板はスリットが入ってたりして、進化の道筋がなんとなくわかるね。
で、わざわざ各務ヶ原に来た理由はこれじゃなくて、やっぱりコレが見たかったから。
帝国陸軍3式戦闘機 飛燕2型

これには本当に魂消た。今までウォーバードを生で見たことが無いわけではないのに
それでも部屋に入った瞬間、固まったぐらいね。 それぐらいの存在感があったの。
数分間固まったあとに、一旦深呼吸して、落ち着いて改めて眺めてみると
まずまっさきに気付くのが、塗装を剥いであることで機械としての圧が増していること。

この機体はレプリカじゃなくて実戦機なんだけど、塗装が剥がれて、凹凸ある地肌が露出してることで
1mmたりとも動いてないのに、本物の中身が詰まっているマシンであることが全身に伝わってくるのだ。
情報量が多すぎて、眺めながら数分間完全に固まったぐらい。
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そうして深呼吸してから周りを歩いていくと、今度は想像以上に「素直」な作りに感じるのね。
ノーズからテールに至るまで、あるべき場所にあるべき物があって、それを綺麗な線で繋いだ形というか。

倒立バンクの液冷エンジンの上に20mm機関砲を2門置いて、そこからスピナー先端まで綺麗な大Rで繋ぐ。

胴体下面も、ラジエーターとオイルクーラーを置きたい場所に置いて、それを基準に胴体断面があって
その前後を側面視・上面視で見たときに綺麗な大きいRで繋ぐ。

3次元的な造形じゃなくて、2次元的なラインで構成されてて、そのラインだってそれぞれに無駄や都合が殆ど見えない。あるべき形を見据えて、きっちり理論で線を引いた形に見えるの。
だから零戦みたいに情緒的な何ががあんまり感じられなくて、マシンであるって主張が強い気がするの。
本来は液冷エンジンを積んだスリムな機体の筈なのに、造形がそう感じさせてくれないんだよね。
マスタングや零戦みたいな美しさっていうより、もっと禁欲的で職人肌なマシンに近い機械。
一回そう見えちゃうと、もう色々な場所が気になってくるの。
例えば引き込み式じゃない尾脚や

主脚のタイヤがリンクを押し込むことで閉まる主脚の補助扉。
これらもシンプルで、より確実な戦闘機であることを重視した形に見えてくるし、隣の零戦より遥かにシンプルでアスペクト比が大きい翼だって、抗力と強度と生技性を実直にバランス取り続けた形にも思えてきたりして。
この1時間で、飛燕って飛行機の印象が、自分の中で大きく変わったのを感じるかな。
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飛燕そのものの展示も色々な発見だったんだけど、隣には当然ながら搭載エンジンのDB601。

このエンジンに関しては単品で見るよりも、その先のセクションに展示されてるアリソンV-1710と見比べることで、より個性が伝わってきた。

元々シンプルな正立V型のV-1710に対して、ヘッドが下を向く倒立VのDB601。
でもそれだけの話じゃなくて、例えばヘッドカバーまで鋳造から機械加工で作るDBに対して
精度が高いヘッドカバーを座面だけ浚ってポンとつけるだけのV1710 (裏を返せばそれが作れた)
スーチャーからインマニのパッケージもセオリー通りかつシンプルで、しっかり基本に沿ってる。
これって間違いなくレベルが高い仕事でね。
ちゃんと全体を見て、損得勘定を計算できる人がしっかり取り仕切って作ったレイアウトって感じがするの。
こういうところ、もはやアメリカ人の機械ものによく宿ってる、ある種の才能だと思うんだよね。
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それと裏を返すように可愛かったのが、T2の主脚。

これはこれで悩みながら考えながら作ったレイアウトって感じで。
ぱっと見は何かに似てるんだけど、ちゃんとそれぞれの要素は考え抜いて作ってある感じ。
なんとも日本人らしくてね。

他にもF-104とか、OH1の実物大モックとか、懐かしい飛鳥とか、T4の風洞模型とか。
眺めているだけでもどんどん時間がつぶれちゃう素敵なスポット。
結局10時に着いたのに5時間近くふらふらしてて、それでも気持ちが高ぶっちゃって足りないぐらい。
また行きたくなる素敵な場所でした。
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そのあとは、ストレートに伊丹に入って。
翌日ゆっくり伊丹基地で中部方面隊 創隊記念日祭をゆっくり回って、次の日に新東名でゆったり帰宅。
今回は長距離トラベラーABS氏のアドバイスに則って、2時間ちょいでの休憩ごとに
車中で10-15分ぐらい横になってのんびりする時間を設けたんだけど、これが快適でね。
いつも以上に運転中もスッキリした気分で運転できたし、道中の足だったクルマはさすがのディーゼル
楽勝のリッター20km/L越えで、1000kmオーバーを余裕のワンタンク走破。
シートも快適で凝りもなくて、翌日からのお仕事にも差し支えなく優秀だったからか
これなら3連休でも、もっと遠出できそうかなって自信が付く3連休。
いいかもね。うん、いいかも。