
みん友さんが6GTIでクーラントやエンジンオイルの温度上昇に気を揉んでいたのでちょっと考えてみました。
考えただけなので何の根拠もありません。そのつもりで。
氏曰く130度とかになるらしい。
うちの6Rはよほどぶん回しても100度を超えない。
あちこちで耳にするのはEA888系から水温油温とも高い傾向らしい。
何が違うんだろうか。
出力次第で10度高いとかならまだしも3割4割違うって結構な差である。
まず基本的な事として5以降の2リッターターボは全て同じボア82.5Xストローク92.8の1984㏄。
5GTIや私の6RのEA113も6GTIのEA888 gen1も現行7.5RのEA888 gen3も同じ。
圧縮比や動弁系などはもちろん違うが基本的には似たエンジンである。
基本的に水温が高い+回すほど高くなるって事は発熱>放熱ってこと。
まず発熱から。
想像するに熱源は大きくは2つ、燃焼熱と摩擦熱。
細かくは割愛するが、EA888の開発テーマの一つにフリクションロスの低減があるので、それを実現できていると信じれば摩擦熱は減っていると思われる。
では燃焼熱はどうか。
まず街乗りをイメージした時、同じ重さの車が同じスピードで走る場合、消費しているエネルギーは同じですよね?(駆動系のロスとかはココでは無視)
つまりゴルフに限って言えば世代が違っても劇的に車重が違うわけでは無いし排気量も一緒だし空燃比も一緒(ストイキ)なので、同じスピードで走る限り発熱量も大して変わらないだろう。
高負荷時はどうか。
エンジンは基本的に空燃比がストイキに近くなるほど、つまり薄くなるほど燃焼温度が上がる。(ゴルフはリーンバーンはしてないはずなので無視)
高出力を要求するときは11とか12を目標にしている。これはパワー空燃比と言って出力が一番出る比率。
ここからがターボ車は難しいところ。
ノッキング対策(燃焼室温度を下げる)や排気温度下げる為に余分に燃料を吹いている。
場合によっては10近くまで濃くするが、上のグラフの通り11と比べてその分だけ出力が出るわけではなくあくまで冷却用でしかない。
ちなみにストイキでブースト1.5のまま6000rpmとか回そうとすると、そこまでイく前に余裕でエンジンが逝く。それだけ空燃比と燃焼温度は大事。
更にちなみにGTRはかなりの広い領域をストイキで走れるらしい。これはもの凄い技術。
吸排気バルブ等の動弁系とインジェクター等の燃料系がEA888のイノベーションの大きな柱。
各シチュエーションにおいて吸気と燃料が最適化されていると考えられる。
結果、低回転からトルクモリモリなエンジンになった。
つまり低回転からより発熱するようになったと言う事。
と同時にノッキングし難いようにもなっているはずなので、つまりはノッキング対策や排気温度対策で吹かれていた余分な燃料は減らしているはず。
つまり10ではなく11で良くなるので燃焼温度は高くなるはず。
ECUのマップを見れば本当にそうかわかるのだが。
(もちろんそれに耐えられるような作りにはなっていると思われる)
時代背景的に燃費の向上はマストだからノッキングし難いエンジンを作って燃費を良くするのは正常進化って事だろう。
冷却用燃料無しのパワー空燃比でハイブーストのままレブまで回せたら理想的。
また例えばタービン換えたりした場合は、空燃比はECUが補正するのでさほど変わらないだろうが、取り込む空気と燃料が増えるので当然発熱はその分増える。
うちの6Rはそこそこ高出力(発熱が多い)だと思うのだが、旧時代のバルブシステムなので低回転はダメだし、冷却用の燃料吹いて燃焼温度を低くしているからそこそこの発熱で抑えられているのだろう。
つまり踏むと燃費が最悪。
では一方で放熱はどうだろう。
ちょっと調べてみたがEA113世代とEA888世代ではウォーターポンプがECU制御になっているかどうか程度の違いで放熱性能自体にあまり違いは無さそう。
6R(EA113)にはサブラジエターが有るが、それは7以降(EA888 gen3)でも同じ。
残念ながら6GTI(EA888 gen1)だけはサブが付いてないので放熱は少し弱いと言える。
エンジンの熱を冷媒に移す仕組みで唯一EA888 gen3だけ変わった特徴がある。
お乗りの方はご存知だと思うが何とエキマニが無い、と言うかエキマニがシリンダーヘッドと一体化されている。
で、何とこの内蔵エキマニを囲うようにクーラントが流れている。
これはコールドスタート時に早くエンジンを適温にする為で、環境性能や燃費性能と言う事。
タービンに到達する排気温度が下がるのは、パフォーマンスエンジン的には本来デメリットだが、多分それは微々たるもので無視してかまわないレベルなのだろう。
これは1.8リッターのパサートの温度分布だが、2リッターはもっと高温である事が想像できる。
あえてエンジンの一番熱いところを通すのだから、水温や油温が高めになるのも当然である。
EA888のgen1とgen3では熱い原因が違うと言う事。
と言う事で、ちょっと考えるつもりが超長くなってしまったのでまとめます。
EA888は特にバルブ制御等、高機能化し燃費性能や出力向上を果たしているが出力の向上分だけ発熱量も増えている。
当然ノーマルでは大丈夫だが、出力を上げた場合の放熱においては上限に余裕があまりないように見える。
6GTI(EA888 gen1)においては単純にラジエターが小さいので冷却不足。
EA888 gen3においては熱源対策としてエキマニを変えるのはシリンダーヘッドの交換と等しいので事実上無理と考えられる。
つまりこれもラジエターの大容量化やオイルクーラーの設置、エアフローの改善等、放熱を改善するしかない。
発熱側の対策としては燃費を犠牲にして空燃比を濃くするのは有効であろう。
ん?なんか当たり前の話に落ち着いた気がするな~。つまらんな~。
今回考えていて思いました。
EA888 gen3は色々な意味でほぼ完成されたエンジンなのでは無いか。
以前7以降の人はあまりゴリゴリに弄る人少ないな~って書きましたけど、サーキットを走るのでなければ制御系以外は下手に弄らない方がイイのではないか。
かように思うのでした。
追:リジカラの件ですが「ネガな話」って書いたので車体に悪影響を及ぼすと思われてしまったかもしれません。
これは書き方が悪くて、イマイチな話を書くと「販売にネガティブな影響を及ぼすかも」と言う意味でした。失礼しました。
私は特にメーカーさんに恨みも無いし、個体差かもしれないし、敵を作りたくないヘタレなのでこれ以上具体的な話はやめときます。
「私はこの車に限ってはもう付ける事は無いでしょう」と言う事でご理解ください。