アンチラグとローンチコントロールって言葉は耳にしたことがおありかと思います。
アンチラグは一昔前はミスファイヤリングシステムとも言っていましたね。
ラリーの世界では今でも一般的な技術で、特に「ターボラグ」をいかに少なくするかを目的に使われる失火制御技術ですね。
タイトル画像にあるような火を噴く車をyoutubeなんかでも見た事があると思います。
最近では火こそ吹きませんがAPRではECUメニューの一つにバング&ポップス(米ではExhaust Crackle)ってのが有りますね。
2STEPは海外ではそこそこ認識されている名前ですが、これも同じ失火制御技術です。
何かマフラーの方でボコボコバンバンしている感じでみんな同じものに見えますが、実はこれはアンチラグと2STEPの2種類に分けられます。
どちらも未燃焼ガスをエキマニで燃やしてその膨張ガスでタービンを回すのは同じなのですが、
アクセルの開閉がポイント。
1.ローンチコントロール+2STEP
ローンチコントロールは皆さんも良くご存知ですね。
0スタートの時にアクセル開けてもクラッチミートせず美味しい回転数にキープしてくれる機能。
ブレーキ離すとバヒューンみたいな。
しかしこれだけだとしないよりはいいですが、ブースト圧は上がっていないので走り出して負荷がかかってから過給する事になります。
0-100km/hやゼロヨンなんかだと、でかいタービン回したいけど最初の1,2秒がもったいないですね。
そこで登場するのが2STEP。
普通のローンチはスロットルバルブを調整して回転数を一定にするんですが、2STEPは点火を間引いて回転が上がるのを抑えます。
で、その間引いた点火によって生まれた生ガスをエキマニの熱で着火させて強制的に過給圧を上げる。
ラリーのスタート直前でヴィーーーババババババッってなってるアレですね。
これはスロットルが開いていて空気が流れたままだから点火制御ができれば難しくない技術です。
しかし一方でローンチの時に使うので当然回転数は4000rpmとか5000rpmとか高めです。
そんな状態でエキマニで燃やすんですからタービンや触媒には非常に過酷ですね。
長時間やったらダメなやつです。
ヤリスWRCの触媒がマフラー出口に付いているのもこの為でしょうね。
強烈なスタートと引き換えに当然寿命も縮むでしょう。
2.アンチラグ
ラリーでコーナー進入時、つまりアクセル閉じている時にバンバンなっているのを良く見ると思いますがアレです。
アイドリング中にバラバラ言ってるのもコレです。
これの難しいのはアクセルが閉じているところ。
空気が入ってこなければいくら燃料を残してもタービンが回るほどは爆発を確保できません。
現代の制御は後で書きますが、もともとはこんなイメージでエキマニに直接空気を入れてあげる工夫が必要でした。
ウェイストゲートの逆みたいな感じですが、Turbosmartなんかは
これ用のバルブも用意していますね。
ランエボなんて最初からこれに近い機能が付いています。
しかもホモロゲ用に付けていて、付いているのに市販車では機能を殺しているらしい。
でも実はこれも結局はインマニ(スロットルバルブからインテークバルブまで)の空気は速度を失ってしまっているので、再びスロットルを開ける時に実ブースト圧は少し落ちてしまいます。
無いよりはあった方がそりゃいいでしょうけど、複雑で大掛かりになる割には、、、って事で現代ではちょっと違うアプローチをするようになりました。
どちらかと言うと2STEPに近い制御です。
アクセル全閉でもスロットルバルブ的には3000rpmとか4000rpmを維持するくらいまで開いておきます。つまり流路の空気は止めないって事ですね。
で、アイドリングは例えば1500rpmに維持したいとしたら点火を間引いて回転を落とす。
間引いた分の生ガスはエキマニに行くのでそこで着火する。結果ブースト上がる。
こんな制御をしているようです。
2STEPと比べるとアイドリング時のバンバンが比較的おとなしいのは回転数が低いからですね。
もっと言うと失火だけではなく点火を超遅角させる制御も絡めているみたい。
1の2STEPに比べるとブーストはそこまで上げられないようですが、コーナー進入時にアイドルまで回転数が落ちる事も無いでしょうし、アクセル開けてアンチラグ解除になった瞬間に既に空気が動いているって言うのは凄いレスポンスでしょうね。
で、上で書いたようにMaestro7では2STEPの設定ができます。
今までヤバそうだったので封印していたんですが、ちょっと試しにやってみました。
3900rpmで設定しているのですが、それを超えるとブーストが上がるのがわかるでしょうか。
2回目はわざとゆっくり踏んでみてますが、直前までは凄く負圧なのがわかると思います。
とりあえず正圧に入るところまでですが、回転数上げたらもっといくんだろうか?
同時に排気温度も跳ね上がっているんでビビりますね。
因みにこれでもマフラーから炎は出ていません。
更にアイドル回転数を2000rpm、2STEP回転数を1500rpmとかにするとアンチラグのアイドリングを疑似的に再現する事ができる事を発見しました。
疑似的なんでアンチラグ解除のトリガーが上手くいかないし、長くやってるとミスファイアが連発しているとECUは判断してフォルトになっちゃうから何の役にも立たないですけど。
もうちょっと色々試してみれば実用になるんですかね。
DSG載せ替え予算がまだ無い中でクラッチ逝かれると困るんで、2STEP+ローンチはまだ試していません。
因みにyoutubeで炎がバンバン出ているのは点火を超遅角しているとか燃調を超濃くしているだけなので、見世物要素がほとんどです。
またAPRの制御もアンチラグに近いのでしょうが、アイドル時は普通なところを見ると言葉は悪いですがこれもナンチャッテじゃないかと思います。本物だったら超絶レスポンスを売り文句にもっと書きますよね。と言うより本物だったら余裕で車検に通らないので正面切って売らないか。
悪いと言ってるわけじゃなくて雰囲気楽しみたいならイイと思いますよ。
でも機能が伴わないなら私はやらないケド。
ってか歩いているおじいちゃんが死んじゃうといけないんで任意にモードを切り替えられない限り私はやらないです。市街地でバンバンなってたらちょっとヒきますよね。
という事で長くなりましたが2STEPをやってみたブログでした。