タイヤの転がり抵抗係数は速度に伴って少しずつ増えること、それを補正するための方法について考えていきます。
いろいろな情報をあさってみると、速度0km/h時の転がり抵抗は、ラベル上転がり抵抗(80km/h時)のだいたい0.7倍であるようです。
その2点を通る直線を引けば、速度補正の入ったグラフになります。これがDescornetの速度補正式です。
ラベル上転がり抵抗係数*((実速度-基準速度)/定数+1)
基準速度はISO28580より80です。定数はタイヤによって異なりますがだいたい250がよさそうです。
さらに、Descornetの温度補正式を使います。
EXP((周囲温度-基準温度)/定数)
基準温度はISO28580より25、定数部分はこれまたタイヤ固有値なのですが、だいたい-200でいいでしょう。
上の2つをまとめ、速度、温度の変化に対応した補正式がこちら
ラベル上転がり抵抗係数*((実速度-80)/250+1) *EXP((周囲温度-25)/-200)
これで、タイヤ転がり抵抗係数の式は完成しました。
次に考えるのはハブベアリング抵抗とディスクブレーキ引きずり抵抗についてです。これらの値はあまり大きくないので、正直無視しちゃっても構わないのですが、ここまでやったなら考えたくなるのが人の性。
そこで、ある論文のグラフを拝借。

ハブベアリング抵抗とディスクブレーキ引きずり抵抗はそれぞれ12%くらいの寄与率であることがわかります。詳しいことは”トライボロジー 燃費”で検索。
おおざっぱですがハブベアリング抵抗係数を
1、ディスクブレーキ引きずり抵抗係数を
0.5(アルトはフロントがディスク、リアは引きずりの発生しないドラムなので半分とします)として、タイヤ転がり抵抗係数に合算することにします。
さあ、これで総転がり抵抗の式が完成しました。
(補正タイヤ転がり抵抗係数+ハブベアリング抵抗係数+ディスクブレーキ引きずり抵抗係数)*10^-3*車両重量*重力加速度
これに時速0km/h、周囲温度12℃、車両重量670kgを代入すると、
(8.7+1+0.5)/1000*670*9.80665=67N
実測した数値は70Nなので、いい感じに近似できたと思います。
これにてタイヤ転がり抵抗の考察は終了です。あとは空気抵抗について考えれば、惰行法から得られたデータの全容が見えてきます。
ブログ一覧 |
燃費関連 | 日記
Posted at
2018/12/30 13:52:48