スズキ歴史館にはアルトのホワイトボディが展示されています。

ボディの底面の骨格を誇らしげに見せつけていますね(笑)。
それだけ、ボディ下部の骨材の配置というのが設計において大事ということです。
今回スズキ歴史館にきた目的はこれの観察です。
今は日本車のボディ剛性が飛躍的にアップしていますね。
トヨタのTNGA
スバルのSGP
マツダのSKYACTIV-BODY
スズキのHEARTECT
名前だけでも聞いたことある人、多いんじゃないでしょうか。
これほど同じタイミングで、各社が示し合わせたようにボディ剛性を上げている。
その背景はよく知りませんが、とにかく今の日本車は大きく進化しています。
車が好きな人は多いと思いますが、その中でボディにこだわる人は少ないのでは。
何馬力あるとか、ダブルウィッシュボーンとか、そういうのも大事ですが、実はボディだってかなり重要です。
走行性能の高いシャシーの開発 という本がありますが、ボディの重要性を教えてくれます。読みやすい本なのでおすすめです。
と、いうわけで以下はアルトの骨格研究

センタートンネルには補強のためのリブが立っているのと、真ん中あたりに突っ張り棒のような部材で変形を防止。トンネル後端部は、アーチ状の構造で強度を上げています。フロントサイドメンバーから続くアンダーレインフォースは、必要な強度に合わせて断面形状を変化させながら滑らかな曲線でリアへとつながっている。フロアパネルがやや丸みを帯びているのはノイズへの対策。

ストラットタワー。
ダッシュパネル、フロントサイドメンバー、タイヤハウス、エンジンマウントそれぞれがすべて、3次元的に最大限に接触するように配置されている。これにより、少ない材料でも強い構造物となっている。GT-Rで有名な水野氏もこの構造を絶賛しています。

写真の奥のほう、横方向に配置される部材がダッシュレインフォース。たった一枚の当て板ですが、ダッシュパネルに対し厚み方向に幅を持たせることでフロントの剛性アップにつながる。

これは自分の車の写真ですが、タワーバーを見てください。3点締結されており、どんな方向からも力をガッチリ受け止める。パイプの直径も意外なくらい太く、ねじり変形に対しても強そう。工場出荷時から装着される前提だから、余計な可動部や遊びもなし。アフター品によくある、ジョイント付きなんちゃってタワーバーとは違うのだよ!ワークスのタワーバー、いろいろ売られてますけどわざわざ交換する必要はないと思います。

トルクボックス。衝突時に衝撃を分散する安全部材ですが、サスペンションの横方向の入力を車体に遅滞なく伝え、ハンドリングのしっかり感につながる役割もある。

フロントサイドメンバー。前半部分が細く、後半部分は太い。後半部分はエンジンの荷重がかかるのとサスペンション入力があるため、太くして剛性を確保している。

フロントサブフレームはクラス最軽量(6.5kg)。写真の奥の方とあわせて6点で締結されている。蜘蛛のように手を伸ばし、なるべく広い間隔で支えようとしている感じ。

フロントサスペンションを下から撮った図。形式はストラットで、シンプルで優れたサスペンションです。写真のブレーキローターはソリッドディスクですが、RS/ワークスではベンチレーテッドディスクです。

ロアアーム。一枚板でできています。僕が以前に乗っていた車では、2枚を張り合わせた、いわゆるモナカ構造のもので、ずんぐりしていたものです。形状解析により一枚でも十分な強度を確保できるようになったのでしょうか。これの軽量化はばね下重量の低減にもつながるので大きな意味があります。

トーションビーム取り付け部。上の骨格と横のサイドシルの2方向で支えることで強固になり、同時に簡素化(軽量化)が可能になる。

トーションビームは一枚板タイプでクラス最軽量(11.2kg)。写真では中にスタビライザーが追加されていますが、これは上級車種の設定。
細い棒でねじり剛性を上げるのはあまり合理的ではない気がしますが、追加的な設定ならしょうがないかも。(間違った解釈でした)個人的にはクラッシュドパイプを使ってほしかったです。いや無茶ですけど。
Posted at 2019/04/01 00:54:37 | |
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