この前熱いエンジンについてブログを書きましたが、もうちょっとつづきを書いてみます。
今回はどのエンジンだと熱いって話ではなく、どんなアクセルが熱くなるのか書きます。
設定はエンジンによって多少違うでしょうが、基本的には同じ傾向だと思います。
と同時に、ついでなので燃費の良いアクセルについても少し触れます。
まず私はMaestro7と言うECUデータを弄るソフトで遊んでいるので、ECUが持っている各種のマップを多少見る事が出来ます。
その中でラムダマップと言うものがあります。
これは簡単に言うとX軸を要求負荷、Y軸を回転数とした時に各ポイントで空燃比を幾つにするかのマップです。
要求負荷と言う言葉が聞き慣れないかもしれませんが、ここではシリンダーの充填率です。
色々すっ飛ばして簡単に言うとブースト圧と見ても構わないでしょう。
例えば100は充填率100%なのでブースト圧±0の状態、それ以下は負圧領域、一番右の190.5と言うのはザックリブースト0.9キロって事です。
では表の中の数字ですが、空燃比と言うと一般的には14.7とかの所謂空気と燃料の比率を表した数字ですが、この表では1を中心にした数字です。
これは同じ空燃比を表している数字なのですが、ラムダ値と言って理想空燃比14.7(ストイキ)を1として濃ければ1以下、薄ければ1以上と言う表現の数字です。
これがその対比表で空燃比11.76はラムダ値で0.8って事ですね。
で、気が付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、上の表には1以上の数字があります。
1以上の数字と言うのはストイキより薄い空燃比と言う事なのでリーンバーンをしているのか?と思いますが、実際に空燃比をモニターしている限りではそうなっていません。
実際には街乗りのほとんどの領域においてストイキをキープしています。
これは多分ある特定の条件において(例えば温度0度とか)の数値を表にしており、実際の走行条件においてはもちろんそんな状態では無いので他の温度補正とか大気圧補正とか色々絡んでいるのだと思います。
で、これではわかりにくいので実際の体感で書き直したのがコチラ。
フルーパワー時はそれほど変わりませんが、通常時はほとんどストイキです。
少し濃くなり始める境目も上の表よりは少し低負荷からです。
で、これを見てもイマイチどこがどうなのか解り難いので
これならイメージできるでしょ。
赤線はストイキとそれ以下の境目です。
でここからが本題ですが、この前
この表と
この表を載せました。
エンジンによって多少違いますが、パワー空燃比つまり一番出力が稼げるのは空燃比12辺り(ラムダ値0.81辺り)です。
上のマップではフルパワー時の3500rpm以上では0.7813がターゲット空燃比ですね。
つまりパワー空燃比より更に濃いわけです。
これは前にも言った冷却用の燃料でノッキングや排気温度が上がり過ぎない様に安全を見ているわけです。
つまり逆に言うと点火時期や放熱対策等々をしっかりできれば、ここを0.8に持っていくのは出力アップに繋がると言う訳です。
ノーマル車両はそれなりに安全をみていますが、この辺りを削るのはチューナーの腕が問われる作業ですね。
点火やカムなどタイミング系の調整である程度バランスは取れますが、ハードウェアを対策してノッキングしにくくしたり高排気温度に耐えられるようにしないと本当は危ないでしょう。
ではパーシャル領域って書いた辺りはどうでしょう。
これは加速もせずエンブレもかからない程度の領域ですが、3500rpmも回っていれば〇40キロくらいは出てるでしょう。
ココの空燃比はストイキから濃い側に遷移するあたりですね。
先ほどの排気温度のグラフを見て下さい。
燃焼温度はストイキに近づくほど高くなるのです。
つまり高回転にもかかわらず空燃比が濃くないと言う事はメチャクチャ熱いって事です。
例えば3500rpm前後が一番顕著でラムダ値はフルブーストだと0.7813なのにパーシャルだと1です。
更に高回転になっていけばとどんどん濃くなっていくので安心領域に入っていきます。
今は外してしまいましたが以前排気温度計を付けていた時には、確かにこの領域が一番きつくて普通に1000℃を超えていました。
つまり2〇0キロまでのフル加速は全然問題無いけど〇40キロ巡航の方がきつかったです。
フルブーストのフル加速なんてそれ程長い時間では無いのでまだましですが、パーシャルの巡航って長い時間なのでエンジンには相当過酷ですね。
更に更にタービンを変えるとどうでしょう。
風量が増えるので少しだけ低い過給圧で同じ出力が出るようになると思います。
過給圧が低い、これを先のラムダマップで見てみましょう。
同じ回転数でも一つ左のマスを読むようになるって事ですね。
空燃比は総じて右へ行くほど濃くなります。
左を読むようになるって事は薄くなるって事ですね。
つまり排気温度はより高くなるって事です。
これは3500rpmとか特定の領域では無く全域においてこの傾向になります。
私のEA113では先ほどの1000℃越えでも油温や水温は少し上がり気味になる程度で100℃を超える事はまずありませんでした。
しかしながらこの前書いたようにEA888からは排熱のキャパ上限が近い気がします。
排気温度が高くて一番きついのはやはりタービンだと思います。
自分がタービン変える時に色々調べた時は1000℃超えるなと但し書きがあるキットもありました。
幾ら加圧しているとはいえ水の沸点は100℃チョイでコレはどんなエンジンでも不変なのでそれ以上の熱移動はできないのです。
パワーが出るのはそれはそれは楽しい事ではありますが、壊れてしまったら元も子もありません。(壊れるまで踏んでみるってのも漢ですが)
感覚的に「熱い」ってのは皆さんもお分かりだと思いますが、どの辺りがどう熱いのか多少ご理解いただけましたでしょうか。
チューニングは出力アップを目的とするのは当たり前ですが、それに合わせて調律をしないと大変な事になりますよって事です。
最後に燃費の件を少し。
ここまで読んだ方はもうお判りでしょう。
「燃費の良い走り方」は通常できるだけ低回転で走るってのが常識だと思います。
そりゃそうですよね。
同じスピードで走るのに2000rpm で走るのと3000rpmで走るのは1.5倍の燃料を消費するわけです。
でも、「チンタラチンタラ燃費ばかり気にして走るのは面白くない!」って意見も多いでしょう。
そんな時は最初の空燃比マップを思い出してください。
「できるだけストイキで走る」
これも一つの燃費走行です。
急加速しないってのを理屈で言うとこうなるんでしょうね。
感覚的には負圧領域で3000rpm以下であれば概ねストイキです。
正圧まで入れなくてもこのくらいの範囲ならそれなりにキビキビ走れるでしょ。
と言う事で今日も長くなりましたがアクセルと温度の話でした。
追:3500rpmのくだりの辺りでちょっと誤解の有る書き方が有りました。
>更に高回転になっていけばとどんどん濃くなっていくので安心領域に入っていきます。
これは空燃比的に濃くなっていくので安心領域と書きましたが、回転数は上がるわけですから当然総発熱量は増えます。6000rpmでは約1.7倍の回転数ですが燃焼温度が1/1.7より下がるわけないのでご注意ください。
逆に2000rpm台なら全然問題ありません。3500rpmと比べれば2/3程度ですからね。