
Lean3はなぜ2人乗りできない?
今回は、日本の「ミニカー規格」について考えてみました。
少し、ながながと書いてしまいましたが最後まで読んでくださいね。
最近、台湾発の超小型3輪EV「Lean3」について調べています。
Lean3は、1人乗りを前提とした非常にコンパクトな電動モビリティです。
見た目はバイクに近い部分もありますが、実際にはキャビンを備えた「小さなクルマ」に近い乗り物です。
ところが、日本に持ってくる場合、いろいろ調べてみると興味深い問題が出てきます。それが、
「Lean3は、なぜ2人乗りにできないのか?」
という問題です。
日本には「ミニカー」という車両区分があります。
名前だけ聞くと「小さなクルマ」というイメージですが、法律上は原動機付自転車に分類されます。
そして、ミニカーには大きな特徴があります。
・車検が不要
・車庫証明の負担がない
・普通自動車免許で運転できる
・ヘルメット着用義務がない
・小型・軽量な車体にできる
これは非常に便利な制度です。
しかし、その一方で、
『乗車定員は1名』
ここがLean3を日本で使う場合の大きな壁になります。
「バイクは2人乗りできるのに?」
ここで疑問が出てきます。
例えば一般的な自動二輪車には、条件を満たせば2人乗りが認められています。
しかし、ミニカーは1人乗りです。すると、こんな疑問が出てきます。
『むき出しのバイクは2人乗りできるのに、キャビンのある3輪EVは1人乗りなの?』
もちろん、単純に「Lean3の方が絶対に安全」と断定することはできません。
しかし、少なくとも、
・キャビンがある
・シートがある
・シートベルトを装備できる
・屋根がある
・雨風を防げる
・3輪で走行する
という構造を考えると、
『二輪車とは違う安全性の評価方法があってもいいのではないか?』
と思ってしまいます。
問題は「車体の安全性」より「法律上の分類」
ここが今回、一番気になったところです。
日本の車両制度では、車両を分類するときに、
『排気量やモーターの定格出力、車輪数、車体寸法など』
が非常に重要になります。
つまり、
「実際にどれくらい安全なのか?」
だけではなく、
「法律上、どのカテゴリーに分類される車両なのか?」
によって、乗車定員や必要な保安基準が決まってきます。
Lean3のような新しいタイプのモビリティが登場すると、ここに制度上のギャップが生まれます。
では、Lean3を2人乗りにする方法は?
考えられる方法はいくつかあります。
① 超小型モビリティとして登録する
日本には「超小型モビリティ」という制度があります。
これは、軽自動車より小さく、原動機付自転車より大きな新しいモビリティを想定した制度です。
2人乗りの車両も想定されています。
そこで、
「Lean3を日本仕様として超小型モビリティにする」
という方法が考えられます。
ただし、その場合にはミニカーのような「車検不要」という手軽さを失うなど、ユーザー側の負担が増える可能性があります。
また、車両側も相応の保安基準に対応する必要があります。
つまり、
『2人乗りにできる代わりに、普通の軽自動車に近づいていく』
わけです。
② モーター出力を変更する
もう一つの方法は、
『モーターの定格出力をミニカーの範囲から変更する』
という方法です。
超小型モビリティの制度では、モーターの定格出力が区分を決める重要な要素になります。
Lean3を日本向けに出力変更し、必要な安全基準を満たすことで、別の車両区分として登録できる可能性があります。
しかし、これでは台湾仕様のLean3とは別の車両になってしまいます。
せっかくの軽量・省エネルギーというLean3の魅力が失われる可能性もあります。
③ ミニカー制度そのものを見直す
そこで、私が一番面白いと思うのがこの方法です。
「ミニカーだから1人乗り」ではなく、「安全基準を満たせば2人乗りを認める」制度に変更できないか?
という考え方です。
【新しい「2人乗り小型EV」カテゴリー】
・3輪または4輪
・小型・軽量
・ 低出力でも可
・キャビンを備える
・シートベルトを装備
・一定の制動性能を確保
・必要な灯火類を装備
・バッテリーの安全基準を満たす
・最高速度を一定以下に制限
・高速道路は禁止
といった条件を設定します。
そして、
「安全装備を満たした車両については2人乗りを認める」
という仕組みです。
「出力」だけで乗車定員を決めていいのか?
ここが今回の問題の本質ではないでしょうか。
例えば、
『小さな電動モーターを積んだキャビン付き3輪EV』
と、
『大きなエンジンを積んだ二輪車』
を比較した場合、
「モーターの出力が何kWだから1人」
という分類だけで乗車定員を決めることが、本当に合理的なのか?
という疑問があります。
もちろん、出力には車両性能や加速性能などとの関係があります。
しかし、
『乗車定員を決める基準として、車両の安全構造をもっと重視してもいいのではないか』
と思います。
そして、もう一つ大きな問題があります。
Lean3について調べていて、もう一つ気になったのが、
『充電規格』です。
台湾仕様のLean3は、日本で一般的に普及しているJ1772とは異なる充電規格を採用しています。
これは日本で販売する場合、かなり大きな問題になります。
せっかく電気自動車なのに、
「家や一般的な充電設備で簡単に充電できない」
となれば、日本での普及には大きなハードルになります。
私なら、日本仕様のLean3については、
『J1772の普通充電に対応してほしい』
と思います。
日本にはすでに多くのEV・PHEV向け普通充電設備があります。
そのため、独自規格ではなく、既存インフラを利用できるようにした方がユーザーにとって圧倒的に便利です。
さらに可能であれば、
『CHAdeMOによるDC急速充電』
への対応も検討してほしいところです。
ただ、Lean3のような小型EVでは、実際の利用環境を考えると、まずはJ1772普通充電への対応を優先する方が現実的かもしれません。
『私ならこういうLean3が欲しい』
個人的には、こんな日本仕様のLean3が理想です。
こうすれば、
「クルマほど大きくない。でもバイクより快適で、雨の日でも使える」
という、Lean3ならではのポジションが作れると思います。
「小さいクルマ」と「大きなバイク」の間を作れないか?
現在の日本のモビリティ制度には、
『バイク』と『軽自動車』
の間に、まだ大きな空白があるように感じます。
もちろん、超小型モビリティという制度はすでにあります。
しかし、もっと気軽に利用できる、
「小型・低速・省エネルギー・2人乗り」
というカテゴリーがあってもいいのではないでしょうか。
特に今後、高齢化や人口減少が進めば、
「大きなクルマを1人で運転する」
という移動方法が、本当に最適なのかという問題も出てきます。
買い物、通院、駅までの送迎など、
『2人でちょっと移動する』
という用途なら、Lean3のような車両は非常に面白い存在だと思います。
Lean3を「日本の法律に合わせる」のではなく
今回、Lean3について調べていて思ったのは、
「Lean3を日本の既存制度に無理やり合わせる」のではなく、日本にLean3のような車両を受け入れられる制度が必要なのではないか?
ということです。
もちろん、安全性を犠牲にする必要はありません。
むしろ逆です。
『安全性についてはしっかり基準を設ける。』
そのうえで、
『車両が小さいからこそ不要になる規制は簡素化する。』
そして、
『安全基準を満たしたキャビン型の小型EVには2人乗りを認める。』
そんな制度があってもいいのではないでしょうか。
Lean3は、単なる台湾製の小型EVというだけではなく、
「これからの日本のモビリティ制度はどうあるべきなのか?」**
を考えるきっかけになる車両だと思います。
バイクでもない。
軽自動車でもない。
そして、普通のミニカーとも少し違う。
そんな新しいカテゴリーです。
もし日本が本当に小型EVや超小型モビリティを普及させたいのであれば、
「既存の法律に車両を当てはめる」だけではなく、「新しい車両に合わせて制度を進化させる」
という発想も必要なのではないでしょうか。
私は、
「安全な小型EVなら、出力や車輪数だけで1人乗りと決めつけず、2人乗りを認める制度」
を検討してもいいと思います。
Lean3の日本導入をきっかけに、そんな議論が始まったら面白いですね。
皆さんはどう思いますか?
「ミニカーだから1人乗り」は本当に合理的なのでしょうか。
それとも、これからの時代に合わせて、ミニカー制度そのものを見直すべきなのでしょうか。