2018年07月07日
基本的に、大変よく出来た近未来カーだった。既存メーカーと一線を画したIT系の技術力には素直に賞賛を送りたい。
ただ、個人的な好み/用途によるものだが、試乗後に購入意欲は無くなった。
まず、スポーツ用途に所有している700PSのコルベット(C7/Z06)に比較しても、ゼロスタート加速は確実にテスラP100Dに軍配が上がる。何度かフル加速を試したが、スペック(公称 0-100km/h Z06:2.95sec, P100D:2.7sec)以上に、P100Dのスタート加速は強烈だった。何より、多少舵角がついていようが、路面状態が怪しかろうが、何の不安も無く全開に出来る電子制御のレベルの高さには驚くほか無い。同じようにZ06で踏んだら、確実にホイルスピンして横を向く。
逆に言うと、危うい所で車を操る緊張感や快感は薄い。確かに加速は凄いのだが、個人的には試乗中に飽きてしまった。
また、これは重要な部分で、多くのレビューで触れられていないのだが、テスラの加速が鋭いのは停止から60km/h程度までの加速に限られる。これは停止状態にトルクが最大となるモーターの特性から来るもので、速度が上がれば上がるほど、加速力は急激に落ちていく。
いわゆる「追い越し加速」は明確に「遅いな」と感じるレベルだし、Youtubeなどで見る200km/hから上の加速は殆ど止まっているようだ。勿論、これは設定されている最高速やギアレシオの問題でもあり、街乗り環境では最速に近い車だと思う。
だが、サーキットでのスポーツ走行を考えるならば、かなり悲しい結果になるだろう。絶対的な重さ(Z06:1.6t/P100D:2.4t)による停止距離やコーナリングGの限界を考えても、本格的なスポーツ走行に使用できる車では無い。
(極論すれば、これらの物理的な性能限界はタイヤ性能と車重でほぼ決まってしまう)
センサやカメラを用いた自動運転・アシストのレベルは確実に現行メルセデスやレクサスを凌ぎ、世界一だと言えると思う。
近接センサのイメージ表示もスプライン補完されて大変実用的だし、17インチのモニタも分割表示できて見やすい。(タッチパネルではなく、各機能に物理キーを振ってほしいとは思ったが)
普段の移動には30系アルファードを常用しているが、長距離なら、テスラの方がずっと疲労は少ないだろうと感じた。
ここで、実用車として考えるならばクーペタイプのSではなく、積載性能に優れるXを検討する事になる。幸い、動力性能はXでも十分以上だ(0-100km:3.1sec)。
しかし、充電効率と走行可能距離を聞くと、一般的なCHAdeMOでは30分で100km分ほどしか充電できないという。家庭に設置する充電設備だと、一晩かけても満充電にならない。
毎日継ぎ足し充電しつつ一定距離の通勤に使うのには問題無いだろうが、不定期に遠出する自分の用途ではかなり無理がある。
・・・結果、個人的には、スポーツ用途にも実用途にも光る部分はあるのだが、デメリットがそれを上回る結果となってしまった。
何より残念だったのが、中高速から上の加速性能とフィーリングの寂しさだった。この部分が500PS以上のエンジン車に慣れた層に受け入れられないならば、純EVスポーツカーという市場は難しいかも知れない。次期ロードスターに試乗させて戴く際は、その部分がどう改善されているか、特に注目したいと思う。
Posted at 2018/07/08 01:44:41 | | クルマレビュー
2018年06月24日
ハイパフォーマンスカーがその性能要求から軒並み4WD化され、ミッションはATになり、エンジンもダウンサイジング&ハイブリット化されていくこの時代に、おそらく最後の大排気量・大パワー・FR・純MTのマシンではないでしょうか。それでいて、ニュルのタイムが7分10秒前後と、最新のスーパーカーに劣らない走行性能を絞り出してくれたシボレーに拍手を送りたいです。旧世代の最後の徒花として、長く大切に乗りたいものです。
Posted at 2018/06/24 10:07:33 | | クルマレビュー