すっかりGTS150のコーナリングに魅了されてしまったsalasです。
スタイリッシュでのんびりイメージのベスパの使い方として需要があるネタか微妙ですが、
GTSの高いスポーツ性があまりにも衝撃的だったので、
自分なりに気づいたGTSの走らせ方について書き留めておきたいと思います。
※あくまで素人による我流見解(アンド初見)ですので厳しいつっこみはご遠慮くださいw
先日のワインディング走行で驚きだったのは、
GTSの非常にコントローラブルなブレーキとそこからつながるコーナリングの安定感でした。
ベスパの個性的なハンドリングを特徴付けているものは
言わずもがな片持ちリンクアームのサスペンションですね。
軽くググってみたのですが、航空工学を取り入れたホニャララとか
ホイール交換が楽ちんとかいうことは出てきても、
どういった原理でメリットデメリットがあるかはよくわからない。
なのでメカニズム的なことはすっ飛ばして自分の勝手な解釈ですが、
実はこの片持ちアーム、何らかのネガを受け入れてでも、
高いスポーツ性能を得ることを優先して採用した構造なんじゃないかと思うのです。
テレスコピックのフロントフォークは、ざっくりといえば立たせれば旋回性が上がり、
寝かせれば直進性が良くなりますよね。スーパースポーツもアメリカンも、
それぞれのキャラクターにあわせて何かしら犠牲にしてバランスさせているわけです。
ベスパの片持ちアームは、コーナリング性能と何をひきかえに?
それはGTSで多くの人が不満点と指摘する、中速でのハンドルのブレ(ウォブル)と考えると腑に落ちました。
このウォブルがやっかいで、うまく操作しないとコーナリング中にも発生します。
初心者や、国産車に慣れきった人だと、これが気になってGTSで気持ち良い
コーナリングをできてない人もいるんじゃないでしょうか。
この挙動を抑えるには「常にサスに入力する」ことが大事だと感じました。
片持ちアームはとても怠け者で、ライダーがちょっと気を許すとサボってブレはじめます。
常にプレッシャーをかけておかないとダメな子なのです。
なので、コーナー進入時はエンブレだけでダラーっと入るのではなく、
しっかりブレーキをかけながら入ると、ビシッとブレずに曲がります。
コーナーインの前にはブレーキ(フロント)リリースが鉄則じゃないかって?
いえいえ、それがGTSは大丈夫なんです。
なんと片持ちアームはリリースポイントなど難しいことを考えず、
前後(ここ重要。前ブレーキOK)とも引きずり気味にコーナーに入っていっても
マシンの倒し込みが可能で、いきたいラインに乗ることができるんです。
これすごいことですよ。テレスコフォークはフロントブレーキを効かせた状態では
マシンが直立して寝ないため曲がりません。
そこでコーナーインする直前にブレーキをリリースして、それをきっかけに
曲がるわけですが、ようはあえて不安定にするんですからそら怖いはずです。
一方片持ちアームは常にライダーが入力しているためその空走時間がなくなり、
アプローチの緊張感から解放されます。
旋回中も気を抜いてはいけません。
コーナーによっては長いパーシャルが必要なアールもありますが、
普通のバイクのようにパーシャルを維持するのは苦手で、
テンションが抜けるとバンク中でもブレはじめます。
なので、旋回中も意識してアクセルを開け続けるようにすると、
ブレることなく旋回をつづけます。
一般的なバイクは旋回中にアクセルを開けると車体が立って
アウトにふくらんでしまいますが、GTSは開けてもはらまずグイグイ曲がってくれるので、
積極的に開けていくのが正解のようです。
また、旋回中のライン変更もイージーです。
テレスコフォークだと、加減速にはピッチングモーションが生じるので、ライン変更はシビアです。
ところが、片持ちアームは姿勢が変化しないので、それほど深く考えずとも
マシンなりに行きたい方向にいってくれます。
オーバースピードで曲がりきれない、コーナー出口に障害物といった状況で、
ワタシのようなへたくそだと、パニくってフロントブレーキを握って
状況を悪化させることも考えられますが、GTSなら前後ブレーキで減速させながら、
さらにイン側に曲げるといった芸当ができるかもしれません。
ブレーキ、リーン、アクセルという、通常のバイクでは独立して存在する要素が、
GTSではクロスオーバーしながら存在するという不思議!
これに慣れると、二輪のコーナリングに対する価値観が変わります。
いやむしろ、テレスコピックなんていう運転難易度の高いサスペンションシステムが
主流であることすら疑問に思えてくるほどです。
ハンドルは、ウォブルを抑え込めるかなとヒジを張ったオフ車乗りなども試してみましたが、
力が入ってダメですね。やはりなるべく軽く握ってセルフステアを活かしたほうが良さそうです。
最後に秘策。見た目がキショいので後続車がいる場合微妙ですが、
タンデムステップに足をおくと、くるぶしグリップにもなって
最高のバックステップになってくれます。
あくまでスマートにフラットステップに足を置くなら、
白バイ乗りのリーンインがバンク角を稼げて曲がりやすいかと。
GTS150は最高のワインディングマシンでしたが、どうしてもぬぐえない難点が2つ。
ひとつは、この見た目なので、おっそい軽トラでも道を譲ってくれないこと。
もうひとつは、この見た目なので、シャカリキに走っている姿は、
ハタから見ると確実に痛い絵面になっていることです。
とにかく深い。面白い。体に染み付いたライディングの常識が
まったく通用しない衝撃的な走りを知って、
もっと乗り込んで可能性を探りたい好奇心が止まりません。
どなたかベスパで一緒に「朝練」行って痛いイタ車乗りになりますかw