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2022年02月27日 イイね!

TLX Type-S 3世代越しの宿願と困惑

TLX Type-S 3世代越しの宿願と困惑久々に運転中に「これいいっ!」って叫んだ車に出会った。
自分の感覚は人とはちょっと違うから、それすなわち誰にでもってワケではないんだけど、それでも乗ってる最中から色々なことが頭の中を回り続けて止まらなくなったから、冷めないうちにメモ書きで残しておこうと思うの。

そんな随伴艦は、Acura TLX Type-S。
実は以前にTLX A-Specには乗ったことがあって、その時は色々と結構もやもやしたからから、正直期待はあまりしてなかったんだけど、それがType-Sは運転中常にワクワクするぐらい楽しめたのだ。

―――

Acuraにとって、TLってネームプレートはけっこう重みがある。
NSXこそあれど、インテグラ以外はいまいち鳴かず飛ばずだったAcuraが、一気に高価格帯でセールスチャートを駆け上ったのが、2代目TLと初代MDXのヒットだったから。

更にこの2代目のヒットから日本市場を投げ捨てて、北米市場に特化するために、北米スタイリング・北米開発で更にヒットを飛ばしたのが3代目。

先代から引き継ぐType-Sも、当時の北米のイケイケ具合を象徴するように
パワトレはType-S専用のハイオク仕様J35 V6に4本出しの高流量排気系、6速MTとLSDの組み合わせ
シャーシ―も4輪ダブルウィッシュボーンの足を固め、ブレーキもサイズアップしブレンボキャリパーを奢る。
そんなキッチリ決まったメカとは裏腹に、外装はフロントリップ・サイドシルエクステンション・ダックテールスポイラーといった抑制的な内容にとどめ、室内は快適装備を完備の上、Type-Sの型押しが入ったヘッドレストといったワンポイントを入れるという、Type-Rのような血圧高めの古典的スポーツカーとは真逆のスポーツセダン。

でも逆に、そんな完成系を北米開発一発目から飛ばしたこと、これがTLにとって呪縛になった節があるのね。

3代目の当時としては非常に未来的だったスタイリング。これを切り札と考えたアキュラは、4代目で更にそれを押し進めた結果、やり過ぎて爆死。
その反省から生まれた5代目は、まんま3代目を焼き直したようなスタイリングで登場するも、ベースになった9代目アコードのプラットフォームはコストダウンの結果、乗り心地と操縦安定性のバランスが取れず、継続使用したJ型V6の性能は今やクラスに埋もれる状態で、過去の栄光を取り戻すには程遠い結果となった。



だからこそ、今回のTLXの肩にかかったプレッシャーは相当大きかったんだと思うの。
3代目という成功と、その文法を安易にコピーして失敗した次の2世代。
ましてや、今回はその3代目の総大将だったType-Sの復活まで控えてる以上、同じ轍を踏むわけには行かない。

だからこそ、プラットフォームは完全新規。
フロントは新型V6ターボの駆動力に対応する形で、ダブルウィッシュボーンへの回帰と共に、他社プレミアム物件と同様、アルミダイキャストのストラットタワーを採用。
リアサスも、リアへの駆動力分配自由度が高いSH-4WDの特性を生かすために、FFF専売のアコードとは違う、駆動力を入れても姿勢がブレない横方向リンクを主体にしたもの。

ベースのA specに乗せてもらったときは、リアに回せる駆動力が限られることで旋回自由度が限られること、最近時では大き目なターボラグからくる、旋回加速でのつながりの悪さ。重量に対するタイヤのキャパ不足が気になったけど、これらはType-Sでは手が入るであろう場所。
その結果が、いざ乗り込んでみたら伝わってきた。


真っ先に気づいたのが、ドラポジの決まり方がA specより全然良いこと。
Type-Sはシートのグレードが上がり、サイドサポートが電動調整になる。これがかなりキツめまで絞めれる結果、シートの中で体が安定して、センターが出やすいんだと思う。

走り出しても、低い速度域でのコントロール性がかなり良い。
最近のターボエンジンでヌルいことが多い、転がすような速度のアクセルオフにちゃんと回転落ちが追従するし、アクセルに対する加速側応答も適切。
加速中も低い回転をきっちり使ってトルクバンドで加速する感じはよく出てるし、その領域でのエンジン音は、演出が聞いてるけどベースグレードの4気筒より嫌味がない。
絶対的な音量は同じぐらいでも、4気筒にV6みたいなスピーカーエンハンスをかけてたあちらに対して、こっちはV6音質にV6エンハンスメント。 演出であることはゴリゴリ伝わってくるけど、あらかさまではない。

ブレーキも調律はいうほど悪くない。
踏み込みのジャンプインはもう少しなましたいけど、そこから先のビルドアップが遅めかつリニアに立ち上がるので、アクセルと調律が取れている。

いつものS字。
ステアフィールもさらに一段昇華してる。A-specの遊びがなく、引っかかりなくヨーレートにつながる様子はそのままに、増えた前荷重が綺麗に効いてる。
まるでFK7 Type Rを思いだす、切っただけ曲がるキレイな応答。どんどん好きになる。
そこからのエンジン応答も良い。NAのベーストルクがあるのがキッチリ効いてるけど、ブーストの乗り方もイヤミがない。スッキリしてて、曲がり・加速共に車重を感じない。

この良さは、高速に乗っても変わらない。
遊びがまったくない感じは高速域までキッチリ一緒で、ステア系の剛性がキッチリ確保されてるのがよく解る。何処までも綺麗に応答するステアリングに、ターボラグを、ATモードで乗ってる分には意識させないAT。

そして乗り心地! なんでこんなにA-specから進化できたの?
ノーマルモードで、段差をバネ下で収める縮みと一発で収める収斂。これもFK7Rを思い出させるレベルが高い動き。ショック音・インパクト音も音量小さく安っぽくない。これは良い。
コンフォートに入れると上屋が少し動き出すし、スポーツではハーシュネスが入ってくるようになる。なのでノーマルのバランスが最良に感じる。

気をよくして山道に入る。
進入も、ブレーキのフィールが綺麗で絶対キャパがそれなりにあるので怖くない
そこからのステアインも綺麗にノーズが入って、重さを感じさせない。

ただここに至って、ノーマルでは足の完璧な動きに対してパワトレが遅れるようになる。
A-specと一緒で、立ち上がりのギア段が走りに対して1段必ず高い。
キックダウン遅れでテンポが削がれるし、定常円からの加速でリアに入る駆動力が限られてるから、駆動がアンダー消し程度にしか効かない。
「孕まない」って言うレベルで、リアを回すトコロまでは行かない。

モードをスポーツモードに切り替える。A-Spec同様、車の感覚が一気に凝縮する。

ミッションが進入で積極的にダウンシフトを使って、立ち上がりのキックダウン・ブースト遅れが一気に消える。
元々抑えられてたロール速度もさらに絞まって、車の姿勢をキッチリ抑え込むし、その状態でも局部剛性が確保されたボディと、綺麗に逃げるダンパーが、目地に対して姿勢を乱さない。
ここに来て、車重が重くても剛性確保できてるボディの硬さが一気に活きる

進入で複数段ギアを落とし、繊細なステアフィールと会話しながら車を曲げ、V6の咆哮を聞きながら、SH-4WDを活かして斜めに加速していく。
立ち上がりはまだニュートラル傾向だけど、それはTypeSとしては正しい。
峠道で355馬力あれば十分以上、それをかっちり踏み切れる仕立て。

サーキットではなく、ワインディングベストであること。
Dailyとしての利便性・快適性を持ちつつ、モード一つで車のサイズが小さくなったかのような一体感を持たせること。

開発者がType-Sとしてやりたかったコトが、まさに全身から伝わってくる仕立て。
いつものパーキングに車を乗り入れて5分ぐらい放心するぐらい、濃密な時間だった。

―――

でも、その火照った身体が覚めていくほど、脳裏には違う考えもめぐり始める。

結局A-Specの時も思ったんけど、4代目の呪縛から逃げられないのがTLX。
このFK7-Rのワインディング仕様ともいえる車は、本当に4代目 TL Type-Sの後継車なんだろうか?

今や伝説になってるTL Type-Sだけど、その本質はハイウェイクルーザー。

排気量アップされたエンジンが裏付ける通り、あくまでも想定シーンはクローバージャンクションのランプとその立ち上がり姿勢であって、サーキットは本質じゃない。
低速トルクに欠けるJ35、トルクステアが強烈に出る駆動系、そしてフロントヘビーでアンダーと戦いながら曲がるシャーシー。 そんなJ型の特性をそのままに押し込んだ歪なキャラクターがあったからこそ、オーナーはそれを乗りこなすことを喜びとして、それが時と共に美化されてるんじゃ、って。

だからこそ、ターボ+10速ATになったことは、逆に作用する。

クルーザーって意味では、間違いなくの正常進化。
先代Type-Sの悪癖は完全に抑え込まれて、そこからクルーザーとしての適性が完璧に全方位で進化した。 低速トルクとその領域での変速・NVの作り込み。ミッドレンジで走ってる時のシャーシーダイナミクスは本当に世界一流と言って差し支えないレベル。
タイプRと一緒で、重量があることを全くハンデに感じさせない作りこみ。

確かに踏み込んでいった最後の領域は完全にハードの限界が見えるし、それを何とかしようともしてない。でもそれはType-Sだから。 そこに踏み込むことで剥ぎ取りトラックエディションなType-Rや、戦艦M3になろうとはしてない。

普段使いの領域で特別感を醸しつつ、公道で相見える環境で使い切れるクルマであることがType-S。サーキットでの適合性を捨てる代わりに、公道90%の領域を完璧にこなすことが使命。

…でもその「残り10%」こそがエンスージアストが求めてる領域で、残念ながら、結果的に4th TL Type-Sのパワトレだけが達成していたこと。 技術的に劣っていたコトで、結果的にチャームとなっていたトコロ。
今回のType-Sは、それを技術進化で慣らしてしまったがゆえに、いびつが故に存在するX factorの部分まで取り去ってしまった

だからこそ公道で単体で乗ると非常に印象が良いのに、比較しだすと解らなくなる。 想定したステージに完璧に噛み合うが故に、飛び道具が存在せず個々の要素で勝ち負けが目立つ。
それは、企画と商品開発が綺麗に噛み合ってるからこそ起こる、不幸な連鎖。

だからやはりTypeSだから、なんだよね。どっちの意味でも。
90%のペースで飛ばすトコロまでは、本当にTypeS。
最後の10%の噛み合わなさも、本当にTypeS。

それは言い訳でもあるし、狙いを完璧に達成した証拠でもあるんだろうな、って。
Posted at 2022/04/17 06:01:40 | コメント(0) | 日記

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