ランドクルーザーの恩返し

昔昔 あるところに
釣りとスキーが大好きな青年(当時)がおりました

青年は常々
『いつかはランドクルーザーに乗りたい』
と思い
日々一生懸命
いつか乗りたいランドクルーザーのために貯金をしていました



ある時ご縁ができて
青年は念願のランドクルーザーオーナーになりました


トヨタ　ランドクルーザー（８０）

車体色 ダークグリーンマイカ
アニマルガード付き
推定金額(未だに教えてもらえない)　470万
ガソリン車



青年にとっては
一生に乗れるか乗れないかの超バブリー。

『おれ、本当大丈夫なんだろか？』と
半ば自分で心配になるくらいの高級車でありました


GSで
『レギュラー満タン』と言ったら
『このクルマはハイオク仕様ですが宜しいですか？』と切り返されようと

支払いのとき一万円札を出し
『釣りは要らねぇぜ』とカッコつけたつもりが
『何百円ですのでお返し致します』と言われようと

青年はランドクルーザーを
それはそれは愛しておりました



ある時青年は人生の岐路にたち
新しい家族のために
可愛がっていたランドクルーザーを
僅か１年足らずで手離さなければならなくなりました


青年は泣きました

ランドクルーザーにすがりつき
ただただ泣きました



それからというもの

ランドクルーザーが
まるで意思を持つかのごとく


青年が買い手に売りの話をしだすと

ライトを、ローとハイを繰り返してパカパカしたり

ドアに触ると感電させたり

青年が鍵を回せばエンジンかかるのに
買い手では鍵も回らないという


『僕を手離さないで』


と言わんばかりの乗車拒否。



買い手が全くつかない
気味の悪いクルマとなってしまいました


青年は
ランドクルーザーを説得
それでも抵抗を続けたが…


遂に『それでもいいから買う』という
奇特な人が出てしまった




ランドクルーザーは機械です


ただの…
トヨタがつくったクルマです



青年には…
その時ランドクルーザーが
『もうダメだ』と



諦めたように見えたそうです



売買契約が終了し
ランドクルーザーは新しいオーナーのもとへ行きました




数週間がたち
今頃どうしているのかと思っていた頃

現オーナーからオーディオ修理を依頼され
ランドクルーザーは一時青年のもとへ戻ってきました


たった１日でしたが・・・



青年と新しい家族との新居への引越しを手伝い

たった二人でドライブを楽しみ・・・









返却した１ヶ月後




ランドクルーザーは
まるで自殺したかように…


自分でハンドルを切り
国道の中央分離帯に乗りあげバラバラに。


ドライバーだった新しいオーナーを
無傷で守ったあと




廃車になりました






それ以来青年は
自分のところへ来たクルマすべてに
ランドクルーザーと同じナンバーをつけるようになりました






今でも信じられませんが
本当の話です